今日を忘れないための日記
ぽこんと通知が一件きた。
定期購読しているnoteが更新されるとお知らせしてくれる仕様になっている。ちょうどnoteを読んでいたからそれがすぐ目に入った。
そのnoteのタイトルを見たときグッと息が詰まった、気がした。
まさかね。
いやいやと心の中で頭をふりながらタップする。まだ読んだことのない小説内の詩があらわれた。それを読み終えたとき、あぁ、と声が出そうになった。
noteで出会った方が旅立たれたお知らせだった。
病気が発覚してからも言葉を綴りつづけ、私はnoteの更新を待っていた。
目の前が滲んでいくけれど、声だけはなんとか抑えた。周りに人がいなければ声も出ていたかもしれない。タオルをもっていてよかった。
用事を済ませ、もう一つ片付けようと思っていた用事は取りやめた。今日はダメだ。
どうにもできない気持ちを抱えて、今日の残りはどうしよう。ぼんやり考えていたらお腹が鳴った。こんなときでもお腹は空く。
よし、好きなものを食べよう。
好きなパン屋さんに寄ってバインミーを買う。ほんとは人参のラペを使ったパンを買おうと思ったけど、ないものはしょうがない。さらにプリンも購入。プリンはかためが好き。
家に戻るとなんだかひんやりしている。
切ったと思っていたクーラーが元気に稼働していた。いつもなら、あー……とガックリくるところだけど、今日は助かった。待っててくれてありがとう。
買ったばかりのパンをとりだして、かためのパンにかぶりつく。諦めたキャロットラペが入っていた。玉ねぎと一緒に程よい酸味が広がる。
二口目はパクチーの香りとレバーペーストの味を楽しむ。一心に口を動かしていたら、あっという間になくなってしまった。
続いてペリペリとプリンのふたを剥がす。プラスチックの透明なスプーンを袋からだして、スーパーによく置いてあるプリンをすくう。
うん、いつもの味だ。
カラメルソースもいつも通り。これも食べてはすくい、食べてはすくいを繰り返していたら、いつの間にかなくなった。
お腹が満たされたら気が緩んだのか、また目の前が滲む。自分はだれかを想って涙を流せる人間だったんだなと、妙に俯瞰していた。
*
いつかその日がくることはわかっていたけれど、わかっていなかったな。
急にぽっかり空いた穴は急には埋まらない。
しばらく一緒に過ごして、だんだんといろんなもので埋めなおしていくんだろう。それは忘れるためではなく、忘れないために必要な過程。
またお会いしたかったです。
ふみぐらさん、たくさんの言葉をありがとうございました。
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