浅草ロック座 2023年5月公演「ADVENTURES 2nd season」
1景は樋口みつはさんメイン。南まゆさん、早乙女らぶさんとの3人が板付きで登場。3人は鮮やかめの暖色で、バックダンサーは暗めの寒色で探検服の色を揃えているのは細かな工夫だ。群舞では今回も南さんが例のようにワニに噛まれたり襲われているのだけれど、樋口さんの退治のジャイアントスイングの体勢を見ると、思ったよりワニの身が詰まってて重そう。双眼鏡型ライトを点けて動くシーンは1stよりも高さが揃っている気がする。1stの20日間を踏まえての微調整があったのだろうか。
ベッド着は1stの花井しおりさんがスポーティだったのに対して、2ndはワイルドって感じ。着崩したりボロく加工したりする感じがいい。そしてこういう加工でお決まり(?)なのが穴を開けたり破ったりして露出を増やす工夫。今回はホットパンツの脚部分を限りなく短く……ってかアレはもう下着だろ。そう思ってたら最初のポーズ切りは本当にホットパンツをパンティのように使っていた。ポーズ切りは前半が反る系中心、後半が脚上げ中心の印象。樋口さんは脚上げのとき決まって右脚を上げているみたいだけど、ストリップにも利き足ってあるのかな。股関節の柔軟性の違いはあるかも知れない。
2景は1stに引き続き沙羅さん。最初の左右の幕を使った映像エフェクトは1stになかった演出のような。その幕から南まゆさん、広瀬あいみさんが出てきて群舞へ。沙羅さんは長い袖を利用して舞台を広〜く使っています。続いて袖から今度は剣技に映るのですが、剣を振り下ろす表情の哀愁というのか、もの悲しい表情は沙羅さんにしか出せない魅力だ。群舞からベッドショーへ移るときの盲目の演技では、このもの悲しさがいっそう真に迫ってくる。袖に剣にと、1回の群舞でこれだけ要素を詰め込めるのは原作があって世界観がちゃんとしているからなのだろう。
ベッドショーでの、お客さんのほうを見ているようで見ていないような不思議な眼差し。視線はうつろでも目には確かなチカラを感じるというか、意志が宿ってる感じ。ベッドショーだけ切り取っても盲目の役どころとわかる演技力はさすがだ。
3景は椿りんねさんがメインで、コンビダンスの相手は……おおお、武藤つぐみさんです。ヒゲのつぐみさん、思ったよりおちゃめダンディーでいいぞ。ジャズバンドでコントラバスとか弾いてそう。1stの小宮山せりなさんは売店? 食堂? の主人っぽさがあったんだけど、今回は主人感が薄まってダンディーおぢさん感が強まっている。なんでだろ。
そういえばオープニングのムービーといい、1曲めといい、浅草の演出担当者はいわゆる”渋谷系”にフランスを感じているのだろうか。まあ共通してオシャレな雰囲気はあるジャンルですからねえ……。
りんねさんもかわいらしい。つぐみさんより背が高いけど、いたずらっぽい表情やしぐさで子どもっぽく見える。りんねさんの笑顔、好きなんですよね。この人は絶対いい人だと思える笑顔なんですよ。
りんねさんソロパートではベッド着がとても素敵だった! 白ワンピに、髪・袖・胸にトリコロールのリボン。髪が長めのりんねさんには1stの帽子ではなくリボンで国旗アピールというのは似合ってていい選択だと思った。キラッキラのかわいいベッドショーも◎。愛嬌を振りまきながらの自然なポーズ切りに癒される。
4景、今回はカッコいい一面を見せた早乙女らぶさん。最初はカワイイに振った踊り子さんだと思っていたフシがあるのですが、シリアスな景を演じられるらぶさんもいいですよね。どんな景にも本当に全力でぶつかってるというのを感じます。前半はバックダンサー4人と結構激しい群舞。らぶさんとダンサーとで振りが揃うシーンが何度か出てくるのが見どころ。
ベッドショーでは1stで出てきた魔法少女的ステッキは今回は出てきませんでした。らぶさんのベッド着は白ベースに金の装飾がいっぱい施されたドレスできれい。群舞からの緊張した表情に加えて、笑顔になる瞬間もあって、眉根にキュッとしわを寄せるのと、とても穏やかな笑みを見せるのとでコントラストが印象的でした。立ち上がりの曲の歌い出しに合わせて目をパッと見開くのも、大きなひとみから感情がストレートに伝わってくるようでよかったです。
5景は武藤つぐみさんメイン。1stの小宮山せりなさんから引き継いだエアリアル演目のリレー。そうなのよ、正直、おれはこのリレーが見たかったんだよ!
群舞はご想像の通りという感じ。さすがつぐみさん、何したってカッコいいんだから。せりなさんとはまた少しだけ方向性が違う、純度100%のカッコよさ。2ndもますます最高です。ダンサー陣もカッコよくて、私はとくにりんねさんの男装が好き。
エアリアルショーではつぐみさんから完ッ全に「俺を見に来たんだろ?」みたいな雰囲気が出ていて、大入りになるほど観客がいたのにつぐみさんひとりが場を支配していた。リングに乗っかるまでの序盤のアオリが長くて期待が否応なく膨らむ。自分から身体をひねって勢いをつけていく動きの躍動感、そしてリングの回転のドライブ感に圧倒された。とはいえつぐみさんにしては若干余裕を残した終わり方で、本舞台でのラストシーンは体力を余してもうひと暴れしたようにすら見えた。最後の曲が終わるか終わらないかのギリギリまで踊って、閉まり切りそうな幕に歩いていき、片手を上げながら「じゃーな」とばかりに帰っていくつぐみさん。この景のテーマは”余裕”なのかな。完璧です。
6景は広瀬あいみさん。長い髪を染めて一部編み込んでいる広瀬さんは珍しいんじゃないか。群舞は沙羅さんとのコンビダンスで息はピッタリ。ふたりの背丈も本公演メンバー中ではやや高めどうしですらっとしていてよく映える。キレのある沙羅さんに対して、のびやかなあいみさんという感じだ。
ベッドショーでは黒衣をまとっていたのかな。ケモミミは着けているけど、1stのベッド着の雰囲気とはガラッと変わる。ただこれがシンプルながら上手い演出で、黒い布からスッと手足がのぞくと黒と白のコントラストができて美しい。手足の長い広瀬さんならではのベッドショーだ。照明の効果もあって、とても見応えのあるシーンだった。草の茂みから手足を出す動物みたいな連想もできる。髪飾りも葉っぱを模していたように見えたし。
7景は南まゆさん。基本ラスト景を任されるということもあってか、優雅な衣装で踊ることが多いイメージのまゆさん。今回の衣装は最近のイメージにはなくて新鮮な感じがした。露出やや多めでセクシーさもあり、アクティブでもある。ダンサー陣もそれぞれ似合っている。個人的にはメインがシリアス景だった早乙女らぶさんのニコニコ顔がここで見られてよかった。群舞の終わりで曲が切れたあともしばらくスライム役の椿りんねさんがゆらゆら揺れているのもかわいい。
まゆさんのベッド着は黄色のドレスで、いつものイメージに近づく。ベッドショーでは黒髪と優雅なドレスで昭和のアイドルのような清純さ(⁉︎)を感じた。曲に合わせた緩急ある振り付けには、さすがに長くトリを務め続けている踊り子さんだなあと納得させられた。