『ラッカは静かに虐殺されている』を見て
ドキュメンタリー史上、最も緊迫した90分
というコピーがよく分かる映画だった。
映画、といっていいのかどうかも疑問。
リアルな映像。
渦中にいる人にしか伝えられないことがある。
どこにいてもいつ誰が殺されるか分からない、という極限状態の中でRBSSの活動を止めなかった人達が本当にすごいと思う。
本や講義やニュースで、シリアで起きてることを知ろうとしても、断片的でリアリティがなく、消化不良に陥って、もやもやしたままだった。じゃあ実際に自分の目で見に行くかといったらそれほどの勇気はない。気にしなければ毎日の生活に支障はないし、もやもやしながらもとりあえず知りたい気持ちに蓋をしていた。
それがこのドキュメンタリーで少し晴れた気がする。
アラブの春をきっかけに、自由のために闘い続ける人達。敵を倒したと思ったら違う敵が現れ、故郷を追われ、行き着いた先でも追放の目に遭う。
ただ、家族と友人と、自由に暮らしたいというだけなのに、その思いの叶わない人達がいる。
その事実がリアルに伝わってきて、悲しいのかなんなのか、気づいたら涙を流していた。
世界の現実から目を逸らしていた人間が白々しい、
と、自分でも思うけど、このドキュメンタリーのインパクトは相当だと思う。
たとえ何もできないとしても、発信する人がいる限り、知ろうとすることだけは止めないでいたいと思う。
美しい国と言われたシリアに、早く平和が訪れますように。
と、思わず願いたくなる映像だった。
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