服が変える、心のスイッチ
こんにちは。
今回はいつもと趣旨を変えて、実際に接客する中であった出来事を書いてみようと思います。
レディースの店舗に立つことも多くなり、様々なお客様を接客してきた中で特に印象的だったお客様のお話。
ファッションの世界に飛び込んだ当初は、服が人を変えるなんて、ただのセリフだと思っていた。でも、あの体験を経た今なら胸を張って言える。
服は人を変える――それも、時に大きく。
あの日、彼女が初めて店に足を運んだときのことをよく覚えている。
30代後半、二人の子供を持つ主婦。
仕事も育児も一生懸命だった彼女は、
「もう私なんて」
とどこか諦めたような笑顔を見せていた。
彼女は、他人を優先するあまり、自分を見失ってしまった典型だった。
そんな彼女に、私は何ができるのか、と一瞬だけ戸惑った。
「最近、自分のために服を選んだことはありますか?」
そう尋ねると、彼女はしばらく考え込んだ後に
「ないですね」
と静かに答えた。
彼女の目には、どこか罪悪感すら浮かんでいたのが印象的だった。
最初に提案したのはシンプルな白シャツとベージュのパンツ。
少しゆとりのあるシルエットが今の流行だけれど、それだけではただのトレンドアイテムで終わってしまう。
「もう一つだけ、遊びを加えましょう」
と言って、カーキのオーバーサイズジャケットを試着室に持って行った。
カジュアルすぎないが、肩の力が抜けたスタイル。
「えっ、これが似合うんですか?」
最初は半信半疑だった彼女も、鏡の前に立った瞬間、少しだけその表情が変わった。
シャツとパンツのシンプルさが、ジャケットの個性を引き立て、全体に余裕と洗練が漂うスタイルに仕上がったのだ。
「なんだか、すごく落ち着いて見える…」
その声には、これまでの彼女にはなかった確かな自信が含まれていた。
そして、その変化は見た目だけにとどまらなかった。
数週間後、彼女が再び店に訪れたとき、顔つきが変わっていた。
「あれから自分に少し手をかけるようになったんです」
と、笑顔で報告してくれた彼女。
その笑顔は、あの日初めて出会ったときの彼女とは別人のように輝いていた。
もちろん、すべてのケースがこんなに劇的に変わるわけではない。
でも、ファッションには確かに魔法があると信じている。
自分を変えるきっかけは、案外そういう小さな「スイッチ」を押すことから始まるのかもしれない。
服は、ただの布ではない。服が人に与える影響や、心の中に生まれる自信や誇り。それは、時に大きな変化をもたらす。
そして、そんな変化を目の当たりにするたびに、この仕事をしていてよかったと心から感じる瞬間でした。
毎日の生活に追われ、自分を後回しにしてしまうことは誰にでもあるけど
でも、ほんの少しの工夫で自分を大切にする時間を取り戻すことができる。そしてその「時間」は、結果的に自分の内面にも影響を与えてくれる。
ファッションは、単なる表面的なものじゃないし、それは自分を再発見し、自分を信じ、さらには新しい一歩を踏み出す力になるものだと、あのお客様をから学びました。
服は人を変える――それも、時に大きく。
今でも信じている言葉の一つです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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