眠っていた一着、輝きを取り戻す瞬間
「最近、何を着てもなんだかしっくりこないんです。」
そう、彼女は少し疲れた声で言った。
仕事に追われ、気がつけば毎朝手に取るのは同じような服ばかり。
自分らしさを表現する余裕も、楽しむ気持ちもいつの間にか失ってしまっている…。
その表情からは、かつての彼女が持っていた自信が、少しずつ消えてしまったことがうかがえた。
彼女が最初に僕の元を訪れた日は、どこか陰を感じさせるような雰囲気だった。けれど、その奥には、まだ気づいていないけれど輝きを放つ「何か」が隠れているのを、僕は感じていた。
「新しい服を買うのも良いですが、まずは今お持ちのアイテムにもう一度目を向けてみましょう。思いも寄らない発見があるかもしれませんよ。」
少し驚いた表情を見せた彼女。
彼女にとって、新しい服を買うことが解決策だと思っていたのかもしれません。
でも、僕が提案したのは逆。
新しいものではなく、今ある「自分」に再び目を向けることだったのです。
彼女はその日、自宅に帰りクローゼットを開けました。
そして、その中から一着のジャケットを取り出しました。数年前、思わず衝動買いしたものの、一度袖を通しただけで、その後ずっとしまい込んでいたもの。
デザインが少し派手すぎるかもしれないと感じて、着る勇気が出なかったと言います。
「このジャケット、ずっと奥にしまい込んでいたんです。でも、今見ると、なんだか気になるんですよね…。」
彼女が再び僕の元を訪れ、そのジャケットを手に取って見せてくれた時、僕はすぐに思いました。
「これだ。」
そのジャケットは、彼女の魅力を引き出すための鍵だったのです。
「派手すぎるかなって思ったんです。でも、今はどう思いますか?」
彼女が少し戸惑いながらも尋ねると、僕は笑顔で答えました。
「確かに華やかですが、そのデザインがあなたに合っていますよ。むしろ、その個性を引き出してくれるアイテムだと思います。」
彼女の顔には少しの不安が残っていましたが、僕はそのジャケットを中心にスタイリングを提案しました。
シンプルなインナー、落ち着いたトーンのボトムス、そして小さなアクセサリー。
ほんの少しの工夫で、ジャケットの派手さが絶妙なバランスに変わり、全体のコーディネートが一気にまとまりました。
彼女は鏡に映る自分の姿をじっと見つめました。ジャケットが自分の体にしっくりと馴染んでいることに、少し驚いているようでした。
「これ、本当に私でも似合いますか?」
その問いには、少し不安と期待が混じっていました。でも、彼女が見る自分自身の姿に、確実に新しい可能性を感じているのが伝わってきました。
数日後、彼女から連絡がありました。
「この前のジャケット、週末に友達と会った時に着ていったんです。そしたら、みんなから褒められて…!こんなに自信を持って服を着るのは久しぶりでした。」
彼女の声には、かつての自信が少しずつ戻ってきているのが感じられました。周りからの反応を通して、彼女は自分が持つ魅力を再発見したのです。
新しい服ではなく、ずっと眠っていた一着が、彼女の新しい一面を引き出した瞬間。
服が人に与える力は、時に予想以上のものです。
僕たちは、何気なく過ごす日常の中で自分自身の可能性を見失いがちです。でも、その可能性は、いつも身近にあるのかもしれません。
大切なのは、もう一度それに目を向けること。
その日以来、彼女はクローゼットの中を改めて見渡し、今まで「着られない」と思っていた服に再び向き合うようになりました。
ずっと手に取ることのなかったアイテムも、新たな視点で見ることで、違った可能性が見えてきたのです。
「こんなに自分の持っているもので、楽しめるなんて思いませんでした。」
彼女のその言葉は、ファッションに限らず、私たちが日々直面する「自分自身を見つめ直す」ことの大切さを教えてくれます。
私たちが「着ない」と決めつけていた一着が、実は自分を輝かせるための大切なピースだったかもしれない。
少しだけ違う角度で見てみることで、思わぬ扉が開かれることもあるのです。
もし、今クローゼットに眠る一着があれば、それをもう一度手に取ってみてください。そこには、まだ知らない自分が隠れているかもしれません。
そして、その一歩が、あなたに新しい風を吹き込んでくれるはずです。
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