「ないと困る」をつくらない
昔から手帳とか文房具は大好きで、ずっといろんなものを試し続けてきた。
2000年くらいになると、そこにデジタルなものが加わった。
学生時代、自分が立ち上げた英語勉強会で親しくしてもらっていたMさんにPalm OS機の存在を教えてもらって買ったのが、当時いけいけだったHandspring社のVisor Delux(なつかしい…)。
いろんなアプリを試し、並行して紙の手帳もいろいろ試し、技術の進化にあわせて、とにかくいろんなものを使ってきた。
2009年にiMacを買ってから、ずっとAppleしか使ってこなかったのに、ある時、Windowsでしか使えないタスク管理ツールをどうしても使いたくて、ASUSのノートPCを買った。
タスク管理のためにMacBookとASUSの2台を常に持ち歩いていたが、ある日、うっかりASUSの方を家に忘れてきてしまった。
「どうしよう、タスク管理ができない…」
と思った途端、ふと、思い出したのが、自分が新人の頃のプロジェクトでお世話になった先輩エンジニアのセリフだ。
「俺、秀丸がないと死んじゃう…」
(念のために補足しておくと、秀丸とは高機能なテキストエディタ)
そのセリフは「ないと困る」という意味で言っていることは明らかだったけど、とっさに「エディタがないと死んじゃうなんて、それ、イヤだな」と思ったのを思い出した。
それから時間がたち、気づいたら「それ、イヤだな」と思った人と変わらないことをしていた。
それから、相変わらず手帳や文房具やガジェットが好きなのは変わらないけど、基本的に「ないと困る」ような状態はつくらないように心がけている。
もちろん、メールやOfficeみたいな今の仕事をやるために最低限必要なツールは使っているけど、そのベースになる考えることは、基本、紙と筆記具だけでできるようにしている。
その紙と筆記具も「これはお気に入り」はあるけど、「これじゃないとダメ」という状態にはならないようにしている。
アプリもいろいろ試しつつ、今はなるべく純正のもの(デジタルなメモはiOS/macOSの「メモ」とか)を使うようにしている。
タスク管理はアプリ(Todoist)を使っているけど、仮にこのサービスが終わったとしても、別のツールに乗り換えるのは問題ない。
ブラウザ(Chrome)もいろいろ拡張機能は入れているけど、それもなるべく依存しすぎないように。
あ、日本語入力でATOKがなくなるとちょっと困るかなぁ。
道具やツールにこだわるこというのは、自分の中だけで完結する場合でも、十分に楽しい。
でも、行き過ぎると、こだわっているものが手に入らなくなったり、それが使えなくなってしまうことについての不安がつきまとう。
それは楽しいを通り越して、不健全だと言えるかもしれない。
道具は大事だし、仕事道具にこだわることはその道のプロとしては大事だろう。
一方で、どういうものでも仕事ができるようにすることは、技術が変わっても、時代が変わっても、そういうのに振り回されない軽やかさに通じるのかもしれない。
そういえば、ゴンチチのチチ松村さんには、こんな話しがありますね。
演奏に使用しているギターは、ほとんど「ゴミ」として捨てられていたものであり、今までに数十本も拾っているという。
(出所:チチ松村 - Wikipedia)
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Photo by Florian Pérennès on Unsplash
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