ファーストピアスの想い出
ピアスの穴には、物語がある
と思う。
開けるまでに、人はいろんな思いを巡らしたり、思い立ってパッとあけてみたり。
物心ついた頃には開いていたという人も。
身体に刻まれるこのピアスを開ける、という行為は記憶も私たちに残していく。
100人のピアスの穴には100通りの物語がある。
私の場合
それは大学受験最終局面のある日。
第一志望に向けて、最終的に詰めていた頃。
ふと、受験のその後のことが頭に浮かんだ。
結果はどうであれ、私は3月27日で、受験生を終える。(他の大学で既に合格が出ていたから落ちたらそこにいく予定)
考えれば長い戦いだった。
高2くらいから、どんどん勉強に集中して満を持してこの時期を迎え、ラストスパート。
もうすぐ、近くに見えそうな快感を思い浮かべる。
結果は大事だ。
けれどこの一番濃い青春の時期に心血注いだ事実は、
ただそのことだけでも価値のあるものに感じられた。
受験生の私と、受験が終わった私。
成人する訳でもなければ、卒業する訳でもないけれど、なぜかこの受験が終わるという瞬間が私には「大人と子供の境目」に感じられた。
そうして私は、その境界を、節目として記憶する意味も込めて、
受験が終わったその日にピアスを開ける予定を入れたのである。
その日
「バン!」
耳元に爆発音を感じ、その後耳全体が熱くなり、どこに穴が開いたのかを知らせてくる。
痛みは全く感じなかった。
その時から、私はひとつ大人になった気がした。
ピアスの穴にお気に入りを通す時
今思えば、それはただそう思っただけで
何が変わったわけでもない。
けれどピアスをつけるとき、
ふと当時が懐かしく思い出されて
少しは大人になったかなと振り返ったりする。
今も大切に残しているこの穴とは6年半の付き合い。
これからも、私はこの穴に沢山のお気に入りを通すし、
ちょっとずつつけるものが洗練されていく夢をみる。
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