【母と子】ふいに心をほどいた通りすがりの情景
信号待ちでみた光景です。
出店準備中のテナントがありました。
床にはまだ、ところどころに段ボールが積まれています。
業者らしき人たちが声を掛け合いながら作業するなか、7〜8歳くらいの男の子が隅っこで邪魔にならないように立っていました。
その子は、業者の人と真剣な顔で話す母親らしき女性を、ずっと見ています。
やがて彼女は会話を切り上げると、男の子のもとにまっすぐ向かいました。
男の子の目線の高さまでしゃがみ、ニコニコ話をしながら男の子のウエストから出ていたシャツをしまい、服装を整えます。
スーツをきちんと着こなし、シュッとした印象の彼女だけれど、男の子に向けた視線は母そのもの。
男の子にふれる手が愛情であふれているのが、遠くで見ている私にも伝わりました。
通りすがりに見たその光景が、心をとらえて離れません。
しばらくこの気持ちに温まろう。