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シャオミのEVがめちゃくちゃ売れている件(と、「モノづくり」の本格的な終わりの匂い)

すでに各所で話題になっていますが、中国で販売を開始したシャオミ(小米)の電気自動車(EV)がバカ売れしているそうです。

発売開始から30分で5万台が売り切れ、いまは10万台に届こうかという(もう届いてるかも?)数の予約が入っているとのことです。

シャオミといえばスマートフォンのメーカーとして知られていますが、ここ数年は家電でも大きな成功を収めていました。シャオミはスマートフォンにしても家電にしても、コスパに優れたモノづくりで消費者の信頼を勝ち取ってきました。

ちなみにうちの家でもシャオミ製の家電を多数、愛用しています。

そんなシャオミが、EV業界に殴り込みをかけてきたというわけです。

同社のEVは、中国ですでに大きなシェアを持つテスラやBYDなどのラインナップにスペック面で拮抗、あるいは凌駕しつつ、値段は2〜3万元(40〜60万円)ほど安くなっており、ここでもコスパ戦略を採用しているように見えます。

しかし、それにしても今の景況感の悪い中国においてこれだけの大ヒットって、結構すごいことです。さらに、EVへの補助金など各種優遇政策がすでに終了し、中国のEV業界自体の先行きが少し不透明(少なくともこれまでのような大きな伸びは期待できない)になってきたと言われていた中での成功です。

不景気を受けた中国の消費者のコスパの追求の高まりや、スマホや家電で積み重ねられてきたシャオミブランドへの信頼感、あとはデザインへの高評価(見た目が男女ともにウケがいいそうです)などが重なった結果なのかな、と素人ながらに分析しています。

あとは、実際に公道を多数の車が走り始めた時にどういう評価になるかでしょうか。よほどの欠陥が見つかるとか、深刻な事故が頻発したりとかがない限りはこのまま快進撃を続けるような気がしますが、ともあれしばらく様子を見ることにします。

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EVの普及とテスラの登場以降、日本を含む伝統的自動車メーカーの立場がどんどんとって代わられている印象がありますが、シャオミの参入と成功はまたひとつその流れを推し進めるものになるのかな、と見えています。

こちらのアジア中国ITライター・山谷剛史さんの記事によると、これまで中国においては数々の新興メーカーがEVに参入してきましたが、その明暗を分けたひとつの要因は、インターネット企業的な方法論で消費者のニーズを掴むことができたどうかだといいます。失敗した企業のトップはいずれも伝統的自動車メーカーの出身で、メーカー的な発想にとらわれていたことが敗因だとしています。

シャオミもメーカー、つまりモノづくりの企業ですが、その本質はインターネット時代に適応して成功を収めたIT企業です。いまはちょうど両者の中間点として同社が名乗りを挙げ、この時代における成功を収めようとしている、という構図がしっくりきます。

そして今後は、本格的に「モノづくり」の時代が終わっていくのかな、と思っています。

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