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中国の監視カメラの恐ろしさは、「国による監視」じゃなくてだな

こんなツイートを見ました。

https://x.com/YamayaT/status/1861733203461198081

たしかに動画では、「監視カメラが多いと、女性でも安心して外を歩けるから最高!」(大意)といって、中国を絶賛する女性の姿が収められています。

「最高、大好き」とウッキウキの女性

いっぽうでツイートのコメントには、「でも国にいつでも監視されてるってことでしょ」「プライバシーの問題が」「権力による個人への介入」というような、監視社会としての中国の怖さを語るようなものが多数ありました。中には「外国人に中国をほめさせるプロパガンダだろ」なんてものもありました。

たしかに、中国における国家による個人の監視や統制、プライバシーへの介入は大きな問題であり、議論の的です。治安維持の名目で行われているはずの措置が、国民の統制に応用されるのではないか。監視の網が膨大かつ緻密になればなるほど、その懸念は強いものになります。

ただ個人的には、中国において国家による個人への監視や介入があること自体はもうしょうがないというか、必要悪として認めざるを得ない部分があるんじゃないかと思う自分もいます。

上の動画の女性の意見にすべて賛同はしませんが、監視カメラが治安の向上に大きく寄与しているのも一定の事実ですし、何より外国人に限らず、中国の人々の多くは「監視カメラのおかげで安全になった」と喜びを口にしています。中国の人々が納得しているなら、それでいいんじゃないのかと思います。

個人情報の扱いについても、アメリカでさえ通話記録やメールの閲覧を行っていました。ある種、国家というものはもう「そういうこと」をしているものだと思ったほうがいい、という側面もあるのではないかと思います。

むろん、アメリカでの国家による情報収集がある程度法律を遵守して行われていたのに対して、どこまでも人治的であり法律にもとづかない判断がまかり通りやすい中国では、その監視や介入の程度は極めて強いものにはなる(なっている)でしょう。

しかし、それに関しても中国の人々は「国に守られているほうが安全」という感想を抱いている場合が多いです。「(治安維持という)「いいこと」に使われるのなら、別にいいじゃない」というのが、中国において一般的な感覚です。

であれば、外国人がとやかくいうことではないのかもな、と個人的には思います。

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ただ、それだけ中国政府的な視点に大幅に寄り添ったとしても、中国において無数の監視カメラが仕掛けられることには、個人的にやはり不気味さを覚えます。その理由は国家による検閲とか統制とかそういう大きな話ではなく、もっと卑近な意味においてです。

というのも中国においては、カメラへのアクセス権限を持つ個人や企業による映像の流用が、広範かつ悪意をもって起きることがおそらく避けられないからです。

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