見出し画像

「付き添い屋」にみる中国、中国人らしさ

こんなニュースを見ました。

65歳以上の高齢者が2億人を超えるなか、新たな職業、付き添い屋が急増しています。(中略)
付き添い屋は、高齢者や地方に住む患者らに対して手間の掛かる受診の予約や病院での煩雑な手続きなどを手伝います。利用者は、6割が高齢者、4割が中年や若い患者で費用は半日で200元、およそ4000円程です。

中国にそんな職業があるのか。恥ずかしながら知らなかったので、少し調べてみることにしました。

+++++

「付き添い屋」と日本語に翻訳されているこの職業は、中国では「陪診師pei zhen shi」というそうです。

いちばん古いものでは2021年にこの「陪診師pei zhen shi」について取り上げた記事が見つかりました。少なくともその頃には新しい職業として認知され始めていたようです。

また比較的最近のものでは、「陪診師なら月に1万元稼げるってほんと?」などという記事などもありました。

新しい職業が出てきたら、それっていくら儲かるのか気になるというのはどこの国でも同じですが、そういう意味でもこの「陪診師」は注目を集めているのかもしれません。

この「陪診師」が職業として成り立つというのも、中国の病院を経験している身からするとよく理解できます。

というのも、中国の病院はとにかくシステムが煩雑、かつ並んだり待たされたりすることが多く、病院に行くと病気を治してもらうどころか余計に具合が悪くなって帰ってくることも多々あるからです。

予約をとって病院に行ってもその通りの時間に診察が始まることなどほとんどなく、ようやく見てもらえるとなったらチョロっと喋っただけですぐに血液検査に行かされたりします。

そしてその血液検査でも整理券をもって延々と順番待ち、そして結果が出てくるまでまたもや待たされ、その結果をもって医者に診断してもらうまでにも時間がかかり、ようやく診断が降りたら今度は薬を処方してもらうための列に並び……と、ともかく待たされる場面が山のようにあります。

そうしたタスクがあるたびに、患者自身は病院内をたらい回しにされなければいけません。若い人ならともかくお年寄り、ましてや病院に通う必要のある高齢者にとって、これは大きな体力的負担となります。

家族がついてきてくれるならまだいいですが、家族にとっても付き添いだけでほとんど丸1日が潰れてしまうのは避けたいはず。となれば、そういった負担のかかる部分でお手伝いをする商売が出てきてもおかしくはありません。まさに需要のあるところに商売が生まれているということです。 

ただ現在は職業としての整備が進んでおらず価格にバラつきがあったり、特別な資格が要らないので詐欺まがいのものも参入してしまっていることから、行政の側がこれを整理することが望まれている、ということです。

+++++

冒頭のニュースで取り上げられている「付き添い屋」の女性は、コロナ禍でダンス教室の先生の仕事が成り立たなくなってしまったことから仕事を辞め、「付き添い屋」を始めたといいます。これ、ある意味とても中国人っぽいなと思います。

ここから先は

924字
この記事のみ ¥ 300

いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。