中国語のなかの曖昧さと、そのせいで嫁と大ゲンカになった話
Twitterでこんな画像を見つけました。中国語の奥深さが詰まった画像です。
「男の人生には、4つの段階がある」というタイトルで4つの文が提示されているのですが、そのすべては「喜欢上一个人」というまったく同じ中国語の文で表されています。しかし、その下にはそれぞれ違う英語訳が書かれています。要はこれ、見た目は同じでも全然違う解釈ができる、ということなんですね。
そうした意味合いの差は、主に文の区切り方とそれぞれの単語の解釈によって表現されています。正確性の保証はしかねるのですが、それぞれがどういう構造かを解説してみます。
いやはや、中国語を学んだ身からすれば見事だなと言わざるを得ません。内容的にはいろいろ怒られそうなアレではあるものの、ある種の真理を端的かつユーモアを交えて表現した名作だと思います。
かように中国語は言葉をどこで区切るのか、あるいはどの言葉をどの意味にとるかによって、最終的な解釈がいかようにも分かれてしまうところがあります。もちろん、文脈や状況による違いもそこに含まれるでしょう。
日本語でも、係り受けによって複数の解釈ができる「頭が赤い魚を食べる猫」という有名な文が存在していますが、実はこれを考案した言語学の研究者である中村明裕さんは、この文は「日本語が他の言語に比べて曖昧である」ということを示すつもりで考えたものではなく、同様の曖昧性は他の言語にもあると述べています。
「喜欢上一个人」は、まさに中国語のなかにある曖昧性の証明といえるでしょう。
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そういえば少し前にも、中国語の曖昧さのせいで中国人の嫁と大きな言い争いになった(というより、もとある言い争いが余計にひどくなった)ことがありました。
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