当時のまま現代に。「アバレンジャー20th」
観る前の第一印象
最初にアバレンジャーの20周年記念作品をやります!と聞いた時は驚きと不安が半々で正直言って「楽しみ」という感情がなかった。
戦隊の周年記念は度々聞いたことはあるが意外に観たことがない。
強いて言えばアバレンジャー同様世代だったハリケンジャー。
とはいえハリケンジャーは意外に出ずっぱり、ゴーカイジャーに10周年記念にニンニンジャーに…何か事あるごとに集まっている印象があるので、20周年記念もやります!と聞いた時は「またか」と思ってしまった。
そして周年記念作品で唯一観たのがそんなハリケンジャーの10周年記念。
何というか正直「面白い!」とは思えずとっ散らかってるな…という記憶しかない。
だからこそあーはいハリケンジャーまたやるのね…アバレンジャーもやるの?!と不意打ちを喰らった気分だった。これがまず驚き。
そして不安。
先のハリケンジャーのとっ散らかりもあるが、Vシネクストという作品群に総じて嫌悪感があった。
本編の死闘を台無しにしたクローズ、とりあえず死なせるゼロワン、先行試写会が葬式と化したオーズ完結編…
何というか、もう滅茶苦茶だなと思った。
仮面ライダー=悲哀 だからとりあえず死なせよう、と脳死で考えたのだろうか?
Vシネクストと称される前のVシネマの頃からもあまり良い印象がなく、とりあえずポッと出の女性ゲスト起用。もはやテンプレ。
テンプレに脳死ともう救いようがないな、という散々な印象しかなかった。
そんなVシネクストだからこその不安。
駆け出しの作品が馬鹿やったせいで20周年記念なのに今作で死者が出るんじゃないか?
そんな杞憂もなくはなかったし、それほどではなかったが不安しかなかった。
アバレンジャーの思い出
さてアバレンジャー、2003年なので自分が小学生の頃の直撃世代だった。
とはいえ幼少期に観た特撮は妙に記憶が定かではなく、戦隊だとタイムレンジャー〜デカレンジャーを断片的に観たのか相当うろ覚え。
どれも最終回とラスボスの真の姿なんてほとんど覚えていない。
同時期のクウガ〜ファイズや響鬼〜キバも一応リアタイはしていたのだが、当時1話から最終回まできっちり完走した作品は1つもないかもしれない。ほとんど大きくなってから見返した。
アバレンジャーも例に漏れず…とはならず、これが意外と覚えていた。
相変わらず最終回とラスボスとの戦い辺りがうろ覚えなだけでYouTubeで配信中のを見返したらあっここ知ってる!の連続。自分にしてはかなり珍しかった。
自分が当時買ってもらった戦隊ロボはわずか3作品のみ。
その内の1つがアバレンジャーだったのも印象強い。
換装部分の爆竜たちは買ってもらえなかったものの、アバレンオー、キラーオー、マックスオージャは揃えていたしアバレンオーの電動ドリルギミックに夢中で頻繁に遊んでた気がする。
なのでリアタイした戦隊で1番覚えているのがアバレンジャーと言っても過言ではないかもしれない。
観るに至ったきっかけ
で、Vシネクストという不安要素がありながらも公開されたあらすじは大丈夫そうだし脚本も当時の人。
何よりTwitterXで見たスタッフの裏話に心打たれた。
どこぞの完結編とは違ってこのように脚本家だけ、或いは出演者だけの意向に偏らない全員で向き合って練り上げる作品が自分の大好物。
先の「偽善者」という一面も実は漠然と共感できる部分だった。
舞ちゃんを育てる立場だからこそ悪い部分を見せないように徹するよう立ち回っているのでは?と昔から思っていた。
そこも製作側だけでなく視聴者目線で捉えることができる、当たり前のようでありながらそれができないずさんな作品が多い中の裏話。
これは信頼できる、大丈夫な作品だ。
そう思った途端Vシネクストだからという不安は今回に限っては消え去り、気づいたら公開日が待ち遠しくなっていた。
行ったことのない最短の劇場のアクセスとスケジュールを調べた所、なんと午前の1枠のみ。
おまけに公開日はファーストデイで割引。節約のためにも公開初日に行かねば。
夜勤明けにも関わらず一旦家に立ち寄り10分弱だけ滞在、すぐさま家を出て初めて来る映画館に到着。
感想
良かった点
不安を払拭して観に来て大正解だった。開始数分のオープニングで泣かされた。
20年ぶりでありつつもノリはあの頃のままだとはっきり覚えていた。
変に大人向けに改変するのではなくそのまんま20年経った世界を見てる気分。
そう思わせる役者さんの演技は勿論、聞き覚えあるBGMにそれらしい台詞。
最初は20年も経ったからやっぱりおじさんおばさんだな…と少しだけ思いつつも、いざ変身して戦うと声が当時のまま。びっくりした。ここで懐かしくてまた泣いてしまう。
アバレンジャーならではの振り切ったギャグにちょこっと挟むギャグの使い分けもあの頃まんまでびっくりした。
雑な脚本だったら絶対コロコロアニキのような露骨に20年後をひけらかす望んでもないネタを入れてきただろう。それがなかった。
大人気であろうアバレキラーの復活やどう締めるかもちゃんと違和感なく丁寧だったし、あらすじに記載されているのでネタバレではないと判断した上で書くが敵対してた頃のアバレキラーがまた見れたのが嬉しかった。
なんなら今作は仲間になる前後のどちらのアバレキラーも味わえるので二度美味しい。
それとVシネクストで個人的に嫌っていたポッと出の女性ゲスト。
ちゃんと本筋に絡んでくる上にあの年代を意識しての設定なので全くノイズに感じず、何ならその女性ゲスト絡みの話でも泣かされた。ポッと出のはずなのに…
具体的には覚えてないのに妙に聞き覚えのある当時のフレーズだったりと小ネタも満載。
惜しかった点
真っ先に思ったのが収録環境なのかたまたま今日初めて行った映画館の音響だったからなのか、台詞がキンキンして聞き取りづらい部分がそこそこあった。
戦隊の映画だから、とも思えないが…
それと先のハリケンジャー同様分かりきったことではあったが新撮でロボは出ない。
さすがにスーツが現存していないだろう。
別段不満でもないし代わりにそう来るか!な展開はあったのでマイナスな感想は抱いてないが、もしかしたらアバレンオー等期待して観に来る人が僅かながらいる…かもしれない。いやさすがに無理じゃて。
なので気になったのは音響ぐらいで今作の内容に関しては一切不満なし、大大大満足でものすごく満たされた内容だった。
何なら今でも主題歌がずーっと頭の中をぐるぐるしてる。
総評
120%大満足。観に行って本当に良かった。
同窓会…というにしてはちょっと違和感。
もうじき新作が公開されるシティーハンターの前作劇場版のような何もかも定番かつ安心できる様式美ではなく。
昔と今が絶妙に混じってるからこそ不思議、だけど懐かしくて泣ける良い作品だった。
Vシネクストだから…と杞憂してる、一切気にせず観に行くべき。
特典は昔から本命…というのも失礼だが、大体2番手が来ることがかなり多い。
開封してみたら案の定幸人さんだった。20年ぶりなのに相変わらずの振る舞いなのも泣けた。