奇跡の30周年記念!「カクレンジャー 第三部・中年奮闘編」感想
端書
30周年記念で遂に配信開始されたカクレンジャー最新作。
これまで発表してきたTTFCオリジナル作品の中でも唯一早く観たい!と昂ったので遂にTTFCに加入、夜勤の待機時間中でありながら視聴した。
カクレンジャーの思い出と今作が配信されるまでの経緯を踏まえての感想。
カクレンジャーの思い出
何度も見返した1話
もう10年以上前からYoutubeで配信されるようになった東映特撮Youtube Official(以下TTYO)。
仮面ライダーV3が最初期に配信されたのは覚えていて戦隊やメタルヒーローも順次配信されてきた。
勿論カクレンジャーも例外ではない。
調べたらV3と同じ最初期に配信されていて、あまりにも奇抜すぎて1、2話を何度も見返したのを今でも覚えている。
一番熱中したのはウルトラマンだが言ってしまえば基本の構成はほとんど同じ。
宇宙人だろうが光の巨人だろうが終盤ピンチが迫って変身、怪獣を倒しておしまい。
仮面ライダーも大体の流れは同じだ。
しかしカクレンジャーは違かった。
直撃世代のガオレンジャー辺りとは違ってまず最初から5人揃わない。これがまず驚いた。
忍者モチーフの戦隊は幼少期にハリケンジャーを視聴していたがそれとも全く違う。
妖怪でありながらアメリカンに解釈された逸材なデザインで、しかも1話の妖怪は赤星さん演じるカッパなのだから物凄くクセが強い。
カッパの先入観を見事に砕かれたのでまず印象に残るし、当初は地球侵略!世界征服!ではなく悪戯というゆる〜い悪行なのも意外。
カクレンジャーも正義感に燃えるヒーロー!というより先祖共々どこか気が抜けてるようなゆる〜い感じ。
戦隊!と謳いながらそこまで危機感は感じ得ない、かといってやる時にはキリッと切り替わるギャップがまた好きだった。
戦隊ロボも人型で召喚したものと一心同体になる獣将、妖怪に留まらずアメコミ調の吹き出し演出、定住の基地を持たずネコマルで旅をするなど何もかもが新鮮だった。
3、4話が更新されるまでの一週間で少なくとも10回は見返したはず。それぐらいカクレンジャーは視覚的にも楽しくて衝撃だった。
貴公子ジュニアの存在感!
コメディチックで憎めない妖怪たちだがボス枠の登場で空気が引き締まる。貴公子ジュニアの登場だ。
まず遠藤憲一さんを認知したのも貴公子ジュニアがきっかけ。
自由奔放かつオネエ口調でありながらごりっごりのヘビメタ衣装。もうキャラが大渋滞。
しかし本格的にカクレンジャーを潰す為に容赦なく襲いかかる。
初めての敗北を喫したシュテンドウジ兄弟の絶望感にザシキワラシでの冷酷さ。
貴公子ジュニアの本来の姿であるガシャドクロも大好きで、恐らく戦隊の幹部ポジで一番大好きだと思う。それだけ貴公子ジュニアのキャラクターは衝撃的だった。
衝撃の第二部
物語の中盤で妖怪たちの親玉である大魔王復活を企む貴公子ジュニア。
劣勢のカクレンジャーの元へ新たな戦力ツバサマルが登場、これで復活を阻止できるな…と思ったら何と新戦略投下の翌週に完全敗北。
しかも新たな力を求め5人がバラバラになって旅をする第二部が突然始まった。
仲違いで一時的にメンバーが離脱、というパターンでもなく仮にも戦隊なのに各々で行動する展開に物凄い驚いた。
とはいえ各々で試練に挑むはずなのに尺の都合でサイゾウとセイカイが一緒に行動していたり矛盾はあったが…
第二部になったからといってカクレンジャーが終始シリアス!というわけでもなく、仲睦まじいゆる〜い雰囲気の話も健在だったり平成でありがちな路線変更ではないのは嬉しかった。
堂々たる無敵将軍
まだ戦隊について詳しくない時からお城を模した異色な戦隊ロボが存在するのは知っていた。
直撃世代の動物や自動車、戦闘機モチーフではなくお城。
外国人が喜びそうだなーと安直な感想だった。
カクレンジャーを視聴して遂に拝めた無敵将軍!
名前がまず強いし変形・合体シーンも物凄くかっこいい。
序盤は名前通り敵無し、実際に燃やしている火炎将軍剣といい圧倒的だった。
後にスーパーミニプラで無敵将軍がラインナップされた時は滅茶苦茶嬉しかった。
初スーパーミニプラはガンプラに比べて妙に硬い部分があったり苦戦したが、劇中や当時品玩具とほぼ同じ変形・合体機構をこの手で体感できたことに感極まった。
30周年の経緯
以上が感想で30周年記念の新作が配信されるまでを振り返り。
突然の30周年告知…2023/8/31
TTYOにて4度目のカクレンジャーが配信され最終回を迎えた日。
普段の配信ならそのまま終わるのだが最後の最後で2024年に放送30周年のカットが表示された。
これまでの配信作品で周年記念を告知するのはかなり珍しい。
周年記念の新作…いやまさか…
何かしら動きがあるだろうと話題になっていた。
よぉお前ら、元気してたか?…2024/2/7
年が明け30周年が目前の日。
半年も経ち記憶が薄れかけた頃にスーパー戦隊の公式アカウントから突然投稿された。
ニンジャレッド:サスケ役の小川輝晃さんの音声。
小川さん自体はカクレンジャー以降も別作品で出演しており、個人的には東映ではない円谷でギャラファイのディアブロの声を担当したのが印象的だった。
そして2/18に何かが来る。
30周年、ファンミーティング開催決定…2024/2/18
遂に訪れた30周年!
待望の新作Vシネマ…ではなくファンミーティングの開催決定の告知だった。
まあさすがに30年も経つわけだしハリケンジャー等のようにそう上手くはいかないだろう…
過度な期待に反省しつつ企画が設けられたことに祝福した。
ファンミ開催、そして……2024/5/11
自身は応募しなかったファンミーティング。
直撃世代だとか自分以上に思い入れがあるファンこそ行くべきだと見送った。
なのでファンミ当日も完全に記憶の彼方だった。
その日がファンミだと思い起こさせたのが公式アカウントの特大発表、前代未聞の30年ぶりの完全新作だった。
5人が揃うどころかそれ以外の当時のオリキャスも集結、すっかり大御所でメッセージを寄せてくれた遠藤憲一さんもまさかの復活は本当に驚いた。
カクレンジャーの新作企画は25周年の際。
そこから人の縁と機会の巡り合わせでようやく制作に踏み切れたんだとか。
先に挙げた円谷でのディアボロもその一つだったのが興味深い。
第三部・中年奮闘編 感想
・辻褄合わせではない考え得る要素
中年奮闘という題目もカクレンジャーならでは。妙に語感が良くて好印象だった。
カクレンジャーの再視聴を完走して思ったのが新作を作れる可能性が十二分にあること。
完全に壊滅した組織の生き残り…というありがちな後付けではなく本編中で回収できる設定がごろごろ転がっていた。
まず作中の妖怪たちは人間のマイナスの感情から生み出された存在なので完全消滅は不可能。
封印の扉も文字通り封印しているだけ、どころか1話で封印の扉を開ける以前から現代社会でひっそり生活する妖怪やヌエのように暗躍している存在が結構いること。
最終回後も妖怪たちが蘇る可能性が大いにあった。
今作の新たな妖怪たちは新時代妖怪と呼ばれ当時のアメリカンなデザインとの融合ではなくなっていた。
正直デザイン自体はありきたりなのが惜しかったが、そもそも本編の妖怪たちは当時の人間社会に適応した結果現代風にアレンジされたという経緯がある。
それから30年も経ち、当時はなかったSNSが普及した現代社会なのだからその影響を受けて見た目がまた新たに変わったという解釈でも特に矛盾はなかった。
・正統続編
30年の歳を重ねようが中身は全く変わらない5人が立ち向かうからこそ今作は良かった。
まだ何かしらで特撮に携わっていた4人とは違い、唯一芸能界を引退したニンジャイエロー:セイカイ役の河合秀さんの撮影中インタビュー動画を見た時は完全に社会人としての丁寧な受け応えだった。
なので正直演技に違和感があるのでは…と不安だったがおっちょこちょいなあの頃のセイカイそのままで感動した。
それと持論で戦隊は誰かしらが空気になりやすい。カクレンジャーでは正直セイカイが該当するかな…と思っていたのでまさか焦点が当たるとは予想できなかったし嬉しかった。
絶賛したアバレンジャーの20thが「令和の世」で「アバレンジャー」を描いたのならカクレンジャーはより当時のままの続編。
同じSNS要素もありながらそこまで令和を押し出さずに当時と変わらぬ演出、5人の掛け合いなので直撃世代は大満足だったと思う。
ウルトラマン80の「思い出の先生」に近いような、数十年ぶりに復活した劇場版シティーハンターのような満足度。
カクレンジャーの54話を観ている気分だった。
無敵将軍が佇んでいるのも第二部以降のまま。スーツ?かどうかは分からないが嬉しいサプライズ。
・奇跡の復活、貴公子ジュニア!
公式がお漏らしして話題になったまさかの貴公子ジュニアの再演。
30周年記念でメッセージが送られたことから可能性はあると踏んでいたがいざ現実になると驚いた。
本編できっちり退場した貴公子ジュニアだが上記の可能性同様に違和感はなかった。
カクレンジャーに負けた妖怪は本来なら魂のようなものが空中に浮かび上がる。
最終回でも何体かが再登場していたことからも爆散して死んだ訳でもなく再封印した形に近い。
しかし貴公子ジュニアの場合魂が天に昇る描写がなく、薔薇を咥えた髑髏がその場で爆散する意味深なカットだった。
その後パワーアップして一時的に復活するのでは?と初見の時は展開を予想していたが再登場はなかった。
なので今作での復活も十分納得できる理由だった上に、妖怪大魔王という父がいたからこそこれまたあり得る展開だった。
総括
これまで観てきた戦隊の周年記念はハリケンジャーとアバレンジャーのみだったがハリケンジャーはどこかとっ散らかり、アバレンジャーは満足しつつも少しだけメタい小ネタに引っかかっていた。
今作のカクレンジャーはそういった気になるノイズが一切ないのも好印象。
おまけに本編後の作品でよくある成長して貫禄が感じられる演技ではなく、5人同士の会話になると一気に当時のままの掛け合いになるのが本当に嬉しかった。
個人的にカクレンジャーが大好きというのもあるが周年記念作品で一番大好きかもしれない。
今作を観るだけの為にTTFCに加入したが全く後悔しない満足度だったし涙腺が終始危なかった。
ありがとうカクレンジャー。