日本の大学へ進学後、海外の大学へ入り直す【学年、単位、入試etc】
日本の大学へ進学してから、やっぱり海外の大学に進学しようとした時、どんな壁があるのでしょうか?
それほど主流な選択肢ではないですが、うまくいけば日本の大学で得た単位を互換できたり、日本への大学進学を武器に入試をパスすることもできます。
わたしは、日本の大学に進学後、2年生の冬に進学を志し、3年前期まで在学、秋からベルギーのKU Leuven大学に進学しました。
日本の大学が合わない、海外の大学が諦めきれない、交換留学でなくもっと長い期間留学したい、など、日本の大学から海外の大学を目指す理由は様々だとは思いますが、この記事では、海外大学への入り直したわたしの経験をまとめます。
※欧州の大学を受験したわたしの場合なので、受験する大学の国やシステムによってかなり変わります。希望校に必ずご確認ください。
1. 学年
卒業する年度は、気になる項目の一つだと思います。
実は、欧州の大学の多くは、3年で学位を取得することができます。
(スペイン、フランスは4年、ファウンデーションコースが必要な場合は4年必要)
わたしは、日本の大学に2018年に進学し、2022年3月に卒業予定でした。現在は、2020年入学の2023年6月卒業の学年に属しています。
同級生とは、1年半差ができることになりますが、休学している人とは半年しか変わらないですし、プラス半年~1年半で、世界で通用する学位が手に入ると思えばそれほど遠回りではないかな、と思っています。
わたしは3年から進学しましたが、大学1年のうちに準備をしていれば、同級生とも卒業時期は半年しか変わらずに卒業できますね。また、多くはないですが一部の大学は冬入学(2月)も受け入れているのでそちらも確認してみて下さい。
また、学校やプログラムにもよりますが編入、単位の互換を認めてくれる学校も。うまくいけば、3年かからずに卒業できるかもしれません。詳しくは、2に続きます。
・どうしても卒業学年が気になるひと
同級生との卒業学年の差が気になる人(わたしもはじめは気にしていたがもうどうでもいいマインド)は、大学進学後の院進が1つの手だと思います。
イギリスの大学院、欧州の一部の大学院は1年で卒業できるので、大学院卒の資格を、同級生より1年縮めて得られることができます。
欧州の学生は、文系でも院に進学する人が多くいますし、わたしも1年の間から友達と院進学の話になることがあります。学部と院で国を変えるのも、面白いかもしれませんね!
2.入試
欧州の大学入試のほとんどは、書類だけで(面接を課す大学も有)済みます。出願についての詳しい説明は、こちらの記事を見ていただきたいのですが、私の通うKU Leuvenに必要だった書類は下記の通り。
- A copy of your high school diploma, degrees obtained in higher education
and transcripts of academic records / 高校の卒業証明書と成績証明書
- Proof of your proficiency in English / 英語の資格
- Proof of payment of the application fee / 出願料の証明
-CV/ 英語版履歴書
- A photocopy of the identity page of your passport / パスポート
- A scanned picture, preferably passport-sized / パスポートサイズの写真
- A motivation letter / 志望理由書
私は、上記に加えて在学していた大学の英文在学証明と、英文成績証明を提出しました。
ここで、トリッキーなのが高校の卒業証明書と成績証明書です。高校から直接出願する場合は、日本の高等学校卒業証明をhigh school diplomaとして志望大学が認めてくれるかというところが注意ポイントで、IBではない高校の場合、高校の卒業証明書として受け付けてくれないところも多いです。
その場合、現地のファウンデーションコースに1年間通う必要があるのですが、日本の大学に在籍していた場合はファウンデーションコースが免除になります。
例えば、出願していたオランダの大学では、私の高校卒業証明(私は大阪の公立高校出身)がHigh School Diplomaとして認めてもらえませんでしたが、私は大学に2年通っていたために合格通知をいただくことができました。
また、ドイツの大学に出願する際は、一般的に、センター試験(62%)の成績が必要になりますが、これも日本の大学に1年以上在学し、1年で35単位以上を取得している場合も免除になります。
3. 編入
日本の大学に在学していたことを最大限に生かせるのが、編入と単位互換のシステムを利用することだと思います。システムは、大学ごとにかなり変わります。必ず、希望校に事前に連絡して確認してみてください。
編入の方法は、2つあって、①大学の編入(transfer)のシステムを利用して大学に編入する方法と②単位互換で早めに卒業する方法があります。どちらも、同じ専攻や分野でしか基本的に利用できないと思われます。
個人的に、このシステムの利用は正直厳しいなという印象です。欧州の大学、特に3年で卒業でき、国際的なレベルも高い、オランダ・ベルギー・ドイツの大学は、そもそも3年で卒業できること自体が大変です。可能であるかと言われれば不可能ではないと思うので、できる可能性の高い手段をご紹介します。
①大学の編入(transfer)システムを利用する
一部の大学では、海外や他のEU内の大学からの編入を受け入れています。 [大学名 transfer]で検索してみて下さい。
わたしが出願したのは、ドイツ、オランダ、ベルギーの大学でしたが、ドイツの大学はいくつか編入を受け入れているところがありました。ドイツの編入受け入れ校はドイツ語のプログラムがほとんどでしたが、、、、
編入には、大学の成績や取得単位数などの条件をクリアする必要があります。どちらにせよ、検討の段階で一度大学に問い合わせてみるのがおすすめです。
②単位互換で早めに卒業する
日本で取った単位を留学先の大学に認めてもらい、早く卒業する方法です。
早く卒業できるか、できないかは志望大学によります。私の通うKU Leuvenでは24単位(ほぼ半期分)認めてもらっても早く卒業はできないみたいですが、出願していたドイツの大学に問い合わせた時は単位互換ができれば早く卒業できる可能性はあると返答がありました。
大学の単位互換については、続けてご紹介します。
4.単位互換
日本で取得した単位を、進学先の大学に単位として認めてもらうことができます。大学によって難易度、専攻や日本、海外大学の履修状況によって量こそ変わりますが大抵の大学では単位互換のシステムが用意されているはずです。
私は、日本で2年間で69単位を取得(かなり少ないです、拾えなかった単位がたくさん)した中で、KU Leuven大学では24ECTS(欧州の単位システム)を認めてもらいました。
KULのシステム上では、単位互換ではなくExemption(科目免除)という形で計上されます。免除を受けるには、日本、KULで受ける講義内容の80%が一致している必要がありました。
ー書類作成
・大学独自のフォーマット
免除を受ける科目ごとに、書類を作成します。記載必要な項目は、下記の通りです。進学先の大学と、日本の大学のシラバスをコピペ、翻訳(DeepLフル活用)して書類を作成しました。
①履修済みの科目の名前/学術機関/年度/単位数
②到達目標(Learning Outcomes)の照合
③講義内容(Course Descriptions)の照合
④履修済み科目で使用していた教科書
①履修済みの科目の名前/学術機関/年度/単位数
日本で取得した単位の情報を記載します。
私の申請した科目は3or6ECTSでしたので、免除を申請するECTSに合わせて、日本で取得した単位を記載しました。
学術機関が、正規学生として所属していなかった場所でも可能だと思われます。チェコで参加したサマースクールで履修していた単位も申請しようと思えば可能でした。該当科目がなく断念しましたが、、、
②到達目標(Learning Outcomes)の照合
免除を申請した科目と、日本の履修した科目のシラバスに記載されているLearning Outcomes(Objectives)を並べます。
この到達目標と、次の講義内容に関して、KULのHPには科目につき1ページほどの量で情報があるのですが、私の通っていた大学のシラバスには各2-3行しか記載されていませんでした。
流石にそれで提出するわけには行かなかったので、シラバスに公開されていた毎回の講義の内容を翻訳してここに盛り込みました。嘘はついてないので、大丈夫なはず、、、、
③講義内容(Course Descriptions)の照合
上記と同じように、該当科目、履修済み科目の内容を並べます。
違いとしては、②は授業で具体的にどんな力が身につくか。(ig.分析能力や財務諸表を読み解く力など。)③では全体を通して授業で扱われる内容が取りまとめられていました。
④履修済み科目で使用していた教科書
教科書名(日本語の場合は日本語のタイトルと英語で訳したものを記載)著者、出版年度を記載します。
・大学の成績証明
大学在学中に作成してもらった、英文での成績証明書のスキャンを提出しました。
・日本での単位の説明書類
大学側に、日本の成績基準を教えてくれ。と言われていたので、日本の単位についてまとめた書類を作成して提出しました。単位基準(欧州は独自の単位ECTSを導入)が欧州と日本で大きく違うために日本の単位の重さの説明と、日本の評価システムを記載しました。
欧州の単位基準のECTは1単位の取得に勉強時間が25~30h、日本の1単位は45hが必要とされています。(絶対にそんなに勉強していないけれど笑)卒業単位数と合わせてその旨を記載しました。
太字、Grading Systemは所属していた大学のHPに記載されていたものをコピペし、参照にURLを載せています。
ー結果
3つの書類を提出後、1週間ほどで結果がきました。
30単位を申請し、21単位取得、9単位は不可の結果でした。
不可だった科目は、ダメ元で申請したインターンを含む3科目でした。
インターン:KULではインターンで単位が取得できるが、この科目は免除の対象ではないとのこと
英語:日本で受講した英語はTOEFL特化だったため
心理学:KULの心理学がユニークで、講義内容が一致していなかったため
単位が認められるメリットは、勉強時間とプレッシャーが減って他の科目に集中できることです。一方で、するはずだった分野の勉強時間がないということになります。一度勉強していたと言え、英語での知識は少し別物。私は会計を免除になりましたが、2-3年で履修する科目(財務諸表分析など)は英語での会計の知識がベースに進むので、少し心配しています。
5.まとめ
日本の大学に進学後、海外の大学に再入学することはあまり主要な道ではありませんが、日本の大学に在学したからこそ生かせる点も少なからず存在します。
また、年齢に関しても私の同級生は17-22歳と様々で、学位を1つとってからKULにもう1つ学位を取りに来た学生、他の大学で1-2年学んでからKULに来た学生もいたりと、色々な教育バックグラウンドを持った学生が集っています。
特に欧州の大学は世界的にも有名な大学が多く、多国籍な環境で、日本の大学の学費/生活費と同等かそれ以下で、学ぶことができます。
学部、修士問わずに、ぜひ選択肢の一つに入れてみてください。
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