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社内研修的に「MOYAMOYA研究」をやってみた(感謝!) 〈@鹿児島のスライド公開!〉

こんにちは、勉強家の兼松佳宏です。

地域を巡りながら仲間と学び合う大学さとのば大学の講師合宿が、こゆ財団で有名な新富町(宮崎県)で開催されるということで、久々に南九州へ(大学生の春休みにピッタリの第二期生募集中!)。

せっかくならと2013年から2015年まで住んでいた鹿児島まで足を運び、当時かなりお世話になったTen-Labの永山由高さん、『beの肩書き』本にコラムを執筆していただいた中川詩織さんと久しぶりに再会。11月13日(水)夜に、できたてホヤホヤの新ワークショップ「MOYAMOYA研究」を開催させていただきました、感謝!


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〈城山からの朝日〉


これまで100回以上開催してきたbeの肩書きとは違い、MOYAMOYA研究としてはまだ実績もないながらも、永山さんのご厚意で社内研修+αという位置づけに(ドキドキ)。

今回はTen-Labに縁のある12名のみなさんにご参加いただきましたが、結果的に、こちらの経験不足でワークの時間がなくなってしまったり、まだまだ説明が不十分なところがあったり、いろいろご迷惑をおかけしてしまいました。

ファシリテーションのプロが勢揃いしていたこともあって、むしろ僕の方もたくさんの気づきをいただき、さらにワークの内容を発展させることができました。この場を借りて、改めて申し訳なさとともに感謝を申し上げます。

ということで今回の記事は、当日の反省点をふまえた修正バージョンです。どなたでもできるように台本も用意してみたので、興味のある方はぜひ、やってみてください!


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〈通いまくったコーヒーイノベートで台本づくり〉


〈MOYAMOYA研究@鹿児島のレシピ〉



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①チェックイン
②レクチャー
③MOYAMOYAマップ
④MOYAMOYA研究
⑤ほしい未来宣言!
⑥チェックアウト


①チェックイン

beの肩書きは3人一組ですが、MOYAMOYA研究はペアワークで進めていきます。今回は社員研修的ということで、メンバーのみなさんをよく知る永山さんにグループ分けをお願いしました。

お題はシンプルに「お名前/いまの気持ちは?」としましたが、モヤモヤと向き合う日なんだな、と準備ができるように(とはいっても無理のないように)、「最近モヤモヤしたことがあれば」という入り方もよいかもしれません。

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②レクチャー

レクチャーはnoteで書いた記事をベースに進めてゆきます。とはいえ45分くらい話をしてしまい、「頭でっかちにならないように」と言いながら、「初めて聞く言葉ばかりで思考の整理が追いつかない」という感想をいただいたので、もっとシンプルにしなくては...(余談ですが、beの肩書きを始めた頃も内容をてんこ盛りしすぎて60分くらいかかっていましたがが、最近は端折りに端折って20分以内になりつつあります)

例えば、これまで〈6つのステップ〉として説明していたところを、マインドフルネス、カタルシス効果、システム思考、コンパッションの4つのキーワードに絞り込むなど、少しずつ洗練させていきたいと思います。

例えば、こんな「ほしい未来」 → 「ほしい未来」の見つけ方 → ヒントとしての煩悩 → モヤモヤ研究のプロセス&4つのキーワード

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③MOYAMOYAマップ

最初のステップは、自分の中のモヤモヤを思い出す時間です。偏愛マップの要領でA4の紙に書き出していきますが、センシティブなこともあるかもしれないので紙に書いた内容は参加者同士では共有しません。

MOYAMOYA研究の質を左右するのは、いかに思い入れのあるモヤモヤを"研究"対象として選べるかどうかだったりします。ここで事前準備なしに(例えばオープン・センテンスだけで)進めていくと、ワークがあまり深まらないケースもあったので、こちらでお題のバリエーションを増やし、できるだけモヤモヤを思い出しやすくなるように工夫してみました。

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MOYAMOYAマップでモヤモヤを書き出したら、次の3つの条件にあてはまるものをひとつ研究対象として選び、ワークに入ります。

① 何度も同じパターンを繰り返していて、そろそろしっかり向き合うべきだと思う
② 自分一人でも、あるいは仲間の協力さえあれば何とかできそうなことだと思う
③ 今のところ、ある程度は整理がついているので、この場で共有しても大丈夫だと思う


④MOYAMOYA研究

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MOYAMOYA研究員の心得

ここから具体的なワークに入っていきますが、最初に紹介するのはMOYAMOYA研究員の心得です。安心できる雰囲気づくり、他者への関心、頭よりも体と心といったグランドルールを共有していきます。


MOYAMOYA研究員の心得

次に、研究対象として選んだモヤモヤに「〜〜すぎ問題」という名前を付けます。例えば、いま困っていること、悩んでいること夫婦喧嘩だったとすれば、「夫婦喧嘩多すぎ問題」とします。

そして、ワークシートの右下にそれを記入します。

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つづいて、ワークシートの右上に、「夫婦喧嘩多すぎ問題」なら「夫婦喧嘩多すぎない未来」というふうに、「〜〜すぎ問題」を単純にひっくり返した「〜〜ない未来」を記入します。「時間がなさすぎ問題」のように"なさすぎ"、となった場合は、適宜"ない"を消して「時間がある未来」としてください。

日本語的にはおかしいかもしれませんし、まだワクワクするものではありませんが、"ほしい未来"のたたき台の完成です。

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2人とも完成したら、「〜〜すぎ問題」になにを選んだのかをひとこと程度で共有します。その後、例えばMOYAMOYAマップにたくさん書いたほうが先、など1人目の語り手を決めます。一人分のワークの所要時間はおおよそ40分くらいで、1人目が終わったら語り手と聞き手の役割を交代します。


研究テーマのシェア

ここからは台本を手元において進めてゆきます。

ひとりめの語り手が決まったら、語り手がスライドで指示された言葉の通りに語りをはじめるオープン・センテンスという手法を用いて、研究テーマを共有してゆきます。話が終わったり、途中で躓いた場合は、もう一度最初に戻ります。

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感情を解放する①

研究テーマのシェアが終わったら、30秒間、目を閉じて、体や心の動きに注意を向ける時間をとります。呼吸を整えながら、からだのどの辺りが、どんな反応しているのか、体のどこかにわだかまりやざわつきがないか、モヤモヤを語ったあとの自分自身と深く向き合います。

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30秒経ったら、聞き手が語り手に以下の質問をします。恥ずかしい気持ちもあるかもしれませんが、できるだけ素直に、言葉にしてみてください。

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感情を開放する②

次のステップでも、聞き手が語り手に質問をしてゆきます。正解というものはないのでしょうし、無理に見つけようとしなくも大丈夫です。ただ、何を学んだのだろうか?という問いを、大切にしていただけたらと思います。

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ニーズを探求する

感情を解放し、冥利(思いがけないいいこと)に気づいたことで、モヤモヤとほどよい距離感をとることができます。そうして囚われたり、振り回されたりしなくなったことで、初めて落ち着いてモヤモヤの本当の原因を観察することができるようになります。

ここでシステム思考のツールのひとつ、コネクション・サークルをペアで考えてみます。最初は「夫婦喧嘩が多すぎるのはなぜ?」「ちょっとしたことで苛立つのはなぜ?」と聞き手が掘り下げていきつつ、聞き手も語り手が気づいていない要素があればぜひ提案してみてください。

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ある程度、要素が出揃ったら、各要素に潜んでいる本当のニーズに耳を傾けていきます。各要素に「本当は〜〜がほしい」「本当は〜〜したい」という"心の声"を加えていきます。

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ここからがモヤモヤがワクワクに転じていくいちばんのハイライトです。吹き出しで心の声を加えたら、全体を俯瞰して本当のニーズを見極めてゆきます。ふたたび聞き手から語り手に、次の質問をしてみてください。

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ここでは、最初の〜〜すぎ問題から、どれくらい飛躍したかどうかがポイントになります。あまり変わらないとすれば、コネクション・サークルに戻って、もう少し吹き出し(=心の声)を付け加えてみてもいいかもしれません。

サンプルの夫婦喧嘩の場合、「一緒にできることがほしいなあ...」が本当のニーズだったのでしたので、「夫婦喧嘩が多すぎない未来」から「この夫婦だからこそ新しいものを生み出すことができる未来」へとアップデートされました。

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⑧慈悲を広げる

ここまでは「わたしが〜〜できる未来」というふうに個人的なほしい未来でしたが、いよいよここから「誰もが〜〜できる未来」というふうに、わたしの範囲を広げてみます。聞き手から語り手に、次のように深く問いかけてみてください。

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サンプルの夫婦喧嘩のケースでは、「ときにはぶつかりながらもパートナーがいることでお互いに創造的に成長できる未来」へと、さらにアップデートされました。最初の「夫婦喧嘩多すぎ問題」と比較すると、だいぶ深まってきたことがわかります。

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自分の言葉で語る

左下に記入したほしい未来は、まだ出来たてほやほやであり、ちょっと文章としても長いので、最後に自分自身が持ち帰れるように、あるいは、多くの人と共有できるように、キャッチコピーやことわざ、歌のタイトルのような短いフレーズを、聞き手と一緒に考えます。この「ほしい未来宣言!」を、ワークショップの最後に全体で共有します。

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サンプルの夫婦喧嘩では、「問い掛け合う夫婦へ」というキャッチコピーになりました。ここまででひとりめのワークは終了となり、研究テーマのシェアに戻って、ふたりめのワークに入ります。

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ほしい未来宣言!

ふたりめのワークまで終わったら、いよいよフィナーレです。他の参加者とともに、ほしい未来を分かち合います。4はほぼ即興ですが、頭に浮かんできた言葉を素直につづってみてください。

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⑥チェックアウト

全員(人数にもよってはグループの全員の)のほしい未来宣言を聞いたら、今日の気付きや仲間への感謝など、自由に共有してゆきます。また、相手のほしい未来に寄り添ってみた気づきを聞いてみることで、チェックアウトの時間がさらにパワフルになるかもしれません。


ということで、MOYAMOYA研究ver1.1のレシピでした。


今回は図らずも社員研修的な位置づけでしたが、参加者一人一人のパーソナルな"ほしい未来"を、こうしてチームとしてシェアすることで、beの肩書きとはまた違った質感の仲間意識が育まれていたように思いました。

ティール組織』でも、組織としてのパーパスと、個人的なパーパスが共鳴したとき、その人が本来備えている最大限のポテンシャルが発揮されるとしていますが、まさにそんな空間を生み出すことができるのかもしれません。

個人と組織の存在目的が共鳴し、お互いに強化し合うと驚くべきことが起こるかもしれない。「これぞ天職だ」と言える仕事と出会う。人はしばしば神の恩寵に包まれた気分になる。自分に羽が生えた感じがする。内なる力が湧いてきて、努力しなくてもなんでもできるような感覚を抱き、かつてないほどの高い生産性を挙げている気分になる。
『ティール組織』フレデリック・ラルー、p370

また、永山さんからは新規事業を開発する最初のセッションで、まだ満たされていない社会のニーズにフォーカスしたMOYAMOYA研究の可能性もありえるかも、という貴重なご意見をいただきました。

beの肩書きはすでに新入社員研修などの実績が増えてきているので、引き続きMOYAMOYA研究のtoB的な価値も模索してゆきたいと思います。


最後に、鹿児島での打ち上げがあまりに打ち上がり、いろいろ突っ込んだ話をしてしまったなかで、『beの肩書き』本にコラムを書いてくれた中川さんが翌朝さっそくワークシートを使い、その日に抱いたモヤモヤと向き合い、新たなほしい未来宣言をシェアしてくれたのも、とても嬉しかったです。(許可をいただいたので、そのワークシートを掲載させていただきます、感謝!)

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ほしい未来やビジョンというと崇高な響きがありますが、むしろこうして日常のパーソナルな範囲のモヤモヤと向き合い、そこにある意味をつくりなおすカジュアルなツールとして、広まっていく方が本質的なのかもしれません。


ということで、さまざまな気付きにあふれた、自分にとってもターニングポイントとなりそうなMOYAMOYA研究@鹿児島編でした。改めて永山さん、中川さん、ありがとうございました!

もし、やってみたいと思った方はこちらの台本とともに試していただき、またフィードバックをいただけると嬉しいです◎ご意見など頂戴できるとうれしいです。


勉強家の兼松佳宏でした◎

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兼松佳宏/沙門(見習い)
はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎