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ソーシャルデザイン・クイズ! スウェーデンで成功した、車の平均速度を下げるための方法とは?
この記事は、書籍『空海とソーシャルデザイン(仮)』(春秋社、出版日未定)第一章の先行公開です。書籍掲載時には変更となっている可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
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ソーシャルデザインってどんなもの?
いったい、ソーシャルデザインとはどんなものなのでしょう。そのエッセンスを掴んでいただくために、クイズから始めてみたいと思います。
まずはこちらの例題から。
例題
子どもたちを危険な目に合わせないために!
スウェーデンで成功した、車の平均速度を下げるための方法とは?
① かなり恥ずかしくなるペナルティを用意した
② スピードを守った人に宝くじが当たるようにした
③ 罰金を通常の5倍にした
いかがでしょう。
みなさんがドライバーだとして、よりいっそう安全運転を心がけたくなるようなルールは、3つのうちどれだと思いますか?
正解は...
「② スピードを守った人に宝くじが当たるようにした」でした!
正解の方はおめでとうございます! 不正解の方もまだまだ例題なので、まずは次の解説にお進みいただけると嬉しいです。
車の平均速度を下げようと、スウェーデンで実際に3日間試験導入されたのが、greenz.jpでも2010年にご紹介した「スピード・カメラ・ロッタリー」というアイデアでした。
その仕組みはとてもシンプルで、法定速度30kmの道路にセンサー付きのカメラを設置して通行する車を撮影し、スピード違反を犯したドライバーには違反切符を、制限速度を守ったドライバーには宝くじの当たり券をプレゼントするというもの。
その結果、約24000台の平均速度は32kmから25kmへ、22%も下げることに成功したのです。ちなみに宝くじの賞金はスピード違反の罰金から支払われたそうで、そのあたりも気が利いていますね。
「不信」から「信頼」へ
このアイデアから学べることは、「不信」から「信頼」へ、という発想の転換です。
スピード違反のような問題行動の対策としてペナルティを科すことが一般的ですが、その背景には「何もしなければ、きっと多くの人は悪いことをするだろう」という不信感があります。その慎重さはもちろん大切なのですが、他者のことをまるで敵のように扱ってしまうことで、さらに対立が深まってしまうこともあるでしょう。
しかし、スピード・カメラ・ロッタリーが示してくれたのは、「楽しくなるきっかけさえあれば、きっと多くの人はそんなに悪いことはしないだろう」という信頼をもとにしたルール作りの可能性です。実際のところ、わざとルールを破ろうとする人は少なく、気づかないうちにルールを破ってしまっている人の方がほとんどなのです。
だからこそ大切なのは「どうしたら◯◯”させる”ことができるか」というふうに誰かに何かを強制するよりも、「どうしたら◯◯することが楽しくなるだろう」というふうに問いを置き換えて、それぞれの内発的な動機を高めていくこと。
今ここにある無限の可能性を信頼する、そんな逆転の発想からソーシャルデザインは始まるのです。
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