NeXT Computerを青梅のマイコン博物館に見に行く
2025年2月4日に、東京の青梅にあるマイコン博物館に行く。
目的は、NeXT Computerを見るためだ。
Fintech、フィンテックという言葉がある。これは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語であり、ファイナンス・テクノロジー(フィナンス・テクノロジーとも呼ばれる)の略。
この言葉を技術的に裏付けたのが、1984年、Apple創業者のスティーブ・ジョブズによってリリースされたNeXT Computerだった。
彼は、元々、ソフトウェアの開発環境として、革新的な技術を搭載したこのPCをリリースしたが、主に、マーケット的に革新を起こしたのは金融業界だった。そのマーケットは、規模が小さく、同時に、金融の知識とプログラミングの素養が必修だったため、商品としての成功はせず、1996年に、Appleに買収された。
ただ、Finance(金融)に対して、今までになかった革新をおこす。元々、サーバーマシンに主に使われていたUNIXを継承するMechカーネルを元に、OSを開発し、オブジェクト指向といわれる開発環境を持っていたため、最小の労力で、ネットワークを利用したアプリケーションに開発環境として注目を浴びる。公的機関では、アメリカ国家安全保障局、国防高等研究計画局、中央情報局、アメリカ国家偵察局などがNeXT Computerを購入。
民間では、金融機関が購入し、これを使った取引システムの構築、資産管理・投資、仮想通貨・ブロックチェーンなどの様々な金融サービスを生み出すことになる。
日本では、発売当初、Canonが取引先となり、当初販売を続けていたが、高価な商品だったため、思うように売れなかった。
私も、購入を検討したが、その用途に悩み、購入を断念した。
当時、金融業界での使用が有効であることも情報として入っていたが、その職とは関係ない所にいたため、購入を控える。
今思うと、本当に、金融関係でこのPCを使うとなると、ネットワーク、オブジェクト指向に伴うプログラミング言語の知識、金融の知識、セキュリティに関する知識、アプリケーション作成における知識など、ざっと、これだけの情報のストックが必要だった。
さらに、日本における金融業界の技術に対する後進性もその拡がりを妨げていた。
ただ、Fintechに対する後進性は、日本のビジネスに対する大きな打撃として、今日に残った。
日本の場合、ソフトウェアに対して軽んじて考える傾向があり、ハードウェアに重きを持つ傾向は否めない。イノベーションにおけるソフトウェアの重要性は、NeXT Computerが今でも教えてくれる。