サイタマのポテンシャルと起業
みなさまはじめまして。
スタジオサイタマ合同会社の加藤です。
僕たちは2019年平成明け令和の初め、地元埼玉県のために生きていくことを決意し、東京を卒業、仲間と会社を設立しました。
どんなことをしているかというと、かなりフリースタイルな感じなので一般化して説明するのが難しいのですが、直近では渋谷区神泉の廃ビルの屋上で「ツカノマノスゴイサウナ」という名前で埼玉サウナをやりました。
埼玉サウナってなんだよ。それでなんで渋谷なんだよ。とか、油断すると様々疑問が生まれてきそうなものですが、とにかく埼玉の寄居の名水や川越、所沢の薪、荒川の石や流木、深谷のライトや各地の物産、国道16号17号沿いのリサイクルショップで発見したガラクタや、そんなスゴイものを気が狂うほどにひたすら集めに集めて作り上げた!!という埼玉サウナでした。Saitama was certainly there. I'm sure.
このツカノマノスゴイサウナは、2019年11月〜2020年2月中旬までの4ヶ月弱、週末限定で開催し、NHKやテレビ朝日のニュース番組にもとりあげていただいたり、700人Overの多くの方々に来ていただくことができて、とっても嬉しかったです。
...これだけを傍から見るとやっていることとしては「イベント業」というのが近いのだと思いますが、僕たちの問題としては、そういうのやりたいの?と聞かれると、そういった志や自意識が全く無いということです。
その証明として、せっかくこれだけ身に余るほどに話題にしてもらっておきながら今後の展開とかそういうものも用意していなくて、開催終了後はただただ2ヶ月間、ゆったりとした時間が流れました。埼玉の渓流に釣りとか行ってました。追い風に乗れないタイプのサイタマです。
おまけに当時、ロウリュ用の水も東京〜埼玉山奥を往復5時間とかかけて運んでいたので、蓋を開けてみるとガソリン代と高速代と時間が途方もないぐらいかかっていて、結果、しっかり赤字となりました。薪を詰め込みすぎた二台のセダンは限界を超えてボロボロです。今でもたまに車内で虫が出ます。全く悔いてはいないですが。むしろ、埼玉と一体化できた気がして誇らしい。感謝。
こんなスタンスの身分で、こんな緊迫感の無いゆとったメンタリティで、起業はおろか、「会社を設立」などというとなんだか仰々しくて、誰に対してなのかわからないけど申し訳なくて、今までほとんどこういう言い方をしたことはなかったのですが、あえて今回はこのnoteで「会社」なんだと自分達に言い聞かせるためにそのような言い方をしています。自分たちに呪いをかけます。十字架を背負わせます。ちゃんとしないと埼玉に居られなくなっちゃうんだよ、埼玉にも迷惑がられちゃうんだよ。
と、長くなりましたが、それがこのnoteの目的です。このnoteが終わるころに僕等が、「オレら、埼玉で起業してっからさ。ヨロシク。」と言えていたらこのnoteは成功したことになります。ヨロシク。
なので今回は、
●サイタマのポテンシャル
●なんで僕達がサイタマをやるのか
●合同会社という形の理由
●「起業」という言葉への違和感
●自分達の思うスタジオサイタマ合同会社のポジション
●これからのワーク/ライフスタイルについての所感
●スタジオサイタマがやっていくこと
について今思うことをざっくりと書き記しておきたいなと思います。
ポテンシャル①埼玉は道がスゴイ
埼玉県は道がスゴイです。
埼玉県内には様々な国道が横切ります。特に、五街道の一つとして京都〜東京の東西を結んだ中山道は、長野から群馬を抜けて埼玉県を縦断しており、これは現在の国道17号にあたります。
もともと道→交通の要衝、宿場町として発展してきた武蔵国サイタマは、その名残から、各地方へのアクセスが非常に良いのです。逆を言えば、各地方から都心部への人の流れも、多く埼玉県を経由することになり、人の往来という観点でアドバンテージがあります。
ベッドタウンとしての実績から言わずもがな、東京〜埼玉間のアクセスも優秀です。例えば目黒区から草加健康センターのある草加まで、40分足らずで着いちゃいます。
ポテンシャル②埼玉は面取りがスゴイ
埼玉県は面取りがスゴイです。
埼玉県は1都6県の、7都県と隣接しており、これは関東ではNo.1、全国では長野についでNo.2となります。誰とでも手を結べる、全国屈指の仲良し県なんです。等価交換として海を諦めてはいますが、道で繋がり、面で接していることで、その気になれば物理的な商圏はきっと広いはずです。家康が武蔵国に頷いたのも納得ですね。
ポテンシャル③埼玉は平地がスゴイ
埼玉は平地がスゴイです。
埼玉を車で走っていると、サイタマって広いなぁって思います。でも実はコレ自体は間違いで、面積は約3,798平方キロメートル、47都道府県中39位と下から数えたほうが早いんです。
じゃあなんで広いって思うのか。埼玉県は平地面積割合が高いために開放感を演出します。現に、埼玉は全面積の3分の2ほどが平地で、可住地面積比率は68%で全国3位となっており、「人が使える面積が割合広い」県なんです。
絶対的な面積として狭いが、利用可能比率的には広い。結果、広く感じる。FACTFULNESS的にはこうなります。
ポテンシャル④埼玉は空がスゴイ
埼玉は空がスゴイです。
平地割合が多く、大きな建物も少ないことから、視界を遮るものがないので自然と目線が遠く、高くに上がるため、空が広く感じます。
おまけに、埼玉県は快晴率が全国No.1。アメリカ西海岸、サンノゼあたりのエリアに起業家が集まりシリコンバレーとなった理由の一つとして、事業をドライブさせてくれる程のカラッとした陽気と広い空があったことが言われていますが、それと同じようなものがあると言っても、過言ではないでしょう。激熱 Hot Town 熊谷。
ポテンシャル⑤埼玉にはオーガニック流入が少ない
これは完全なるカンで、統計データもろくに漁ってないんですが、わざわざ埼玉県をチョイスして来てくれる人々が、今はまだ少ないんじゃないかと思うんです。
秩父や長瀞エリア、小江戸川越など、観光地としてそれ自体目的になるような場所も十分あるのですが、埼玉県に入るきっかけはどちらかというと、高速が通ってて通り道だから、新幹線が止まるから、家を構えているから、など、別目的起因の「機能としての利用」が多いのではないでしょうか。
トラフィックがあるのにコンバージョンしない。比較はできないですが、トラフィックをつくることの方が大体の場合大変で時間がかかることだとすると、既にそれはあるわけだから非常にチャンスがありそうですよね。
我々が埼玉をやる理由
ここまで述べたように、埼玉は地の利を制し、人のモチベーションを上げる気候環境、さらにぱっと見ビジネスチャンスがあると言えます、言いましょう。しかし、この埼玉そのものに可能性を感じて何かをしようとしている人は多くない気がします。
原因はなんだろうと思って考えていると、仮説として、埼玉県民にとって埼玉が「非日常にも日常にもならない」→ 改めて見つめ直してポテンシャルに気付く機会の総量が少ないという状況があるのではないか?というのが生まれてきます。
■埼玉が非日常にならない
・東京からいつでも帰省することができるような距離間にあるから。
・頻繁に埼玉〜他都県間を往来しているから。
■埼玉が日常にならない
・県外へのアクセスが容易なので、埼玉の中で生活を完結させないから。
実際、埼玉県は人口でいうと全国5位なのに対して、昼間人口比率は88%程度と、全国最下位になっています。
つまり、郷土愛を感じ、アイデンティティを育む時間を奪われた民、それが埼玉県民なのではないかと!
こんな中、僕達は一味違いました。中高時代は氷川参道を通り第二産業道路に抜けて学校へ。大学時代は(大学は都内でしたが)夜になると国道17号を走り回り、ロードサイドに怪しく光るネオン、古びたガレージのような巨大なゲームセンター、星の数ほどあるリサイクルショップ、フードコートなんじゃないかと錯覚するほど大量に並ぶ道沿いのレストラン、そういったところで夜な夜な生活をしていたので、アイデンティティを育む時間は十分。埼玉の道のポテンシャルにずっと接していました。
そして、東京に出て仕事をし始めてからは、サウナ。初めは都内で満足していたのですが、都内は混んでいて辛いので、屈指のサウナ施設が存在する埼玉に通うようになりました。すると、外気浴スペースの開放感と空の広さに気付くようになります。こんな空は東京で見たことない。。東京での日常には無い、非日常としての埼玉の空のポテンシャルにたくさん接していました。
合同会社という形の理由
こんなにも埼玉の魅力を全身に感じ、刻み込まれて生きてしまったので、何かしたい。埼玉さんのお役に立ちたいでやんす!!あっしを子分にしてくだせえ。。となるのは人の常です。
つまり、仁義です。
ここに、ぼくらが「起業」とか、「スタートアップ」というような心構えになれない理由の多くがあるような気がします。埼玉さんに仁義を通し、一緒に生きていきたいだけなので、なにをするかとか、どうするかとか細かなWhat/Howの話は究極、どうでもよくなっちゃってるんです。
ぶっとく一本、手段を選ばず埼玉をやりたい。その器になりたい。それだけ。
そうすると、自分たちがつくる組織は、より自分本位でありながら外界を受容することのできる、ゆるい共同体的な形の方が向いているなぁと思い、合同会社を選びました。法人なのであくまで営利を追求するのですが、テーマが「埼玉」と広く、やることは手を変え品を変え動きたくなることも予想されましたので、そういうノリを求めました。
「起業」という言葉への違和感とスタジオサイタマのポジション
自分たちのようなスタイルは、なんと呼べばよいのかよくわかりません。
会社なのだろうか、サークルなのだろうか。特定の業種業界に、持てる技術の掛け合わせでコミットするわけでもなく、なんの専門集団なのだろうか。そもそもこれって起業といえるような代物なのだろうか。
サイタマにとって必要なこと、面白いと思ったことはWeb制作だろうと、動画制作であろうと、イベント企画であろうと、プロダクト開発であろうと、ブランディング業務だろうと、リサーチだろうと、お絵かきだろうと、靴磨きだろうと、なんでもやる。本当にそういうスタンスなんです。
「好きなことをやって生きていく」みたいなYoutuber的なことなのかと言われると、そうでもなさそう。Youtubeもやるかもしれないけどね!という。
...自分たち自身の理解を深めるために、自己分析が必要です。まずは、企業として、スタジオサイタマはいわゆるスタートアップ的な存在のか、スモールビジネス的な存在なのか、どの言葉でくくれそうなのかを確認するために、形態の特徴比較をしてみます。下記表は『起業の科学』で比較されるスタートアップとスモールビジネスの違いに、さらにスタジオサイタマを追加してみたものです。SSS。
どうやらスタジオサイタマはスタートアップでもスモールビジネスでもなさそうです。株式投資を受けられないことから、法人の形態として明らかにスタートアップではないのは知っていたのですが、思想的には一部スタートアップっぽさもあります。スモールビジネス寄りのスタートアップ的志向の持ち主、なのでしょうか。
ついでに、『逆説のスタートアップ』で語られるスタートアップとスモールビジネスの成長曲線図にスタジオサイタマを追加してみました。今現在の実態はさておき、目指している成長を二次元に収めてみるとこのような中間の感じが近い気がしてきました。埼玉サウナやって、しばらく頑張る。→埼玉サカナ釣りやって、しばらく頑張る。みたいな。
これからのワーク/ライフスタイルについての所感
このようなよくわからないスタイルの働き方、等身大に最適化した生き方というのはこれからの時代、各所で様々誕生して、やがて命名もされていくんではないだろうか、と思っています。
拠点を郊外に移すという点において言えば、スタジオサイタマをつくる前、僕はフルリモートワーク環境のVRベンチャー企業で3年ほど開発PMとして働いており、いわゆるノマド的な働き方をしていたので場所の制約が解き放たれることを実感として持っていましたし、予想もある程度はできていました。
きっかけが何になるか、という部分でいうと、今回のコロナショックがこのように人々を推し進めることになるとは予想もしませんでしたが、遅かれ早かれ、どこかの時点で、ということだったのだと思っています。
コロナショック以降の世界について人の生活や意識、ビジネスがガラリと変容することについては、様々レポートや記事が上がっているのでそちらを見ていただくとして、、、特筆するとすると、僕たち、いやオレらがやりたいのは地域最適化が進んだ、リージョナリズムの加速した先のサイタマをつくっていたい、ということです。
スタジオサイタマがやっていくこと
だんだん自覚が芽生えてきた様子なので、スタジオサイタマがやっていくこと、やっていきたいことを記しておきます。この世界ではアイデアベースで動いていくことが許されるので、好き勝手言います。
↑は各事業(予定)のラフ絵で、日々思い出しては話されます。
↓に文字でまとめます。
サウナスゴイサイタマ事業
●ツカノマノスゴイサウナ: ポップアップ埼玉サウナ
●サウナマジック: 埼玉施設特化のマニア向けメディア
●コンテナサウナ: トラクターで牽引するタイプの大型移動サウナ
●熱効率バク上げ天板: サウナ室の熱効率を最大化する装置
サカナスゴイサイタマ事業
●渓流魚スマート飼育デバイス: サカナの健康状態を把握できる装置
●サイタマヤマメ飼育日記: Youtubeコンテンツ
●サイタマ釣り日記: Youtubeコンテンツ
ショウドクスゴイサイタマ事業
●移動式の洗浄車両: 体丸ごと除菌/殺菌/洗浄できるコンテナ設備。できればサイタマの酒蔵の酒をアルコールとして使いたい。
サイタMaas事業
●長距離ドライバーの連続バイタルデータ取得デバイスと分析基盤
サイの保護活動
●サイグッズ収集と展示
●サイアートのデジタルアーカイブとレプリカ商品製造
●サイ募金
お気づきの通り、スタジオサイタマでは「S」が頭文字となる埼玉の尖った(尖れそうな)要素を見つけると、「XXXスゴイサイタマ」としてそれをやります。逆に言うとSが付かないとなにもできないというブランドレギュレーションとなっています。ただでさえサイタマは広いので、制約と誓約。
「サイ」に関しては、サイタマの「サイ」ということでスタジオサイタマの象徴としています。サイのツノのように尖っていきたい、未来の埼玉のツノになりたい、という願いを込めています。あと、普通にサイかっこいいので好きです。
こんな感じで、長くなりましたがスタジオサイタマの紹介と、会社として頑張るよという決心をここに記しました。宣言まで1年かかったけど、
オレら、埼玉で起業してっからさ。ヨロシク。
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