フランス国歌 ラ・マルセイエーズ
さあ、今回はフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」について見ていきます。まずは聴いてみることにしましょう。
いや〜、なかなか勇ましい。メロディはとても有名で、シューマン、チャイコフスキー、リスト、ドビュッシーなどのクラシックの作曲家も取り上げています。特にドビュッシーは、花火の遠い向こうにうっすらとマルセイエーズが聞こえてくるような、幻想的で面白い使い方をしています。ポピュラーではザ・ビートルズも”All you need is love"で使っていました。
「ラ・マルセイエーズ」ってなんでしょう。「マルセイユの歌」とも言います。この歌は、フランス革命軍とオーストリアが開戦するとなった時に部隊を鼓舞するために一夜にして作詞作曲されたとされているようです。なぜマルセイユなのかというと、マルセイユ連盟軍がパリ入城した時に口ずさんでいたことをきっかけに、パリ市民の間で流行したことで、「ラ・マルセイエーズ」という題名になりました。
なるほど、トリコロールと同様、革命の象徴なんですね。では歌詞を見てみましょう。
Allons enfants de la Patrie,
Le jour de gloire est arrivé !
Contre nous de la tyrannie,
L'étendard sanglant est levé,
L'étendard sanglant est levé,
Entendez-vous dans les campagnes
Mugir ces féroces soldats ?
Ils viennent jusque dans nos bras
Égorger nos fils, nos compagnes !
Aux armes, citoyens,
Formez vos bataillons,
Marchons, marchons !
Qu'un sang impur
Abreuve nos sillons !
行こう、祖国の子らよ
栄光の日が来た
われらに向かって圧政の
血まみれの旗が掲げられた
血まみれの旗が掲げられた
聞こえるか戦場の
残忍な敵兵の咆哮を?
奴らは汝らの元(腕の中)に来て
汝らの子と妻の喉をかき切る!
武器を取れ市民らよ
隊列を組め
進もう 進もう
汚れた血が
我らの畑の畝(うね)を満たすまで
なかなか過激な歌詞です。好戦的というか血生臭いですね。フランス語の話で恐縮ですが、日本語の歌詞を書いている時、”進もう”のところを最初、”進め”と書いてしまいましたが、よくみると”marchons"とあり、同じ命令形でも”進もう”という言い方でした。でも、”進め”のほうが合っているのではないかと思って調べてみると、フランス国立図書館蔵の作詞者ルージェ・ド・リールの直筆原稿には、”marchez"、”進め”と書いてあるそうです。
フランス革命後、ナポレオンが皇帝になってしまい、結局また独裁が始まってしまったため、”圧政”と名指しに近い歌詞であるこの歌は歌うことが禁止されてしまいました。その後も解禁になったり、同じような理由で禁止になったりを繰り返して、結局これ以上人気がある歌はないでしょ、ということで国歌と定められました。フランスの憲法にも”国歌は「ラ・マルセイエーズ」である。”と明記されています。
さすが、戦う国フランスですね。こうして、他のヨーロッパ諸国も羨むような素晴らしい国歌が誕生したわけです。歌詞を見ていて思い出すのはミュージカル「レ・ミゼラブル」の民衆の歌。このミュージカルの中でも間違いなくクライマックスの一つです。普段どちらかといえば争いを避ける私でもカアッとお腹が熱くなるような高揚感があります。たまにはいいものですよ。
さてさていかがでしたでしょうか。次回もお楽しみに!
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