ももへの手紙
“ももへ"とだけ書かれた手紙を遺し、お父さんは天国に旅立ってしまった。「ほんとうはなんて書きたかったの?」心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま、母いく子と瀬戸内の島に移り住む。慣れない生活に戸惑うももだったが、不思議な妖怪“見守り組"のイワ、カワ、マメと出会う。食いしん坊でわがまま、でも愛嬌たっぷりの彼らには、実は大切な使命があった……。もものために明るく振舞いながら忙しくする母いく子。そんな中、ちょっとのすれ違いからももといく子はケンカをしてしまい、さらにいく子は病に倒れてしまう。母が自分のために無理をしていたこと。母の本当の想いに気づいたももは“大切な想いを伝える"奇跡を起こしていく―。
残念ながら商業的にはイマイチだったらしい作品ですが、
私個人としてはかなりお気に入りの物語です。
子供に媚びない妖怪のデザインがまず最高ですね、
こういう作品に『かわいい』は要らないと思うので。
多感な時期の女の子、そこに現れるおぞましい姿の妖怪、
しかし触れ合っていくうちに互いが歩み寄る。
ここなんですよね、可愛い姿してたら『かわいい!』って言って
直ぐに抱きしめちゃったら終わりですものね。
おぞましい姿をしているのが、見ている側には時間をかけて
愛情を生み出していく感じも主人公とシンクロできるような気持ちで良い。
見る人によっては『で?なんなの?』って物語に写るかもしれませんが、
私は丁寧に丁寧に描かれた心の成長物語として受け止められました。
特筆すべき点は、顔の表情と動きの細かさと大胆さ、
そして美しくも綿密に描かれた風景。
美術面でも技術がつめこまれたピカイチの作品ですので、まだの方は是非。