小説版『アヤカシバナシ』弁当戦争
友人と2人でとあるアルバイトに行った時の話です。
バイトの内容はリベットと言う金属をひたすら叩いて・・・
まぁそれは良いですね、割愛しましょう。
お昼になると事務所で友人と向かい合って座ってお弁当。
お互いに母親にお弁当を作ってもらっていたのですが、私は好き嫌いが多い代わりに、これさえ入ってれば食べれるよ、そう言っていつも入れてもらっていたのは赤ウィンナーでした。
今でも赤ウィンナーは大好きです。
友人のお弁当を見ると、1つ気が付いたことがある。
いつも必ず紅白のかまぼこが入っているのだ。
今日もかまぼこ・・・昨日も・・・
すると友人が『あんたのお弁当いつも赤ウィンナーじゃん!』
と言ってきやがったのです!なんとこいつめ!
すかさず『あんただってかまぼこじゃん!しかも紅白の!』
『あ、そうだ!』『あははははは』
そんなこんなで毎日のお弁当戦争が勃発!
母親に言う事なくいつ赤ウィンナーとかまぼこが切り替わるのか!と言う戦いが始まりました。
それはお互いに母親に好きだと言っていたものなので、なかなか変更される事なく、長い長い戦いとなった。
数週間が過ぎ、決着の日があっけなく来た。
『やったー!私の勝ち!!!!!!』
お弁当を開けた友人が叫んだ。
え!?と見るとのり弁の上に真っ白なワッカが無造作に乗っていた。
『なにそれ・・・』と聞くと
『イカリングじゃん!コロモないけど!』
『やったやった!』そう言うと友人がお皿に醤油を垂らし、イカを掴んで醤油をつけて噛み付いた・・・
『ぐむむ・・・』
噛み切れない様子を私は黙って見つめていた・・・
これがウィナーズイカリング・・・
『ぬぐ?』
箸を置いて手で引っ張っても噛み切れないイカリング。
友人が口からイカリングを出して指でつまんでじーっと見ている。
私はハッ!と気が付いて友人のお弁当箱の蓋を裏返した。
その瞬間2人同時に察した・・・・。
『蓋のゴムパッキンじゃん!』
こういう出来事も実はアヤカシが関わっていたりするのだろうか。