小説版『アヤカシバナシ』確認
これは、高校時代の私が、
休日に街をブラブラしていた時に経験した話です。
ちょっと田舎な街なので、当時は繁華街と言うか、デパートが競い合うように立ち並んだ場所へは自転車で1時間以上かかったと思う。
自転車を駐輪場へ置き、本屋さんへ入った。
古い本屋さんの匂いが好きだったので、持ってる本にわざわざ手を伸ばし、読む時間をつくったりした。
んー・・・そいういう時間が好きだったんですね。
すると気になる男性を見つけた。
カッコいいとかそういう気になるじゃなく、季節外れの格好だから。今は夏、しかしその男性は長いコートを着ていたのです。
『ん・・・んん・・・色々いるよね』
そう言う答えを出し、本を戻してレコードを置いている店に向かった。
もちろんCDの時代ですが、ブラックディスクと題して、レコードを専門に扱うお店があったのです。
個人的にプレイヤーを持っていたので、敢えてレコードを買う事も趣味の一つだった、あの針を置いたズァアアアア・・プツ・・プツ・・がもう最高でしてね。
こなれた手つきでレコードをストンストンストンと選び出す。
なんとなく視線を前にすると本屋さんに居たコートの男でした。
まぁ狭い街だしこんなの普通。
そう、気にもしていなかったのですが・・・・
喫茶店で珈琲を飲んでいると店内に・・・・
古着を見ているとそのお店に・・・
流石に偶然じゃないよねって感じ始めた私は
『これがストーカーってやつ?』と思いはじめ、周囲を警戒した。
信号待ちしていると、いた・・・・
向う側の信号待ちしていました・・・『来い・・・・』
闘うような面持ちで青と同時に歩き出す。
徐々に距離が詰まるが、コートの男の目線は私じゃなかった。
勘違いか・・・そう思った時、すれ違いざまに
『見えてるよね?』と聞かれた。
とっさにマズい!と思った私は振り向くのを我慢し、そのまま見えない聞こえないふりをして逃げました。
人じゃないとしたら、あんなにはっきりした姿は初めて見ました。
街にこういう感じでうじゃうじゃ混じっているのかと思うと、少しゾゾッとしたのを覚えています。