作ったTシャツ、ノースリーブについて
こんにちは。
この夏欲しいと思い作ったTシャツとノースリーブについて話します。これは宣伝と思い出話です。
6年前、専門学校を卒業して新卒採用を頂いた会社はカットソーやニットに特化したブランドを経営する小さな会社でした。
学生当時、化学繊維を好まないいわゆるローテクな服に関心があり、この会社はオーガニックの綿100%のTシャツが代名詞というくらい自然派な姿勢で、それが芯がありカッコイイなと思って採用に応募したのがきっかけです。
入社してから1年弱は会社が持つ福島の工場で勤務して、港区の本部に移動して1年半パタンナーをしていました。
その会社は綿がワタの状態から、糸を自在に精製して国内の数少ない貴重な編み機を扱う工場で編み立てる生地開発が強みでした。
社内に大量に過去に開発してきた生地のサンプルがあります。
事業はオリジナルのブランドと並行してOEMをやっており、他企業のブランド企画のカットソーの生地開発や製造をしています。
僕は勤めていた間、いつか自分のTシャツをお願いしてみたいなと思っていました。今回この2型はその会社にお願いして生産しています。念願果たす。
入社2年目で企画商品のうち1型好きなデザインを考えていいと枠を貰って作ったパターンがありました。
結局そのデザインはボツになりましたが今回作ったTシャツはその時のパターンを基にしています。
新卒採用の面接、社長と最初に会った時。確か、確かにあれはそうだったのですが、社長が着ているTシャツよく見ると、前側にタグがぴょろんと出てて、なんか窮屈そうで
よく見ると、なぜか前後ろ逆に着てたんです。
面接も初めてで会話も浅い状態なのにいきなり謎が生まれ、一緒に面接に参加した友人と「あれって逆だよな、そういうTシャツってこと…え…」と会話しソワソワした記憶が残っています。もちろん謎のままです。
前にも後ろにも着れる形にしたのはそんなことを思い出しながら、間違って着ることないデザインにしたら面白いかと考えました。
生地はinstagramでも書きましたがオーガニックの超長綿の中でも最高級と紡績メーカーが銘打っているアルティメイトピマという品種を採用しています。リンク先の説明を読んで頂くとわかりやすいです。
アルティメイトピマの原種となるシーアイランド種の綿というのは、有名なブランドだとJohn Smedleyが代表的です。
John Smedleyは比較的しなやかで糸にゆとりのある質感で編まれていますが、今回採用した生地はより度を詰めて編んでいます。度を詰めるというのは糸と糸の間隔を狭くぎゅうぎゅうに敷き詰めて編んでいるということです。
利点は厚みがあるので透けにくい。チクスケしないです(重要)。それでいて、ざらついてなくて柔らかいタッチです。雑に言うとめちゃ気持ちいい。
パターンは身幅と肩が広く四角いシルエット。昨今よく見る形ですが、この形はどなたでも程よく体のラインを隠し、男女問わずイメージに左右されないので手軽に綺麗に見せるには大変理にかなっている形だと感じます。なのでこれは女性にもオススメ。袖は少し短めにしてヒジ関節に当たらない程度にすっきりとさせているのでだらしなくなりません。
衿はあえてあまり世に出てないスクエアと最近見ないVネックの表裏で首元が目につくような変化を意識しました。以前の出店の時に、これ丸首だったら買ったのにと言って頂いたことがあったのですが、それ既に前から世の中にあるんでそれ買ってくださいって思いました。
次、ノースリーブです。
学生の頃からメンズの服ばかり作ってきていましたが、その頃から女性の反応が良いことが多々ありました。男性向けの服を女性が着るバランスって、男性には出せない可愛さがあると思います。今まで女性が着る意識で作ったことがなかったので今回のノースリーブは少し緊張しました。
簡潔に言うとこのデザインは気に入っています。身頃をロックミシンで縫い合わせているのは肩だけで、横と前後の縦の線は4、5箇所ミシンでダダダっと縫って止めているだけです。
学生の時の授業で、書いたパターンで布を裁断してボディに着せて修正するって作業があります。布をボディに着せる時に針で等間隔に刺し合わせて固定します。
僕はこの作業が苦手でした。さっさと縫いたいと思っていました。
それと逆に時々、縫って完成した状態より、この止めてる状態がかっこいいと思うことがありました。立ち止まり考えてそもそも服ってそんなに縫わなきゃいけないのかな?この針が尖ってなければこのままでも着れるし何ならかっこいいじゃん、と。
この自分の中の問いはいつかの製作に活かそう。そう思いました。そして今その思い出を引っ張り出して作ったのがこのノースリーブです。
あんまりやってるブランド見たことないからこれはいいぜと。けどそれもそのはず、ぱっと見はシンプルですが、縫うのがとても大変です。
工場で生産しているのですが、閂止めミシンを何箇所も仮止めして始末するのが手間で、このミシンを何台も所有しているカットソー専門の工場は少ないので非効率なのです。ダーーとロックミシンで縫い合わせるほうが簡単。工賃がすごい上がってしまった。
生地は太めの不均一な質感の糸をこれまた度詰に編んでます。写真わかりにくいですがタフです。ジャケットとか作れそう。そこで縫っている部分がスカスカで空気が抜ける縫い方により暑苦しさを軽減できます。
実際に着るとそんなに縫ってないけど問題なく着れます。やってみるものだなと感じました。定番にしたい気持ちです。メンズも作りたい。
2型ともメソらしいシンプルを提案したデザインとなっています。9月になりますがこれから寒い日暑い日安定しない気候のまま冬になっていく気がするので、袖が短いアイテムも長く使えるシーンが増えるはずです。ぜひご検討ください。
宣伝は以上です。読んで頂き有難うございました。
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