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スタジオメガネの考え

スタジオメガネは、2017年多摩ニュータウンの近隣センターである落合商店街で立ち上げた一級建築士事務所である。

このnoteでは、さまざまな「視点」でわたしたちが関わっていく「マチ」「生活」「デザイン」の考え方や過程などを文章にしたため、私たちのプロジェクトの一環として育てていきたいと考えている。

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プラクティス

私たちの考えるプロジェクトは全て「実践」という言葉を用いている、これは私たちの大事な手法と思っているからである。「やりながら考える。」「考えながら微妙なチューニングを重ね創っていく。」という手法である。私たちスタジオメガネのデザインやアイデアの根幹がこの実践してから考えていくということなのだと、自分達の中で整理がついたように思う。実践し仲間と議論し、また実践する。私たちはこれを「プラクティス」と呼び、スタジオメガネの大事な根幹だと考えている。

難しい理論やテクニックを論じ、コンセプチュアルにしてからデザインを進めていくやり方がある。これを建築設計では「スタディ」と呼んでいる。軽やかにロジックを重ね、論理を収束させてから建築デザインを実践していく方法であり、一般的な手法である。言い方を変えれば、机上の空論を形にしていくことである。そのことへのアンチテーゼとして、「バー机上」と称し、よなよなバーを気まぐれに開くこととした。ここでは、酒を囲みながら空論を語り尽くすバーとしてニュータウンの新しい夜の娯楽の「プラクティス」として始めたが、コロナ渦において、継続が難しくなり、この2022年10月より新たな展開をしていくこととした。このことについては、後日発信予定である。

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ならではの視点

机上の空論は、マチを語る上では私たちの性格上その手法は合わない気がしていた。それは、枠からハズレたアイディアを拾えないからだ。つまり、その机上の論理の中でしか思考できなくなり、予想を超えた発想がしづらくなると思うのである。なぜ予想を超えた発想が必要なのか。それはマチをつくるとは、ある一つの分野の思想だけでつくられるものではないと考えているからである。
例えば、マチは建物をつくることで出来上がるかもしれないが、建築という分野だけで語れるものではない。人がそこを行き来し、住まい、遊び、生活する。その中で営まれる様々な事象が絡み合い出来上がっていくものである。それを一つの理論だけで収めてしまうことは到底難しいことである。
かたや、私たちの手法としている「プラクティス」は、痛い目を平気で味わいながら進行していく方法であり、とても非効率である。しかし、失敗の数々から得られる学びの情報量が圧倒的に多いことも体感している。これを続けることで、感覚が研ぎ澄まされ、マチでの振舞いが身体化し、より実態的なアイデアが生まれてくる。それは、決して王道ではなく、机上の思考でもなく、魅力的で官能的な、少しハズレたアイディアが生まれるのである。

建築家として頭でっかちになっていた私たちは、この数年のニュータウンでの活動で、環境を立ち上げることが建築家の役割であると体感し始めている。人のいるマチをつくるとは、環境を立ち上げることであり、それをデザインすることが今後郊外やニュータウンではとても重要になるはずである。空気感や雰囲気をつくり出すための少しの実践。これを今後より深く追求していきたいと思っている。


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