本を10冊読んで「企画とプレゼンテーションのやり方」についてまとめてみる。

初回更新:2018年8月25日
気が向くタイミングで、随時更新中。

はじめに

じぶんは会社で"仕事として"、アイデア出しや企画提案をしています。

そんなじぶんが新卒で会社に入って驚いたのは、「アイデア出し」や「企画提案」は仕事だというのに、どのようにしてやっているのか、誰も知らなかった・教えてくれなかったということです。

それを学びに会社入ったつもりだったのに。

だから本を読んでその手がかりを掴もうと、あくせくと頑張りました。
今はなんとなく、それができていると思います。

そんなじぶんだからこそ、「アイデア出しや企画提案をどのようにやっているのか」を、体系的にまとめようと思い、書籍まとめのかたちで書き起こしました。そうでもしないと、当時の自分に申し訳が立たないので。

「企画・プレゼンテーション」スキルを分解する

では、早速本題。一口に「企画・プレゼンテーション」と言いますが、その中身は、次のようなスキルに分解できます。

1.普段からノートをつける
2.コア・アイデアをつくる
3.ストーリーをつくる
4.スライドをつくる
5.プレゼンをする

これまで少なくとも数十冊はこの分野について本を読みましたが、概ねこれらの要素に括れるため、それに従ってまとめていきます。

では具体的にどんな手順で、企画について頭を回し、本番のプレゼンテーションまでこなせばよいのか。順を追ってまとめていきます。

1.普段からノートをつける

その日、見つけたもの、観た映画、聞いた音楽、欲しいと思ったものなど、出会った様々な物事についてノートへ書き残します。そして書き残したことに対して5段階で評価をつけ、なぜその評価にしたかの理由を書き加えます。その上でさらに、その理由になるのは「なぜ?」「なぜ?」と繰り返し「なぜ?」の深堀りをして考えを深めます。


 具体的には、


 1-1 出会ったものを、1行でノートに書き残す。
 1-2 書き残したものを、1~5点で評価する。
 1-3 なぜその点数をつけたのか、理由を書き残す。
 1-4 書いた理由を、さらに「なぜ?」と深掘りする。
 1-5 できれば、友達とその理由を語り合う。あるいはSNS等へ投稿する。

1-2や1-3を通じて、じぶんにとっての「好き」や「嫌い」をちゃんと言語化・理解できるようになります。それらが積み重なっていくと、"こうあるべき”という、対象領域の理想像が、段々と出来上がっていきます。

この”こうあるべき”の固まりこそが、アウトプットをするときに表れる、オリジナリティや見識になります。

オリジナリティは何も企画アイデアに限らず、ストーリーをつくったり、絵を描いたり、作曲したりといった、さまざまなアウトプットに表れてます。

逆に、”こうあるべき”の固まりが何も無い、つまり「じぶんの中にオリジナリティが無い」状態で、無理に何かをつくろうとすると、手詰まりになったり、無意識のうちに外からネタを”パクってきた”アウトプットになりがちです。ですから、普段からこうした確固たる"好き"や、"こうあるべき"を積み重ねていくことが必要なのです。

ノートをつけるさらなる効用

企画にせよ作品にせよ、人に見せる段階で何度も「ダメ出し」に出会います。

その時はまず、言われたことを全てノートに書き留めること。次に「なぜ、ダメなのか?」を具体的に聞き詰めることが必要です。もしも”なんとなく”、あるいは”なぜかわからないが”で、ダメ出しをもらっていると、どう直せば良いものになるか、理解るようになりません。自分の成長のためにも、そして修正を無駄にしないためにも、”なぜ?”を問う習慣を身につける必要があります。

さらに、ノートに書くことには精神的な治療効果もあります。
ノートに意見を書き留めると、自分そのもの(人格)と自分の企画とを、切り離して冷静に見られるようになります。

”ダメ出し”をもらったときに、自分と作品を切り離すことができていないと、”自分”に対して”ダメをもらったように感じ、精神的に傷つきます。あるいは「あいつは俺と合わないんだ」など、感情論で片付けづてしまい、作品が良くならないこともあります。

ちゃんとした意味で、自分の企画をより良いものにするためにも、自分そのもの(人格)と作品とを切り離して、あくまで対象物として見られるようにすることが大事です。


2.コア・アイデアをつくる

その時のお題に関する領域について、過去と現在について素早く調べ上げた後、「こういうことをすれば、こんな未来が訪れてみんなハッピー」という、その企画で伝えたい、” issue(仮説)”を描く。そして、その未来に至るための突破口を示し、具体策を設計する。それらすべてをまとめ、コア・アイデアとする。

具体的には、

2-0 目的を再確認する(クライアント作業ならクライアントのもの,個人開発なら自分もの)。 

2-1 Five Fource + 2などのフレームワークを使って、対象領域の過去と現在の情報を整理する。WEB/書籍/雑誌/(手に入るなら)過去の企画書/過去実績などから関連する情報を収集する。

 2-2 周辺環境の、過去と現在に見受けられる事柄の打ち、<良い>方向に変わるために、否定すべきものを見定める。

 2-3 現状をどんな風に否定(改善)することで、どんな未来が訪れるのかを、主語と動詞を入れた具体的な60字(日本語)以内の文章にする。

 2-4 今度は領域ではなく、具体的なその商品/サービス/人物等について特徴を書き出す(一部は、Five Fourceと被ると思います)。
 
2-5 特徴について様々な視点から、具体的な解決アイデアをつくる。この部分について書かれている書籍やブログは多く、オズボーンのチェックリスト・TRIZなどから、使い慣れているものをご活用いただければよいと思います。

 2-6 つくりあげたコア・アイデアを、フォーマットに当てはめて整理する。

   フォーマットの要素
   1.issue文章
   2.現状の問題
   3. 解決のポイント
   4. impact
   5. 今後の課題

とにかく、土台を定めてからジャンプをすること。前提条件も何も、あやふやなまま進めると、明後日の方向に向かってアイデアを出してしまったり、あるいは、アイデアが出ずに呆然としたまま、ただ時間が過ぎていったりします。

もし、チームでの作業であれば、自分自身ではアイデアを上手いこと出せなかったとしても、他の人がアイデアを出す基礎にしてもらうことができます。

また、情報に間違いがあって、それをベースにアイデアを考えてしまっていたとしても、こういった整理があれば、後々の方向修正もしやすいです。

3.ストーリーをつくる

三幕構成に従って、コア・アイデアを伝える絵コンテを描き上げます。プレゼンの目的は、聞き手に動いてもらう,仲間になってもらうことです。したがって、正しさは重要ですが、共感する/心動く物語にしなければ、目的を果たすことができません。

どんな高級ワインだって、100円のバケツにでも入れられたら 美味しく感じられないですよね。
 
いくらコア・アイデアが素晴らしくても、伝え方が酷ければ、退屈で眠気を催すものになります。よきアイデアを、100%のエナジーを担保したまま伝えるためには、伝えるための器としての役割を果たす、ストーリーの力が不可欠です

では、ストーリーづくりのために、具体的にどうするか? 難しいことはなく、コア・アイデアまでできていれば、整理をすることが中心になります。
3-1 最低限、共有する必要のある、過去と現在の情報を整理する(状況整理)。

3-2 次にその現状に悪さをしている"問題"を描く(被害)。たとえば、誰が・何をしているのが問題なのか? /  それによって、どんな悪影響がでているのか? / あるいは内面的な問題として、どんなことの欠如が問題であるのか?

3-3 "問題", "欠如"から回復する/解放されるためには、どんなことが必要であるのか?  解決をするためのポイントを3つにまとめて述べる(武器獲得)。

3-4 "問題", "欠如"から、回復/解放されることによって、どんなにいいことが起こるのかを描く(回復/後日談)。

3-5 具体的にどんなことをすればよいのか。アクションプラン/今後の課題/Next Stepを書き記す。
 
3-6 絵コンテに、1要素,1コマにして、内容の順番を試行錯誤~確定へ導く。

映画のストーリーも、こういった構造に則っていることが多いです。

私ごとですが、実は卒業論文で「ドラえもん」のストーリーについて、構成要素を分析するという経験をしました。そのときの分析と似ているものがありましたので、「ドラえもん(映画版)」で具体例を示してみます。

映画のはじめには、その映画オリジナルのキャラクターに出会ったり、異世界へ飛んでいくという、設定に関するあらましが描写されます。いたって平和な世界です。

しばらくすると、敵キャラが現れ、平和を乱します。のび太と友達になったキャラクターを誘拐したり、世界の平和を脅かしたりします。

ドラえもんや、さらなるオリジナルキャラクターの手助けにより、どうすれば、また平和な状態を取り戻せるかの道筋・ヒントを得ます。様々な道具を得たり、さらなるキャラクターとの出会いが起きます。映画の時間配分としては、ここが大抵、最も時間の長いパートです。

様々な困難を超えた結果、脅威となっていた敵キャラを倒します。あるいは、起きていた問題の解決にいたります。

物語の最後は、平和を噛み締めつつ、成長したのび太たちを見送るといった、余韻に浸る時間となります。


さて、ビジネスにおける企画書に立ち戻りましょう。パーツとしては、ほぼ一緒です。

まずは、プレゼンに必要な、前提情報を共有。さらに、追加情報を取り揃え、一体どんな問題が存在していて、何が原因であるのかを提示します。

どんな解決策を実施すれば、問題を解決することができるのか。その助けとなる、世の中で起きていることがあれば、それらも紹介します。

考えうる、解決策によって、どんな風に問題が解決していくのか、解決に至る流れを説明します。

問題が解決すると、どんな未来が訪れるのか?誰がハッピーになるのか? そういった未来像を再度刷り返します。

こういったストーリーに加え、最後に、見積りやスケジュール、要確認事項といった、解決策の実施に関わる今後の課題、Next Stepといったものを示してあげることができれば、より実現性がグッと伝わります。

ドラえもんにないのは、最後の見積りなどくらいでしょうか?エンドロクレジットが、それらにあたると考えれば、やはりほぼ同じです。

4.スライドをつくる

 3で整理したストーリーを、 プレゼンの際に使うスライドで強化する段階です。喋るだけで伝えきることができるならよいけれども、視覚効果のあった方が、より記憶に残りやすいですし、聞いた相手も、そのまた上司に報告する必要のある場合が多いので、共有できるスライド資料のある方が、プレゼンは絶対によくなります。

<基本パターン>

 具体的な内容は以下の通りです。

 4-1 スライド編集画面では、三分割法のガイドラインを設定する。 (4:3スライドの場合、縦線は、"4"と表示されるところと"12"と表示されるところ。横線は、"3"と表示されるところと"9"と表示されるところ。) 

 4-2 そのスライドで使うフォントを設定する。(游ゴシックもしくは、ヒラギノ角ゴ推奨)

 4-3 そのスライドで使う3色のカラーパレットを設定する。(クライアント作業の場合であれば、コーポレートカラー+2)

 4-4 キーメッセージを絵コンテから書き写す。位置は、左上か、センター上。文字サイズは、少なくとも12pt以上(ページ番号,脚注を除く)


   順番と枚数の目安として
   1.現状の問題(1~3枚)   
   2.issue文章(1枚)
   3. 解決のポイント(3枚)
   4. impact(1枚)
   5. 今後の課題(1枚)
   計 7~10枚
 ※あくまで目安です(演出や表現の精度具体などにより、枚数は大きく変動します)

 4-5 キーメッセージを強化するために、グラフやチャートを足す。

 4-6 一度書いたあとも、意味が通るギリギリまで情報は削ること。


  

5.プレゼンをする


 スティーブ・ジョブズは、プレゼンの名手として名高いですが、コピーを目指すべきではないです。エッセンスだけ抜き取って、活かしていくことが必要です。とにかく練習、練習、また練習。最低でも、20回は、通しでプレゼンのリハーサルを行うことが必要です。

上記のチェックリスト一つ一つについて、プレゼン本番までに確認をしていきます。

一部、そのままではわかりづらいところについて、補足をしていきます。

数字の表現について
「102×61.8×19.9mmのサイズに、5GBの音楽を入れることができます」と言って、どれだけの人が、その数字の意味を理解できるでしょうか?

iPodが登場したとき、Steve Jobsが用意したコピーは、”1000 songs in your pocket.” でした。直感的にわかる表現ですよね。個人的にも、最も好きなキャッチコピーの一つです。

こういったように、プレゼンで伝えるその数字は、相手にとって手触りのある数字になっているか? そういった視点でのチェックが必要です。

なっていなければ、何かに喩えたり、言い換えたりして、よりよく伝えることができないか、検討してみることが必要です。


Q&A対策について
通常、プレゼンをした後の質問は、コントロールすることができません。だからといって、その部分に対して準備をせずに行くと、質問がきたときに、しどろもどろになってしまいかねません。それでは、プレゼンそのものを上手く喋りきったとしても、残念な結果になってしまう可能性大でしょう......

そうならないためにも、事前にちょっとした準備をしておくことで、最後まで、一貫して、魅力あるプレゼンにできるでしょう。具体的には、次のようなプロセスの準備です。

<準備>
1.そのプレゼンにおいて、想定される質問を列挙する。
2.列挙した質問を、似ているもの同士をまとめていき、7グループに分ける。3.7つのグループに対して、最適な答えを考える

<当日>
4.質問が来たら、落ち着いて、7つのグループどれに当てはまるかを考える。5.深呼吸をしてから質問に答える。



エレベーターピッチについて
エレベーターピッチそのものは有名かと思います。15秒~30秒で、その企画の要旨を伝えることですね。

でも、その作り方はよく考えると、聞いたことがありません。今回、それを見つけることができました。具体的には、次のような質問に答えられる1文をつくることができれば、それで大丈夫です。

1.何をするのか?
2.どんな問題を解決しようとしているのか?
3.他とはどう違うのか?
4.なぜ気にかける必要があるのか?

以上、本を10冊読んで「企画とプレゼンテーションのやり方」についてまとめてみました。

まだ、不足しているところ、具体性の低いところがありますので、都度都度更新をしていきます。

これくらい、入社したときに、全てまとめて教えて欲しいものですが、意外と世の中の人は、本を読んでないみたいですし、読んだとしても、人に伝えようとしてくれる人は、なかなか居ないものなんだなあと思いました。


引き続き「はじめのメモ」の投稿に書いてあるようなことを題材に、合間見て書き綴ってみようと思います。


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今回、主に参考とした書籍

書籍なら、合計 20,170円(税込)それくらいの価値があるまとめになるように、継続して頑張ります。

ちなみに、序盤で「スキルを分解」しましたが、ここは非常に重要だと思います。やってみて、痛感しました。

なぜなら、世の中、企画に関する本は溢れているけれども、本ごとに何を教えてくれるかが違うから。

書店に行くと、「企画」「企画書」「プレゼンテーション」といった、一括のコーナーに、まとまっています。

でも、実際、スライドの書き方重視の本には、アイデアの出し方については深く書いていなくて、プレゼンの喋り方がメインの本には、日常的に何をすればよいかは書いていなかったりします。

そういった”全体像”を意識せずに次から次へと本を開くと、「へぇ、そうなんだあ」と、毎回新しいノウハウを得た”気分”にはなりますが、身につかないですし、同じことが、違う文脈で書かれているのに出会うと面食らったりもします。

だから、まずそのスキルがどんな要素で構成されているのか、分解をしてみて、買った本は、どの部分に関係するものなのか、ある程度明確にしてから作業すると良いと思います。

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