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舞台「パラシトスシンドローム-双義惺惺-」を終えて

(※記事の最後に公式サイトの閲覧ページのキーワードヒント①を記しています)

皆さんこんにちは、超プロデューサーのヌビアです。早いもので終演から2週間が経ちました……え、もう3週間ですか!?早ッ!!


そんな感じで余韻に浸る間もなく、通常業務をこなしつつアーカイブ配信用の音声編集と映像編集を終え、各所に確認を回す作業を終え……さてそろそろやなと思いこの文章を書いています。

公演準備〜公演直後ってのはどうしたってアドレナリンがドバドバなので、落ち着いて自分の中に湧いてくる感想に向き合えないのよね。皆さんの感想とかも溢れててそれすらも冷静に受け止めきれない。(これは音楽家としてもそうですが)録音や録画を見直すのはとっても大事。

ていうか編集のため必然的に2時間の舞台映像を何度も、何度も何度も何度も……(CV. 玲止)見返すことになったので、グツグツと湧いていた心にも必然的にだいぶ落ち着きが戻ってきました。

そんな僕の心に残ったものは、希望……じゃなくて。ただただ「ああ、良い舞台だったなあ」と。


舞台全体の感想

文章で書くとあまりにも長くなってしまうのでまずは結論をざっくりと。


……いや本当によかった!!やり切った!!

色々なことがありましたが心の底から純粋に、実に良い舞台だったと、やり切れたと。そう思うことが出来ました。


何度も触れていますが、声優朗読舞台というメディアで「完全新作の厨二病世界を描く」というのはおそらく前代未聞の挑戦でした。

舞台という場で輝き散りゆく命の灯火、愛と憎悪の物語。

プロデューサー/ディレクターである自分と、ボイスキャスト・舞監・演出・音響照明がギリギリまで膝を突き合わせ、何をどう描くかの取捨選択と煮詰める作業を繰り返しました。


「これはキャラクターに言わせるべきなのか?」「効果音 or 照明 or 音楽で表すのか?」「いや語り部に語らせないとだろう?」「いやいやこれは舞台であるからして、いっそ描かない方が『舞台的』なのでは?」


一流のプロフェッショナルばかりが集まった現場でした。そんな全スタッフが細部へ妥協なく挑んだ、まさに「生きた表現」がそこには確かにあって。

もちろんより良く出来たであろう点も多々あるでしょうし、思い出補正がないかと言われれば嘘になりますが、それを差し引いても自分は最高だったとしか言いようがないのです。


物語について

※原作者特権で写真載せてます、みんなはダメだよ


僕は生々しい「人間」がどこかに香る作品が好きです。特に各キャラクターの生き方や考え方をどう伝えるか、そこは脚本・構成の天道さんと作っていきました。


聖佳の死生観、摩弥の感情の行き場、こじらせたオッサン和歌月。この3人がそれぞれの瞳に映したもの、それを通して対立する明止・玲止の人となりも徐々に観客の中で浮かび上がっていく。

これは天道さんが脚本に入って下さったならではの効果だと思っていて。

物販の売り上げを数えてみると、今回来場の8〜9割がパンフレットを手に取っていて、これってつまり8〜9割の方が設定資料を読んでいるというかなり特殊な状況だと思うのですよね(ゲームやアニメで考えれば異常なことです)。

舞台という土壌でやるために敢えて登場人物や設定を掘り下げすぎない、その補完すらも楽しむという舞台の文化がジャンルや描写にはまったのではないかと。

こういった舞台的な表現具合&詳細に描ききる厨二作品的描写のバランス感が僕には心地よかった。両者の美味しいどころ取りをして頂いた感覚と同時に、このジャンルへの朗読舞台という媒体における可能性も強く感じました。


後半のモノローグ・戦闘描写は8割がヌビア執筆だったのですが、特に聖佳の死生観というかメンヘラ観については、生と死の相対的な位置について一つ自分なりの解答を出してあげられたのではないかと思っています。

僕はまったくメンヘラではないんですけどね、だからこそ大きな興味を持って言語化することが出来ました。「メンヘラ」に悩む人に少しでも添うものになればとも。


音楽について

僕と、僕の作曲の師匠でもある与猶啓至さんとで創り上げた16トラック(厳密には演出の都合上舞台上であと2曲追加しています)。

与猶さんのそれは、そのどれもが至極の一言で。個人的には特に『白処神逐』がトリハダものです。

ラストのシーンを含めた情景として発注した曲なのですが、そのシーンにこんな解答を出せるのか!?出せるわけねえだろ!!とジタバタしておりました。

この辺はあまりにもマニアックな内容なので語りませんが。やっぱり凄いです、いつまでも勝手にその背中を追わせてください。

自分の曲としては……表題曲でもある『双義惺惺』が1番気に入っていたのですが。いざ舞台が終わってみると『聖櫃』が想定よりも良い形で機能したなあと。

あとはやっぱり『Parasite Load』ですよね、榊原ゆいさんに曲を書く日が叶うなんて。この曲は『依草付木』と違い、本舞台の結末をある程度考えていた上で書いていたこともあり一層思い入れが深いです。


今回舞台上では生演奏と音源の併用という形を取ったのですが、このスタイルはかなりハマった気がします。

これまで奏者として声優朗読舞台で数々生演奏をしてきましたが、朗読の空気感に深くマッチする効果がある反面、やはり「厨二」というジャンルにおいては物足りなさがあるのではと予感していました。


そこで音源ならではでしか出せない緊張感や壮大さを取り入れつつ、感動的な場面や役者の息遣いを感じたい部分では生演奏を取り入れる。

加えて、ヌビアらしくそこに即興演奏を大胆に取り入れることで、その舞台限りの表現や繊細さ、緊張感を生むことができたなと思います。

ピアノのbataojisanさんとの掛け合いが非常にいい形でフィットしたと自画自賛です。生演奏の7割は即興だったんですよ、すごくないですか???そしてエンディングを飾ったレジさんの歌唱。振り返っても実に激アツ……ここは是非配信を楽しみにして頂きたいです。


照明音響ほかについて

照明セクションを指揮する赤田さん、音響セクションを指揮する増田さん、そして演出のドヰさん達のご活躍によってこの舞台は真に成り立ったと言っても過言ではないでしょう!

初日の稽古で内容はもちろん、演技プラン・演出プランがおおきく変更となり、効果音も30個ほど追加されました。彼らの柔軟さとプロフェッショナルによって脚本演出セクションがセリフや描写の大胆な取捨選択を行えたんだと思います。

通常では文字で描き切らなければいけない部分を隠しても照明がそれを補えるし、おかげで観ている人に「余地」を残せる。

エコーの具合、効果音・セリフ・音楽の音量バランス、音効のタイミング……音響の細やかな工夫が複雑な情景をよりわかりやすく伝える。分からないことを楽しむ、という舞台文化を上手く活かす演出プランだったのではと思います。


これらは決して、当たり前のことではないのですよね。特に音響面は、業種が被っていることもありさらなるリスペクトの念を抱かざるを得ません。

ちなみに効果音はすべてヌビアが制作しております。効果音専門のサウンドクリエイターではないのですが、かなりこだわれたと思います。特に必殺技のSEなんかはギリギリまで調整が続きました。

声優キャストの皆さまについて

今回僕の中で「なんとなく」や「しょうがなく」で決めたキャストさんは誰一人いませんでした。

比留間さんは初対面から明止の声質にドンピシャだと感じたこともあり、別現場の舞台裏で「オファーしたいんです!」『是非是非!』とお話しました。これが社交辞令でない世界線があるのか。あるんだよ。
憎悪をテーマにした作品だからこそ、どんなに演技力があってもドスの効いた声質を伴わなければ成り立たない。どちらもを兼ね備えたハイカロリー主人公でした。

石谷さんのキャラクターと脚本世界観への理解度はとても深く(ご自身が爪牙であることもあり)、かつ2日目公演ギリギリまで玲止という役柄に真摯に向き合ってくださいました。僕からの脚本相談にも乗って頂いて……まるで玲止が舞台に顕現したようでした。
あ、終演後にプレゼントしていただいたウイスキーはこれを書きながら今美味しく味わっております。


榊原ゆいにゃんさん!!本当に縦横無尽に駆け回らせてしまってすみませんでした!!そして遠慮なくぶつからせて頂いてありがとうございました!!
聖佳はゆいさんと真逆の人間像であり、だからこそゆいさんはこういう人間をどう解釈するのか、それを見てみたいという思いでオファーさせて頂きました。圧倒的な歌唱力と聖佳への解像度の深さで風邪ひきそう。


摩弥は性癖を詰め込みつつ、舞台において1番大きな変化のきっかけを起こすキャラクターにもなりました。場面は違えど、順番的には摩弥を引き金に各キャラがどんどん憎悪に殉じヒトになっていく物語。
だからこそ摩弥はキーキャラクターであり、そこに誰を起用するかは超重要だったのです。「声優としての野田さんをもっと知ってくれ」……そんな思いがありましたがきっと僕の言いたいことは皆さんに伝わったのではないかなと。


森田さん、愛してます(唐突な告白)。僕の中で和歌月という男は森田さんしかあり得なかった。座組みを支えるムードメーカーであり、誰よりも深くこの物語世界に向き合ってくださったと言わざるを得ません。
森田さんがいらっしゃったおかげで僕は、最後までこの作品を自信を持ってやり遂げることが出来たとすら言えます。


米内さん榊原優希さん……アンタが犬伏だよ最高です。ナチュラルボーンで厨二病だった榊原さんの演技は、まさに「口から犬伏」と言えるほどにドンピシャ。その上でそれとは違う犬伏像を作り上げて下さったのが米内さんでした。
この一役だけのWキャストが、1日目と2日目の印象を大きく変えた要因であり、結果両日鑑賞の方がその差分を楽しめた最たる部分でしょう。


普段からエゴサの鬼として知られる私ヌビアです。ほぼすべての感想をしっかりと拝読しております。

心の臓までグン刺さりした方、あまりピンと来なかった方、描写に感心してくださった方、不足を感じた方、結末が好きだった方、もっと違う結末を望んでいた方……

あえて「賛:否」とするなら体感「9:1」というところでしょうか。でもって、これは人を選ぶジャンルかつ朗読舞台史上初の挑戦として素晴らしい結果であり、かつ9割の「賛」をしっかり刺すことが出来たと感じています。



話が脇道にそれますが、知り合いのバーのマスターがイメージカクテルを作ってくれたんすよ……

舞台を見てものすごく感動したと言って下さって、グッズ買い揃えやがりましてね……(ていうかなんで自宅じゃなくバーにアクリルスタンドがあるんだよ)

実はこれらは即興で出されたカクテルなのですが、彼が台本とパンフレットを読み込む徹底ぶりだったからこその解像度。この解像度は知り合いだからとか忖度とかそういう熱量で出てくるものではないです。

あまりのキャラクターへの理解の深さ・作品愛・プロフェッショナルに衝撃を受けてしまったので紹介しておきます(※こちらのアーカイブで情緒が限界となった僕を観測することが出来ます)。


この舞台を通してたくさんの、とても大きなエネルギーを受け取りました。パンフレット冒頭のあいさつで書いたような寂しさが晴れた、まずそれが何より嬉しいことでした。
座組からもスタッフからもお客様からもファンからも……すべての声を咀嚼し嚥下した果てに「良い舞台だった」と自信を持って言えることが嬉しいです。そしてこれを経て、さらなる挑戦に向け全力で邁進していくことが出来ます。


「この人生を一つの作品として振り返ったときに、自分が物語の主人公として輝き続けられたと誇りたい」。これからも常に進化と前進を続け、果てに遥かなる高みに至るために。

そして誇りを持って完成をさせた人間だからこそ言えることがあります。


まだやれる、もっとやれる、切り拓ける場所がある。総てをやり切り、血を吐いて全力を出し切った人間だけが、この発言を許されるはず。


まずは皆さん、アーカイブ配信を楽しみにお待ちください!!会場に来られた方も来られなかった方にも、きっと楽しんで頂けるのではないかと思います。

……二次創作書いてる人とかもいてうれぢい〜〜〜もっと書け〜〜〜俺も三人組の平和な日常シーン見たいし犬伏に面倒ごと全部押し付けて逃亡したいし和歌月オジとドライブデートぢだいナ"ァ"〜〜〜(血涙)え、摩弥体液採取するの??しょうがないなあオヂサンが手伝ってあげる☺️☺️☺️


……すみません一旦黙りますね。


さいごに

たくさんのスタンドフラワーに感謝を


皆さま、『パラシトスシンドローム』公式サイトに特別ページが用意されているのはお気付きですか?


このページに進むための合言葉へのヒントその①

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