『ガラスの動物園』の「究極課題」を振り返る
こんにちは!スタジオ共作所です。
私たちは2023年2月にガラスの動物園の
公演を実施しました。私はガラスの動物園でトム役を演じた大月利貴と申します。
私たちは『ガラスの動物園』公演の中で役を演じるだけでなく、役を演じるに当たっての俳優としての究極課題の手紙を作り、その手紙を劇中に読み上げ、観客にありのままの自分自身をさらけ出しました。
これは役が戯曲の世界で達成したいものとは別に、俳優自身がこの公演を通してどんな風に役を演じたいのか、どんな人間になりたいのか、その課題を達成するためにどんなアプローチをしてきたのか、何を実行するのか手紙を読むことで観客に約束します。こういうふうに、まず俳優が自ら自分自身をさらけ出すことによって心がほぐれ、そして、それは俳優だけではなく観客の皆さんにも新しい視点で劇を観てもらえるのではないかと考えました。単に役を演じている俳優をみるだけでなく、役を演じるまでの俳優の過程、演じるときの俳優の課題、課題を乗り越えようとする際にぶつかる障害、その時生まれる俳優自身の葛藤も劇に現すことで、より多角的な視点で劇を楽しむ事ができると考えました。結果は肯定的な意見と否定的な意見が出ました。肯定的な意見には、
・俳優の抱えている悩みが、観客にとっての
悩みでもあって共感できた
・俳優がみずからをさらけ出す事で安心して
劇をみていられた
などの意見があり、否定的な意見には
・手紙を読むことでむしろ役を演じづらくなっていたのではないか
という意見もあり、良い面があったと同時に課題も残る結果となりました。今回の結果を踏まえ、次回も実験的にアプローチしていきます。
大月利貴(トム役)