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混ぜるから美味しい「K-ACTING」

私になぜ韓国演技が必要か? 韓国演技を通してどうなりたいか?

それには主に2つの理由がある。
 1. 他者と交流したいが、自分が否定されたり傷つく事を恐れて消極的になったり迷う自分から、今ここで何をするか明確で具体的な目標を持つことで余計な迷いや思考から解放される自分になる。

2. それぞれの物事をそれぞれに線引きし一辺倒の演技や解釈になりがちな自分の考え方が、線引きを消し、混ぜる事で多角的に物事を捉え新しい価値を見出す自分となる。

では、私が思う韓国演技の傾向は何か?
それは三つあります

 1. 役に対する、戯曲に対する当事者感覚を持つことで自分自身が信じられる明確で具体的な課題を 持つことができる。

理由これは、韓国のドキュメンタリー映画「共犯者たち」チェ・スンホ監督をみたときに、イ・ミョンバク 政権や報道の自由を統制してるメディアに対し韓国人が大規模なデモを行っているのだが、驚いたのはこんなに大勢でデモをやっているのに、そこに野次馬がいなくデモを行うほとんどの人が今ここにいる意味を見出し行進を行っていた。このような光景は私が生まれた平成そして現在の令和では滅多に見られない。これらを通してわかることは、社会問題における国民の当事者感覚が韓国と日本では違うということ。それは、役に対する「当事者感覚」とも繋がっていると思うようになった。「当事者感覚」を持つことで自分自身が信じられる課題を作れるが、それがなければどれだけ理にかなった課題でも身体的行動は生まれないとスタジオの訓練を通して学んだ。

2. 何かを線引きし境界線を作るのではなく、境界線をなくし融合させる事で新しい価値を見いだして いるということ。

理由)これは、6月7日(水)のスタジオ共作所でチェさんとかずおさんのレペテションをみて感じた事がきっかけだ。二人のレペテションは一語のレペテションも、一言のレペテションもまた通常の日常会話 の全てが別々にではなく融合されていた。一方、一回目にやった自分とかずおさんのレペテションは 自分がレペテションというルールに従ってしまい、かずおさんをみれなくなりルールに囚われたレペテションになってしまった。
チェさんとかずおさんのを観た後もう一度レペテションをやったがこの時は、ルールにとらわれず目の前のかずおさんとシンクロすることを念頭においた結果、お互いを助け合いながらでき一回目よりも発展があった。
また最近、韓国語の勉強やビビンバを積極的に行うなかで、

ハングル文字は母音と子音の組み合わせで一つの文字になるということ、ビビンバは個々の食べ物を別々に食べるのではなく、混ぜるから美味しいんだということを肌で感じた。

大月利貴


20年以上、食べ物と食 べ物がくぎられてきたお弁当、ひらがなやカタカナで育ってきた自分およびその他の日本の20代の若者にとっては何かを混ぜる事で生まれる新しい価値観はクリエイティブにおいてとても大事だと思う。

3. 人間である俳優と俳優の相互交流を通してお互いの役が成立する

理由)去年、駒込で「存在WS」に参加するなかで、対面ポーズゲームや、椅子遣い、など他 者を通して自分が成立するエクササイズをやって来た。それは「他者を通して自分の役が成立する」とも言える。このエクササイズを通してドラマ『愛の不時着』をはじめとする韓国のドラマや映画も「存在WS」でやっている事が反映されていると思うようになった。それはなぜかというと今目の前の他者に動かされているからだ。
私はというと、他者に動かされる前に自分で勝手に動いてしまう癖がある。それは緊張しているというのが原因ではあるが、そのさらに根本的な要因はそもそも他者を観れてないという事にある。
「存在WS」の今目の前の相手を通して自分が成立するというのは、ある意味でインターネットの普及により、実際にその場にいなくても情報を得たり、会ったこともない芸能人や、スポーツ選手などのスキャンダルで「この人はこんな人だ」と議論してしまう現代人にとって凄く大切なテーマだと思うし、今を観れるようになったとき私は他者を印象ではなく根拠をもって観れるようになると思う。
そうなれば、私の「失敗したらどうしようとか、うまくやらなきゃ」という思考がそもそも存在しなくなるし、歪んだものの見方もなくなる。そして何より、他者を正しく観ることで他者に対する関心も 湧くと予想している。それは、今の同じく20代の俳優にも通ずる事だと思う。

まとめ
私にとって韓国の人は行動のための行動をしている人が少ないのではないかと感じた。チェさん、オさん、リさん、そして韓国語の先生、ドキュメンタリーでみた韓国国民に共通しているのは、韓国人は明確な目標を持って行動ている人が多いと思う。その目標を達成したいから今を観ることができ、型 にはまらないその場に応じた対応ができるんだと思うようになった。

韓国演技を通して、今まで自分 の目標よりも周りの空気を読んで自分を抑えてきた自分をはじめとする多くの日本人が他者に支配されず、自分の人生に主体性を持たせる事ができると思う。そしてそれは俳優の舞台上の振る舞い や役を具現するまでの過程にも必ず影響を及ぼすと思う。

2023/06/10 大月 利貴

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