"連続性の美" 7要素「斜俯瞰」

2024年7月7日 21:45

2 斜俯瞰（Bird's eye）

斜俯瞰のことを書こうと思ってから随分と時がたってしまった。何を書こうか頭の中でまとまらないまま、時間ができたので作品のアーカイブを見返してみた。すると自分でも認識できていなかったことに気づいたので、書いてみようと思う。

興味深いと感じたのは斜俯瞰の作品が占める割合が大きく変化しているということだ。"連続性の美"という言葉を使う前に撮影したほとんどは斜俯瞰の作品だった。まだ家に眠っているHDを全部捜索したわけじゃないので、後から他にも出てくるかもしれないが、現時点で把握できているのは2020年から。その頃に惹かれていたのは、路面に書かれた文字や記号。いわゆる路面標示だ。グラフィカルなカタチに惹かれたのもあるが、現代の日本らしい写真を和を使わずに表現したいという想いもあり今でも好きなモチーフのひとつだ。本格的に撮影することが多くなったのは2022年1月から。まだNFTを始める前ということを考えると何かしら自分の中で変化があったのだろう。その頃はアマチュア時代から数えると20年ほど撮り続けて来た写真を辞めるかどうか初めて悩んでいた時期でもあり、何が自分を駆り立てたのか今では思い出すことはできないが興味深くもある。もしかすると2021年の12月にiPhone13 Pro Maxに変えたことで写真を撮りたくなったのかもしれない。その当時は作品にするというよりは、iPhoneをメモ代わりに使っていたこともあり、特別誰かに見せようと考えていたわけではなかった。

まだiPhone6s Plus時代。夜景の描写が粗い
Tokyo,2021/02/06

2022年1月頃はまだ対象に対して遠く、ミニマルな雰囲気もたまに出て来るくらいで今の視点とはかなり違う。広く遠くに向けられていた視点が徐々に近づいて行くのが興味深い。完全に無意識だったと思うけれど、何を撮るべきか少しずつ焦点が明確になっていった感じだろう。4月の終わり頃には今と対象の距離が同じくらいになっている。

線路の直線と自分がいる建築物が作り出す三角形を意識して
NishiOi,Tokyo
2022/01/21

「東京の夜空には青空がある」
今に通じる画面構成
Tokyo,2022/01/22

撮影対象とまだかなり距離がある
Shimomaruko,Tokyo
2022/01/27

6月中旬からNFTに挑戦するためにTwitterを始める。
ツイートすることによってフォロワーさんから作品への質問であったり、リアクションがあったことで、苦手だった自身の作品の言語化を少しずつするようになり、撮る意識もこの頃からメモというより見せることを意識するようになって来た頃。

雨の日は路面がグッと締まって画が濃くなる感じが好きだ
Tokyo
2022/07/14

影の濃さがうだるような夏の暑さを感じさせる
まるで配置したような車のバランスに惹かれて
Musashikoyama,Tokyo
2022/07/21

上の作品と次の作品はNFTで3Dアーティストのセイちゃん（X:@OoooohSay）とのコラボで選ばれた17作品のうちのひとつ。後に自身の初のNFTコレクションにも原作としてコレクション化した思い出深い作品たち。

この作品を説明するために
初めて"連続性の美"という言葉が生まれた
Tokyo
2022/08/23

"連続性の美"という言葉を使い始めたことによって、自身の中で何を撮っているのか明確になり、作品の精度が上がって行くきっかけになった。言語化することの重要性を再認識した。9月の頭までは撮影している9割が斜俯瞰の作品だった。それが、9月中旬から反射の作品を撮り始めたり、直線美の作品の面白さを再認識したりして割合が逆転して1割ほどになっていく。建築物がもつ連なりの美しさを撮りたいということで、建築物そのものにフォーカスした作品が増えて行く。