HOPE2024を見学しました
北海道印刷工業組合が主催するHOPE (HOKKAIDO PRINT EXPO) 2024がアクセスサッポロで行われたので見学してきました。2020年にコロナがアレして以来、久しぶりに展示会の見学です。
印刷会社向けの展示会なので、あんまり私には関係ないのですが興味のあったものがいくつかありました。
法規書籍印刷株式会社
カタログによると「印刷会社のR&D部門が出展」とのこと。確かに、本業の印刷ではなくてソリューションやツールの展示をしていました。
noteもやっておられるようです。
こうやって開発したツール類のブランディングとか、発信方法は売り上げとは別に今後の仕事の仕方を考えるヒントになりました。
Flyp
「デジタル検版をもっと気軽に。」
ブラウザ上で動作するのでインストールが不要で、どこでも誰でも簡単にPDFの差分をチェックできます。
デモを拝見すると、PDFをラスタライズして画像として差分をチェックするようです。
そのため「人間では気付きにくい画像の微妙な修正」もしっかりチェックしてくれます。
その一方で「ドキュメントに1行追加・削除」した場合、変更のあった箇所以降の行がすべて差分となってしまいます。以下のようなカンジです。
修正前
あああああ
いいいいい
ううううう
2と3の間に1行追加して修正
あああああ
いいいいい
えええええ
ううううう
内容が変わっていない「ううううう」も差分となってしまう。
このような場合に「3.えええええ」と「4.」だけが差分となってほしい、というオーダーであればFlypだとツライです。
(Proof CheckerだとこのようなチェックとFlypのチェック方式を使い分けられる)
既存データの改訂や流用が多い私のような場合には、以下のようなケースだと使えるかもと思いました。
10年ぶりに改訂するドキュメントだが当時の環境はもう無いので、取り急ぎ現在の環境で開き直してPDFを出力し、10年前のPDFとのズレや文字化けなどの予期せぬNGをチェックする
出所の知れないデータを一式支給された場合は、とりあえず支給されたままのPDFと、自分の環境でDTPデータから書き出したPDFを付き合わせてみる
支給されたPDFと支給されたDTPデータがビミョーに異なっている
同じ名前でタイムスタンプの異なる画像が複数あり、DTPデータには古いタイムスタンプの画像が貼り付けられている
(Illustratorの文字組み機能がアップデート後)文字組み機能アップデート前に作られたPDFと、アップデートが反映された環境で作られたPDFの文字組みがズレていないかどうかの確認
私だったら、こんなカンジで使うと思います。
作業に取りかかる前に、データが使えるのか否か、目に見えているモノが信用に足るのかどうかをチェックをするのに良さそうです。
なお、環境が違うといっても、パソコンを買い換えた、OSやアプリケーションのバージョンが変わってしまったぐらいのカンジです。
Flypは通常版でも、チェックできるのは100ページまでと制限があります。なので検版と結果の分析を手分けすれば、ある程度の数はこなせるかもしれません。
なお支払いは、サブスク方式の月々払い。
チェックが必要な月に契約して、制作中は解約して、チェックをするタイミングで再契約のような使い方でもOKだそうです。
紙の受注が激減している今、チェックの効率化やツールのコストも考えた方が良いかもしれませんね。
るびこ
デモはあったようですが、お話を伺うのを失念していました……う~ん、残念。
株式会社ウイズ
CARM2
「専門知識不要でいくつでもスマホアプリやWEBアプリが作成可能」のシステム。展示内容はPAGE2024にもありましたので、こちらもご参照ください。
「専門知識がなくても作成可能」なのと、「自分の思い通りに理想的なものを作れる」のとはわけが違うのでしょうが。
お話を伺うと、クライアントにこういったWebアプリ――スタンプラリーとか、オーダーシステムとかを導入してもらうためのソリューションも一緒に行ってくれるとのこと。
制作会社の立場としては、カタログでモノを見ながら、ARで使用感を確かめられるというのが便利なのは百も承知なのですが。クライアントがそこにお金を出してくれるかどうかは別の話。
紙のカタログとARを組み合わせたサービスはいろいろありますが、「紙のカタログとARを組み合わせた効果」を一緒になって考えてくれるというのは、導入時のハードルが下げられそうだと思いました。
株式会社オンデオマ
印刷部ドットネット
制作会社として言って良いことじゃないかもしれませんが、名刺に関わることをクラウドですべて賄ってしまうというのは、それはそれでアリかもしれないと思いました。
(あまり大きな声で言うと怒られそうですが……)
とはいえ制作の都合と、名刺印刷を営業ツールとしている人とでは考え方が違うでしょうから、それはそれでそういうことだと思います。
名刺制作を受注している立場としては、なかなか難しいアレではありますが。いろいろなアレを棚卸しする良い機会でした。