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誰のセージゃ(前編) 花の名は。Vol.35(1/2)
政治の話を、
違います。花の話をします。お題はセージです。ハーブの代表格のひとつ。肉料理の香りづけ、などに使われます。なので私はてっきり、ソーセージのセージだと思い込んでいました。間違っていました。ソーセージの香りづけにセージを用いることはあっても、古来からのレシピにセージは含まれておらず。語源からして違うそうです。
ソーセージは塩漬けされた肉。塩、ソルトと関係します。セージは癒し、健康。その香り以上に、薬効が尊ばれてきたのです。
セージ、学名はサルビア オフィキナリス。サルビアといえば。夏の花壇に咲く真っ赤な花や、ラベンダーと間違われるブルーサルビア。そのサルビアです。欧米ではサルビアの代表格が薬効のあるハーブとして重宝されたセージだったので、観賞用のサルビアにも○○セージという名がつけられました。他と区別するため、サルビア オフィキナリスはコモンセージとなっています。薬用、食用にされるのは主にこの種だけで、他はほぼ観賞用です。
日本では、観賞用のサルビアのうち、一年草タイプがかなり古くから普及しました。誰もが知っている真っ赤なサルビア スプレンデンスと、ブルーサルビアこと、サルビア ファリナセア。やや遅れて宿根性のサルビアが次々と導入されます。そこで、英語名の○○セージ、のみならず、日本国内だけで通じる○○セージの名が付けられてしまいます。勢い、別の種が同じ名前で流通するような混乱が生じました。
この問題を整理するのに、確かな文献は、我が国におけるサルビア研究第一人者、水戸植物園園長の西川綾子氏著、『よくわかる栽培12か月 サルビア』NHK出版、です。混乱した名称が一覧で整理されています。○○セージの部分だけ転記します。
学名の種小名(カナ表記)=英語名≒日本での流通名とします。和名は省略。
先に述べたコモンセージの場合はこうなります。オフィキナリス=セージ、コモンセージ
一番、普及している、いわゆるサルビアはこうなります。スプレンデンス=スカーレットセージ
宿根サルビアで一番人気のアメジストセージに至っては、こうなります。レウカンサ=メキシカンブッシュセージ、ベルベットセージ≒メキシカンセージ、アメジストセージ
我が国でかなりメジャーですが、英語名ではないという。
確かな文献、としました。発行は2001年。本稿を書いたのは2025年。24年、約四半世紀を経過。その間に何が起きているか想像するに。分類学の進展で学名が変わっている可能性があります。別種だったものが統合されたり、逆に分かれたり。それと日本での流通、流行の変遷で、新たに導入されるサルビア属があったり、既存も含めて新たな○○セージという名が普及していたり。分類が変わっても、過去の名称が消えうせる訳ではありません。
おまけに、○○セージには、サルビア属ではない植物もあります。エルサレムセージ、ロシアンセージ、ウッドセージ、プレーリーセージ。3つはシソ科ですが最後のプレーリーセージはキク科です。
どうしてこうなった。誰のせい? 誰のセージャ!
続く。
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