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椿、山茶花、茶(後編) 花の名は。Vol.18(2/2)

続きです。画像は都筑区で、(本当)

Ylidtによると、寒椿、学名はこちらが標準。Camellia sasanqua 'Shishigashira'サザンカの1品種としての扱いです。獅子頭、という品種の別名が、寒椿。ここまで、大丈夫ですね。シノニム(異説)が2つありました。

Camellia hiemalis
別種説ですが、カンツバキをサザンカとツバキ(ヤブツバキ)の交雑種とする説があります。なので次のように記載されることが多いです。いずれ標準になる可能性があります。
Camellia × hiemalis

その2。命名者は牧野富太郎博士。
Camellia sasanqua var. fujikoana
サザンカの変種説ですね。これが時々、下記の表記で出てくるのです。
Camellia sasanqua cv. Fujikoana
cv. は栽培品種のこと。普通省略し、品種名を’’で括るので、品種とするなら次の表記が正式です。
Camellia sasanqua  'Fujikoana'
読んでみると、カメリア・サザンカ・フジコアナ。富士子アナ?はてはて。

出所が判明しました。
『甲南Today No.17 2004March』甲南学園広報部。印刷物がPDFでWebにありますが全文引用します。

平生先生の五女、冨士さんの名前がついた椿があります
カンツバキ(ツバキ属) 学名 : Camellia sasanqua cv. Fujikoana
平生記念館に咲くカンツバキは、「原色 牧野植物大図鑑」で有名な理学博士牧野富太郎先生が、昭和の始め頃、平生邸(当時)を訪れたとき、門から玄関に通じる道の片側に低い垣根のように植えられたこのカンツバキに目をとめられ、まだ学名がついていないことから、そのとき庭を案内された木村(旧姓平生)冨士さんの名をとり、Camellia sasanqua cv. Fujikoanaと命名されました。現在仙台にお住まいの木村冨士さんのお宅にも、ここから株分けされたカンツバキが咲くそうですが、平生記念館のものは、平生邸を偲び、また、この花の命名の元になった木として、大切に保存していきたいと、この度、案内板を設けました。近くにお越しの際には、是非ご覧ください。開花は、12~2月です。

引用終わり。その後、牧野博士により変種あるいは園芸品種として記載されたのか、不明。原色牧野植物大図鑑にはカンツバキの項目すらありませんでした。やれやれ。

手元によい文献がありました。『くらしの植物苑特別企画 冬の華サザンカ』国立歴史民俗博物館。同書によると、下記が現時点で正しいようです。

カンツバキはサザンカを特徴からグループ分けした品種群の1つ。代表的な品種が「獅子頭」で、この別名が寒椿。枝が横に張り、樹高は低い。対して「勘次郎」という品種は樹高が伸びる、別名が立寒椿。

残る謎。獅子頭=寒椿=這寒椿、なのか? 這寒椿なる品種は別なのか? 『冬の華サザンカ』に這寒椿の記載なし。謎です。

サザンカ 勘次郎
別名 立寒椿

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新井裕之(StudioA)
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