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調べたアマリリス 花の名は。Vol.19
タリラリラリラ。唱歌のアマリリスはフランス民謡が原曲だそうです。アマリリス、軽やかな唱歌の調べと、実物、その花のイメージは一致するでしょうか。原産はアメリカ大陸、ヨーロッパで古くから栽培されました。日本には江戸時代、一度、渡来してます。その頃の呼び名はジャガラタスイセン。
ジャガラタとは、ジャカルタのこと。現インドネシアのジャワ島にある都市名です。戦国末から江戸時代、交易があったオランダの船がジャワ島を経由して持ち込んだ産物が本邦初物だと、ジャガラタが冠されたようです。ジャガラタイモ、すなわちジャガイモもそのひとつです。
ジャガラタスイセン、色は主に赤。花の形はスイセンに似ています。ただし、スイセンのような副冠、ラッパやカップはないです。現在流通はないのに、日本の気候に合ったのか、庭先で見かけることがあります。延々と栽培、受け継がれてきたのでしょう。ガーベラでも似たような流れがあり、時々、昔のガーベラとして生産販売されてます。
明治以降、改めて導入されたアマリリスは、ゴージャスな園芸品種に改良されていました。花はスイセンより遥かに大きく、丸く、時に八重となり。春に球根の形で販売されますが、ちょっと作りにくい花とされていました。一転、人気大爆発するのは、平成になってから。オランダ直輸入、ポット植えアマリリスが販売されたことによります。
アマリリスは球根だけにして乾かすと、その年は良い花が咲かないのです。ポットに植えて出荷すると、球根の下にある太い根が活きるところがポイント。かつ、開花調整を施してあり、冬でも室内で水やりすると、1か月以内に咲きます。見事な咲きっぷりです。咲き終わったら、葉が伸びてきます。そのまま栽培しても、翌年まで概ね咲きます。大きな鉢に植え替えて、夏は外に置き、上手に育てると、増えます。1本の花茎に最大で4輪咲きます。数本の花茎が立つとそれはそれは壮観です。唱歌のアマリリスとは、結びつかないなぁ。
アマリリス、学名の属名はヒッペアストラム。最初はアマリリス属だったのに、分類学が進むと分離されました。学名ってよく変わるのです。アマリリス属に取り残された1種があります。アマリリス・ベラドンナ。ベラドンナリリーの英語名が日本でも通じます。使われない和名はホンアマリリス。開花時期が異なり、花姿も、アマリリス(ヒッペアストラム)よりスッキリしてますが、花の色はなんとも、艶やかです。
アマリリスに近い植物に、ツバメズイセンがあります。学名、スプレケリア・フォルモシッシマ。似てないのに、アマリリス(ヒッペアストラム)との間に雑種ができます。それがヒッペアケリアです。見た目は江戸時代に来たアマリリス風。スプレケリア、ヒッペアケリアとも、春に球根が多くはないけど流通します。アマリリス(ヒッペアストラム)より小さいけどよく咲きます。
括弧書きが多くて面倒ですが、紛らわしいので仕方ないですね。
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