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Tokyo Art Book Fair 2023|前編

※2024年2月14日執筆

2024年もはじまって1ヶ月半が経ちましたが…。
去年行った人生初のブックフェア、TABF2023(Tokyo Art Book Fair 2023)の話をさせてください。

このイベントの存在を知ったのが、去年の10月末。(開催の約1ヶ月前)
ご近所の東京都現代美術館にて、毎年開催されているそうです。今まで知らなかった…。

10月下旬から、フォトブックを個人制作し始めたのですが、本をつくるのが初めてなので「レイアウトや本の大きさはどうしよう…。」「紙や印刷方法はどうしよう…。」「そもそもどの印刷会社に頼めばいいんだ?」と、なかなか手が進まず。

SNSで色々と調べていたところ、辿り着いたのがこのイベント。
早速チケットを購入し、それから待ち遠しい日々を過ごしました。
そして、当日はオープンの1時間以上前に会場へ。

想像の遥か上をいく、最高に刺激的で楽しい(そしてめちゃくちゃ人が多い)イベントだったので、購入品紹介とともに体験レポートを書こうと思います!


TABFについて

TABFは2009年にスタートしたアート出版に特化した日本で初めてのブックフェアです。
アートブックやアーティストブック、ZINEなどを製作する個人、グループ、企業などがブースを持ち、来場者と直接交流しながら書籍の売買を行うイベントです。
詳細はこちら

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ZINEとは、個人または少人数の有志が、非営利で発行する自主的な出版物のことである。 作者自身の個人的な思いや考え、主張を色濃く反映した小冊子が多いが、内容も形式も自由とされる。主にコピー機やリソグラフ、家庭用のインクジェットプリンターなどで印刷し、ホチキスやクリップ等で簡素に製本された冊子の形態をとるものが多い。Wikipedia
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世界中から個性豊かなアートブック、カタログ、アーティストブック、そしてZINEなどを出版するアーティストや出版社が一同に集結します。

今ではアジア最大規模のアートブックフェアとなり、国内外の出版社やギャラリー、アーティストらが約350組も出展し、来場者は2万人以上だそうです。

2023年は11月23日(木)〜26日(日)の4日間の開催。
私は初日のチケットを購入して行ったのですが、出展者の数が多くて1日では回りきれず、結局次の日も行くことになりました。

そして2015年からは、ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する「Guest Country」という企画を行っていて、過去にはスイス、ブラジル、アジア(中国、韓国、台湾、シンガポール)、アメリカ、オランダ、フランスを特集していたそうです。

第7回目となる2023年の「Guest Country」では、北欧5カ国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランド)をフィーチャーし、北欧から合計18組の気鋭の出版社が出展しました。

アートブックの出版だけでなく、北欧にちなんで『トーベ・ヤンソンの世界旅行』が上映されたり、野外広場ではアーティストたちによるライブパフォーマンス、キッチンカーでの飲食販売もあり、お祭りのような雰囲気でした。

『トーベ・ヤンソンの世界旅行』

その他、世界の絵本コーナーもあり、小さい子ども連れからご年配の方まで老若男女で賑わっている印象でした。
東京都現代美術館の隣には木場公園もあるので、ブックフェアめぐりに疲れたら近くのカフェでテイクアウトして、公園でコーヒーを飲みながらゲットした本を読む…なんて最高のチルができる環境です。

購入品紹介|No01 – 06

No.01
Moving numbers
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サイコロや時計、カレンダーなどの「動きのある数字の物体」を集めた本。
表紙には番号プレートがついていて、プレートを回転させると本のタイトル「Moving Numbers」からバラバラな数字へと変化する面白い仕様です。この数字が何を表すのかとても気になる…!
おまけでもらったシールとカードのイラストも可愛かった。
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Artist|0.1
0.1の名のもとに、姉の「0」と妹の「1」が共同制作を行っている韓国のソウルを拠点としたアーティストチーム。
https://0choo1.tumblr.com/

No.02
LOCKET 第6号 SKI ISSUE
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編集者ひとりデザイナーひとりという極小規模の出版スタジオが運営するインディペンデントマガジンの第6号で、今回はスキーをテーマとした一冊。
見本をパラパラとめくってみたら、写真、レイアウト、リソグラフなどの工夫を凝らした印刷手法など、グラフィックデザイナーYunosukeさんのセンスが抜群で、気づいたら購入していました。
これからの個人冊子制作で色々と盗ませてもらおうと思います。笑
どのページも内容が濃く面白くて、編集者の内田さんの取材力や文章力は本当にすごいなーと。
(ちなみに次の日、まだオンラインショップで販売されていた第5号もポチった。)
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Artist|EDIT BY BODY
編集者の内田洋介による出版スタジオ。
独立系旅雑誌『LOCKET』は2023年10月末発売の第6号まで、延べ1万部を刊行。
https://locketmag.com/

No.03
ジョージのジャパン
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ニュージーランド出身の詩人でモデルのジョージ・ネルソンによる詩集一冊目。
「東京へ留学に来た時に、授業がつまらなかったからヒップホップ歌詞を書いてみたら、その歌詞がとてもダサかったから俳句にしました。」とのこと。
そこから日々感じたことを日本語の五七五で表現していったそうで、ちょっとおかしい日本語と外国人ならではの感覚でクスッと笑える俳句がたくさん詰まった一冊です。
たまに深いなぁと感じる俳句も。
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Artist|ジョージ・ネルソン
https://www.haikujoji.com/

No.04
The Gift
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アメリカのインディーズ出版レーベル「BLACK JOSEI PRESS」のコミック。
アメリカに住む、アフリカにルーツを持つ人々の多くは自分の家系図(祖父母より上のルーツ)を知る術がない。
彼らの祖先たちは奴隷制度によって、生まれ育った土地から暴力的に切り離されたからだ。
自分のルーツがわからないことに落ち込む主人公の少女が、ミステリアスな来訪者との出会いで「はっきりと目に見えなくても確実に存在する」大切なことを知る物語。
セリフは少なくイラストで魅せてくれる作品で、英語も簡単なので子どもにも大人にもぜひ読んでみてほしい一冊です。
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Artist|Twin Palace Press + BLACK JOSEI PRESS
https://www.instagram.com/twinpalacepress/

No.05
THE LIBRARY OF HARDLY USEFUL KNOWLEDGE
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タイトルの和訳は「ほとんど役に立たない知識のライブラリ」
1754年に出版された世界最古の海洋生物図鑑「Poissons, Ecrevisses et Crabes」の著作権が切れたため、この図鑑に載っている海洋生物たちをオリジナルの物語で紹介していくZINE。
実はこの海洋生物図鑑に載っているほとんどがデタラメで、目が星で奇抜な柄だったり人魚だったり…。
当時の人々は「この地球のどこかの海には、本当にこんな魚が存在するんだ!」と信じていたそう。
カラフルな色合いがリソグラフとの相性抜群で、つい時間を忘れて眺めてしまいます。
ちなみに本物の図鑑データは以下から無料で閲覧&ダウンロードできます!
https://www.biodiversitylibrary.org/item/200575#page/1/mode/1up
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Artist|ASAKO OHSAWA
ブルックリン在住。ニューヨークのCenter for Book Art に所属して製本と活版を学ぶ。シルクスクリーン、活版印刷、リソグラフを使ったアーティストブックやZINEを製作。
https://www.asukaohsawa.com/

No.06
IWAKAN Vol.04
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世の中の様々な”違和感”をテーマにしたインディペンデントマガジン「IWAKAN」は、毎号ひとつのサブテーマに沿った特集が組まれている。
「女男」「愛情」「政自」など、現時点で第6号まで出版。
編集者の方と直接お話することができて「やっぱり第1号から読むのがいいですか?」と尋ねてみたら、「自分が最も気になる特集から読んでみてください」とのこと。
今回は、よく耳にする言葉だけどイマイチよく分かっていない「多様性」を特集した第4号を購入してみました。
Podcastでも発信しているので気になった方はぜひ。
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Artist|IWAKAN Magazin
世の中の当たり前に”違和感”を感じるすべての人たちと共に考え、新たな当たり前を共に創造していくインディペンデントマガジン。2020年10月創刊。
https://www.asukaohsawa.com/

まとめ

今回はTABF2023の詳細と購入品(主にマガジン系)をご紹介しました。
人生はじめてのアートブックフェアに興奮してしまい、実はまだまだ購入品があります。
後編ではザ・ZINEという感じの作品や、印刷会社さんの出展品をメインにご紹介します!
お楽しみに〜。

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