ユキノシタ【 雪ノ下 】
またまた、木陰で楽しそうに咲いている花を発見。
星がちかちかと瞬いているようにも、両手を広げて天女が舞っているよう
にも見えます。先端になるほど太く放射状に広がる雄しべは、まるで後光
です。華やかな衣装で大勢集まって、初夏の宴を催しているのやもしれま
せん。そう、ユキノシタを包む空気は平安の時代を思わせる、なんだか雅
な雰囲気なのです。
しかし、引いて眺めると雅ながら、花をクローズアップすると「嬉しくて
仕方ないんです!」という顔をしています。
仲間のダイモンジソウ(大文字草)やジンジソウ(人字草)も名で示すとおり、
このユキノシタ一門は花がめいっぱい花弁を広げて、全身全霊咲く喜びを
表現するのです。
「わー、ついに私たちの季節が来ましたーっ!」「咲きますぞーっ!」「 咲きましたーっ!」「めでたいーっ!」「いぇーいっ!」とはしゃぐ声が聞こえてくるような......? 一年に一度の花の宴ですからね。
ユキノシタという名前から、雪の下で寒さを耐え忍んで早春に咲くという
イメージをもっていましたが、違いました。名の由来は、「雪が積もって
も、その下に緑の葉を広げているから」「垂れ下がった花弁(下2枚の長い花
弁)が、雪の舌みたいだから」「常緑の葉に白斑がある様子が、雪の積もっ
たように見えるから」等々、色々あるようです。
漢字も多く当てられていて、
・鴨足草/鴨脚草
葉が鴨の足に似ていることから(夏の季語)。
・虎耳草
葉が虎の耳のようだから。
・金糸荷
由来分からず。下の「金線草」と似た由来でしょうか。
等々。
別名には、
・イドクサ(井戸草)
・コジソウ(虎耳草)
生薬ではこう呼ぶそう。中国での名。
・ミミダレソウ
中耳炎によく効くことから付いた名らしいのですが、
ロップイヤー(垂れ耳うさぎ)を思い浮かべました。
・キンセンソウ(金線草)
細い紅色のほふく枝を出すことから。
・イワブキ(岩蕗)
等々。
民間薬としても利用されたため、まだまだ地域ごとに名前がありそうです
。鴨だったり、虎だったり(、兎だったり)。この名前の多さが、ユキノシタ
がいかに人々に親しまれてきた存在かを表していますね。
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