SecondLifeのアバターの歴史
前回のお話。
話はセカンドライフのアバターの構造に移ります。アバターの仕組みがわかっていた方が自分でアレコレとカスタマイズできて面白いと思うます。
現実のメイクと違って、パーツを外せば消えるしファンデーション盛り過ぎても肌荒れもしなきゃ、午後に粉ふいたり浮いてきたりしないし便利便利w
単純に機能を列挙してもワケワカランので、私の知ってる範囲でSLのアバターシステムの遍歴を書いてみたいと思います。
アバターシステムの遍歴
この世代分けは私がSLで遊んでて何となく感じてる主観分類であって、公式wikiとか掘ると公式見解あるかもです。
【第1世代】もう殆どみかけることのない過去の遺物扱いです。日本でセカンドライフが過熱した頃によく紹介されていたアバターです。
構造は単純で、形状を制御するシェイプとテクスチャレイヤーに相当するスキンです。今でもシェイプは使います。形状修正レイヤーという感じで、アバター素体としては非表示にされています。非表示については後述します。
他にも仕様としてバラッド(髪型)、シューズ、シャツ、ズボン、グローブとかなんとかリンデンが用意した仕組みがあったりするんですが、殆ど使ってる人いませんでした。
【スキン制作技術の進歩】第2世代に移行する前に、小話的に「スキン屋さんの隆盛」というものが入ります。セカンドライフのデフォルトアバターとにかくブサイクで多くの人の美的センスを全く満足させないモノでしたw
なので、「なければ作ってしまえ」という精神で勃興したのがスキン屋さん。現実のメイク技術とか応用して劇的にスキンの品質が上がったんですね。
【フェイスライトという発明】そして、いびつなポリゴンの凹凸陰影をライトの光で飛ばすフェイスライトの存在が大きかったです。基本的な作りは単純です。透明な球とか円柱に発光属性をONにしたものを顔の前に装着するだけ。顔の中心点に相対的に装着されているので、頭がどっち向いてても常に顔の正面から光を当てるようになるんですね。スクリプトでライト位置を調整できたり、光源数を複数にしたり色々なフェイスライトが商品として開発されました。
ただ、薄暗い会場のイベントとかだとピカーっと顔だけ光ってるのが目立ったりしてSS撮影者とかに光害と忌避されたり、ビューアーの画質を落としてる人だと光源は最大6個という制限が付くので、フェイスライト光源が勝手に消えちゃったり。
最新鋭のアバターは特にフェイスライトは必要ないんですが、「フェイスライトがないと不安になる客層」が一定数いたりするので最新鋭のアバターアイテムに同梱してる場合もあります。
【第2世代】綺麗なアバターを使いたいという執念と言うか妄念みたいな強い要望に押されて3つの新機構が導入されました。
1つ目はスカルプトプリム。通称はスカルプ。SLでは特定形状のポリゴンオブジェクトの塊をプリムと呼ぶんですが、初期の頃の髪型や服は全部プリムの組み合わせでできていました。それだと自由な形状を表現できないという要望が強く常にありました。しかし当時のネットインフラでは複雑なポリゴンデータのやり取りは技術的に無理だったので、折衷案的に導入されたのがスカルプトプリムという技術です。
詳しい技術解説はしませんが、3次元座標系のXYZをRGBに割り当てて色としてデータ化して画像として圧縮するという感じの技術です。(一般的な3D技術としては、ノーマルマップと呼ばれるもので珍しい技術ではないです)
これによって、ファッション、髪型、家具、乗物、建物、造園とあらゆる局面で比較的自由な形状でものづくりができるようになりました。当然、アバターに装着する髪型やファッションアイテムの形状も劇的に進化しました。
2つ目はマルチ装着機構。正確な名称は知らないのですけども。元々、アバターに装着できる装着点は「頭、首、胸、肩、腕、手、腰、太腿、脛、足」といった場所でした。そこにアイテムが1個装着できるようになってたんですが、髪の毛、イアリング、睫毛、カラコン、フェイスライトとスカルプアイテムが増え装着点が足りなくなってきたんですね。装着点のやりくりでちょっとした立体パズルの様相を呈してきていました。
それを解消する為に1つの装着点に複数のアイテムが装着できるようになったわけです。
3つ目はアバターの多重レイヤー化。ちょっといつからタトゥーレイヤーが導入されたのか記憶が曖昧なんですが、最初は単体レイヤーだったように記憶しています。それが、複数枚重ね張りできるようになった、ということです。タトゥーレイヤーと聞くとトライバルな入れ墨みたいなイメージなんですが、これがメイクアップ商品を劇的に進化させました。
アイライン、リップ、眉毛、アイメイクと個別のメイクパーツ商品が大量に売り出されたんですね。自分の好きなようにメイクパーツを組み合わせてアバターのテクスチャをカスタマイズできるようになった訳です。
同時に搭載されたのがアルファレイヤーです。前述したアバターの素体の任意の部分を非表示(透明化)する機能。もともとは、ダンスなどの動きによってスカートや服から中身がはみ出る事故が多発し、見せたくないものを公然と大公開してしまったとか、見たくないものを偶然見てしまったとか、そういうメンタルダメージを軽減するために、アバター素体に透明化マスキングをして、服で隠れてるとこは透明化みたいな機能です。これが、メッシュアバター実装時に更に役に立つことになるとは。
【乳揺れ】脇道にそれる話ですがw 実は、この多重レイヤー構造の恩恵の1つだったりします。とあるサードパーティのビューアー開発者の中に、特定の癖のある方がいらっしゃったようで、おっぱいプルンプルン機構を独自に組み込んだんですね。これが爆発的に普及しましてwwww
一時は、公式ビューアのシェアを圧倒する勢いにまでなりまして、ついに公式にすら導入されたのがAvatar Physicsです。
まあ、胸以外にも背中とお腹とお尻もプルンプルンできる豪華なマルチプルンプルン機能なんですけども。女性の胸以外では滅多に使われてないですねえ。場所によってはプルンプルンOFFが推奨とか多少あります。PGエリアにぽつぽつ存在する、ガチの公式宗教施設や海外の教育機関の公式SIMとかw
【第3世代】スカルプの実装で表現の制限がなくなったように思われた時期は過ぎて、いろいろと欠点もわかってきました。大きなものや緻密なものを作ろうとすると細かくパーツ分割して組み立てないといけないんですね。1枚のスカルプトテクスチャで戦艦大和は作れないし、精密なアクセも無理だったりします。そして、そういったものを無理やりつくると膨大な負荷がサーバーにかかるようになりまして。私の聞いた話だとイヤリング1個でSIMが落ちたとかなんとか。
更に、Avatar バージョン2の要望が物凄くなってきたんですね。ボディラインのガタガタに不満は多く、酷い部分はポリゴンが捻れてたりして、ともかく素体の評判は悪かったんですね。スカルプアイテムは形状を自由にできますが、肘や膝といった人体の関節部分の動きに追従して変形したりしないので、アバター素体の代用にはならなかったのもあります。
そこで、ついに登場したのがメッシュです。これはポピュラーな3Dソフト(Maya,3D StudioMax,Blenderなどなど)でインポート/エクスポートによく使われるFBXファイルフォーマットにSL自体が対応したんですね。これによって、3Dソフトで作ったポリゴンモデルがそのままSLに持ち込めるようになったんです。そしてAvatarバージョン2のかわりに導入されたのがメッシュアバター機構。元のアバター素体の関節駆動に追従して変形するポリゴンボディの読み込みにも対応したんです。つまり、ニコ動とかで人気の初音ミクの3Dフィギュアをツールであれこれ修正して変換してやるとSLにアバターとして持ち込めちゃうという画期的な仕組みでした。
そして、技術力の高いクリエータやブランドが、一気にメッシュボディやメッシュヘッドを出してきました。これによって、アバター素体をアルファレイヤーで非表示にする人が大半になりました。なにしろポリゴン解像度がPS2とPS4くらい違うのでw
難しいのは、各社のメッシュボディやメッシュヘッドは、それぞれテクスチャをスキンとして読み込む機能があるんですが、ブランドによって互換性ないんですよね。
Catwaのメッシュヘッド用のスキンはGENUS Projectのメッシュヘッドには使えないので買い直しせんといかん……みたいな。これはこれで、結構問題になってて、それの解決策が要望されてきました。
【第4世代】これは割と最近の話でSL界隈のニュースでも開発コードBENTOというワードはちょいちょい見かけますし、商品説明とかでも「BENTO対応!」とかってキャッチコピーは良く見かけます。
メッシュボディやメッシュヘッドの出来が格段に良くなってくると、今度は雑なアニメーションやポーズが気になってくるという業の深い話。
アバター素体に組み込まれてるアニメーション用の関節ジョイントは指先とか顔の表情とかには全く存在しないので、第3世代のメッシュアバターでもどうにもなんないんですよね。
そこで、その骨格ジョイントを拡張しましょうというのがBENTOプロジェクトです。指先や各種表情筋、翼、尻尾とかあったらイイネっぽいジョイントが大量に追加されました。
なので、椅子やソファの座ってるモーションなどは、新しいBENTO対応商品と古い未対応商品で売れ方とか全然違うと思いますね。モーション自体の品質にもよりますけども。
それによってSS(スクショ)撮影者にも、様々な細かい手のポーズや顔の表情とかできるようになって表現の幅が格段に広がったと思います。
【第5世代】先日実装されたProject BOMというやつなんですけども。通称BOMでBaked on Meshの略称みたいです。
いやー、まだよくわかんないっすね(ノ∀`;)アハハ
これから調査しますwwww
なんか、メッシュボディのテクスチャとして昔のスキンやタトゥーレイヤーを貼り付ける技術っぽいんですよね。各ブランドのメッシュパーツのスキンが全く互換性ない問題を解消する機構なのかなーとは感じてます。
古いアバター素体用の高品質スキンとかも再利用できそうですしね。お気に入りのスキンだけどメッシュじゃ使えない(ノ∀;`)という事象も多々あったみたいなので。
というわけで、アバターシステムの遍歴に沿って幾つか用語や機構の解説してみました。
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