東京人などいない!

ネット界隈をふわっと眺めていると、東京に矢鱈と噛みつく人を見かける。東京と比較して地元の良さをアピールしたり。

冷静に歴史的な背景をよく考えてみよう

江戸時代には、江戸っ子は三代暮らしてから、などという話もある。京都にも似たような話ありますね。

生粋の東京人たる江戸っ子とは?

これが、歴史的背景を調べると非常に狭いエリアになるんですよ。山手線の内側のごく一部。しかも、皇居と武家屋敷群を除く。

東京都には、おおまかに23の区と26の市があります。中心部は23区。でも大半は山手線の外側で、この辺は徳川家や直参の直轄の村が沢山あったようで、そもそも江戸じゃなかったんですね。更に離れた26市部などは、武蔵国という別の国の領地。

ですので、歴史的に考えると本当の東京人と呼べるのは、今の23区で大雑把に言うと千代田区の一部、中央区の一部、新宿区の一部、文京区の一部、港区の一部といった狭い一角しかなく、それも江戸時代から住んでる人限定です。(もちろん、異論や反論など諸説あるとは思いますが)

ちなみに、僕も26市部生まれで、祖父母は他県出身なので全然東京人じゃないですね。

極端に言えば、今の東京に住んでる生粋の東京人は数万人いるかどうか、ヘタをすると1万人いないかも、というレベルなんですね。首都圏一帯には2000万人くらい人口があるにも関わらず。

「あれっ?浅草とか江戸っ子がいっぱい住んでたんじゃないの??」

これが、なかなか微妙で、江戸時代に大火事があって、その後の復興で江戸が拡大したエリアなんですね。

今で言う、新興住宅地みたいな場所ですね。だから、落語とかでは良く登場しますし、中心部と区別する意味合いで下町と呼ばれていたとも言えますね。

ここらへんは、生粋の東京人の方の間でも意見が割れる話で、山の手のお家の人は認めないし、下町のお家の方はこっちが江戸っ子でいと主張したりするので、難しい問題です。

東京には東京の方言がある

東京の話し言葉が、標準語だと思っている方が多いと思うんですが、実はそれなり方言というか訛があったりするんだそうですよ。下町とか山の手と山の上とか坂の下とか堀の内とか堀の外とか、それぞれ言葉が違ってて、昔はエリアが違うと言葉が通じないレベルという逸話も残ってます。

江戸の街の成り立ちにも関わるんですが、参勤交代の関係上、その大名屋敷を中心にそれぞれの配下の屋敷が沢山並んでいて、更にそこに仕える人たちの家屋・・・みたいな感じで。

そうすると、その区画ごとにそのお国の方言が混ざるようになる。

それがゆっくり混ざって、混ざりきらずに残ったのが東京訛りと言えるのかなと思います。

そもそも東京人などいない

ここで、タイトル回収なんですが、江戸時代から今に至るまで、東京という街は、外部から多くの人が流入してきているんですね。なので、生粋の東京人なんて実は殆どいないんです。

僕の学生時代の話ですが、入学時に東京に来た人の中には、やたら「東京のモンには負けねえ!」と気負ってる子が結構いました。

この東京に住んでる99%くらいの人は、他所から移り住んできた人で「東京のモン」なんて実在しないんです。大抵の場合、他所から移り住んできた人が「東京の人間だぜ」というフリをしてるだけです。

今、考えてみると「誰と戦っているんだ?」という話になってしまいませんか?

東京という街は、各地の様々な文化や知恵や経験などを取り込んで消化して巨大な「他の地域出身者の共同体」を形成してきた歴史があります。

肩ひじを張る必要なんてないし、対抗心を燃やす必要もないんです。都会に抱く憧れの裏返しが、不慣れな人を拒む冷たい街とかいったイメージを生み出しているメカニズムじゃないか、と思うんです。

せっかく様々な出身の面白い話や習慣や文化に耳にする機会に恵まれた土地なのですから、上手いこと利用して楽しめば良いんじゃないかと。

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