石畳マガジン『村のシンボル』
石畳地区、
現在の人口は約270人。いずれ100人を切ってしまうと言われているこの集落では、以前からその時代の青年達が「むらおこし」に携わって来ている。未来の子どもたちに夢を託しているのだ。
1990年6月のこと・・・
水車精米により美味しい米の食べ方を再発見しようと、当時の若者12人に土地の提供者と大工さんが加わり、昔の記憶を辿りながら「むらおこし」の事業として造られたものだ。
背後に陣取る屏風のような標高896mの牛の峯から滲み出す、正に「清水」が集まる石畳。何とも言えない透明感がこの水の美しさを物語っている。石畳の宿の襖三枚に故吉田桂二氏が自ら描いた墨絵には「流水不争先」と書き記されている。次代を生きるために今どうするか。清らかな水は長旅を経ていずれは海へと辿り着くのだ。争っている場合ではない。
撮影をしていると・・・
賑やかな声がしてきた。お父さんに連れられて2人の男の子が釣り竿を持ってやってきた。良い光景だ。この子どもたちが、いずれ大人になって今の取組を受け継ぎ、そのまた未来へと夢を託していくことだろう。その世代ことで繰り返し取り組んでいくことで村はできあがっていくのだ。
石畳に来ているといろんなことを勉強させていただけるし楽しい。撮影を終えて帰ろうとしていると「あれ?河野さん」と声をかけてきた女性は哲ちゃんのお嫁ちゃん。どうやら子どもたちとバーベキューかな。
石畳を集中的に撮影し始めて3年目。果たして今年はどんな展開が待っているのか、楽しみだ。今日は良い撮影になった。
2022y.05.02.
街づくり写真家 河野達郎