金曜マガジン 粋亭の美学③
絶景臥龍淵と言われる深淵
大正時代の初め頃に発行された大洲案内という冊子に書かれている内容。読み込んでいくと、臥龍山荘不老庵が完成してから十年あまりが過ぎたこの時期の人々がこの風景に寄せていた思いを感じることができる。
臥龍山荘が建築された時代の人々がどんな思いでこの風景を見ていたのか。数々の史料を読み解き、茶の湯の入門書とにらみ合いをし、そして故・城甲昭三氏・郁子ご夫妻から聴かせていただいていた臥龍山荘に関するお話を掛け合わせる。そんなことの繰り返しで臥龍山荘の撮影を続けてきているが、庭師植德が大切に思いを寄せて後世に一体何を伝えたかったのか、まだ見えない。
培われてきた日本の伝統文化と一心同体の日本建築の撮影に大切なのは自らの心の持ちようではないかと最近になって思い始めている。まだまだ勉強が足りない。
街づくり写真家 河野達郎
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