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月曜マガジン『柳蛍と矢落川渓流』

柳蛍と矢落川渓流
 愛媛県南予を流れる「肱川(ひじかわ)」は、その源流を西予市宇和町信里付近に発し、全町103kmぼどの一級河川だ。しかし、フツーの田舎の河だと侮っていたら痛い目に遭うのがこの河。2018年7月7日には西日本豪雨による代表的な災害をもたらしたことでも知られる暴れ河なのだ。その災害要因の一つとして「支流の数の多さ」とすり鉢状の典型的な盆地へと流れ込むことが挙げられる。/支流総数470本を超える。

 矢落川は、そんな支流の一つで大洲盆地北の淵に位置する大洲市田処から流れ、本流の肱川とは大洲市五郎で合流する。随分以前からこの田処(柳沢)では、地域の人々が矢落川渓流の美しい自然と水を活用してゲンジボタルの世話をせっせと行い、地域興しに貢献されていた。
 しかし、2018年の豪雨により暴れまくった矢落川は、そんな地域の皆さんの努力とその結晶のゲンジボタルを全て流してしまったのだ。

 以来、4年の月日が流れた。
 今回、大洲市から撮影依頼を受けている項目の一つに「里山の風景」をいただいていることから久しぶりに「柳沢公民館」を訪ねた。そこには現職時代に世話になっていた職員さんが異動し連絡所長という立場で勤務されていた。人と人の出会いは分からないものだ。予想もしない再会が新しい動きを生み出すきっかけにもなる。石畳でのこともそうだった。きっかけは15年ぶりくらいに再会した当時内子町の職員だった寳泉氏との再会だ。

 そんなこんなで撮影をし始めた柳沢公民館管内の矢落川。ここでのホタルの取組が被災後4年を経て復活の兆しが見え始めたというので撮影を仰せつかることとなった。もちろん大洲市からの依頼の部分もあるのでご協力させていただき、今回の撮影となったのだ。

霧が巻き幻想的な雰囲気の田処①
霧が巻き幻想的な雰囲気の田処②
被災後4年目にして今年はじめてこんなに飛んだそうだ。

 今後、石畳の動きと合わせてこの柳沢での皆さんの動きも取材させていただきながら撮影をさせていただくことになりそうだ。「矢落川渓流」に育まれる「柳蛍」は地域の人々の夢を乗せてたくさん飛んでくれることを祈りたい。そんな様子を撮影させていただき、後世へと残しつないでいくことができるのは写真家冥利につきる。
感謝しながら頑張らなければ。
6月もどうぞよろしくお願いします。

令和5年1月19日
街づくり写真家 河野達郎

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