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Kの向くままにおススメ映画『スパルタカス』短文紹介
【古代ローマ史の王道映画】
原作は ハワード ファスト『スパルタクスの反乱』。
紀元前1世紀のイタリア半島。奴隷スパルタカスが反乱を起こし奴隷軍の長となり、各地の奴隷を解放しながらローマの支配を逃れ、故郷に脱出しようとするお話。
裏でチョロチョロ画策するバタイアタスが間抜けで良いキャラでした。しかし、ローマ人の名前はややこしいな。
一番印象深かったクラサスとアントナイナスの会話シーン ↓。
クラサス :「神に背いた事はあるか。」
アントナイナス :「いいえ、ご主人様。」
ク :「嘘をつくか?」
ア :「やむを得ぬ時だけ。」
ク :「美徳を尊重し、悪徳を断てるか。」
ア :「はい、ご主人様。」
ク :「牡蠣(かき)は食うのか?」
ア :「あれば食べます、ご主人様。」
ク :「蝸牛(かたつむり)は?」
ア :「いいえ、ご主人様。」
ク :「牡蠣を食うのは美徳で、蝸牛は悪徳なのか?」
ア :「いいえ、ご主人様。」
ク :「勿論違う。味覚の問題だ。味覚と食欲は違う。故に徳とも関係はない。牡蠣も蝸牛も私の味覚には適う。」
この直後、アントナイナスは逃げ出してしまいます。詩人でもある彼はこの会話のメタメッセージをすぐに理解したんですね。
Kは以前観た時、「何でお風呂で蝸牛の話をしてるの?」と思ってましたけど…今では映画の読解力も少し上がって理解できるようになりました。
それに気付かず逃げていなかったら…、怖ろしい…。読解力、重要。
そして蝸牛よりも主題はコッチ ↓。奴隷vs.自由人 その戦いにおいては、奴隷が必ず勝つのです!何故なら…?
タイグラネス :「先が見えていても戦う気か?あんたは死に、奴隷軍は負ける。」
スパルタカス :「負けない。奴隷と自由人の《死》は違う。」
タイグラネス :「《死》は同じだ。全てを失う。」
スパルタカス :「違う。《死》によって自由人は楽しみを失うが、奴隷は苦痛を免れ自由を獲得する。だから我々は勝つ。」
これがキューブリック監督の作品とは……。こういう真っ直ぐなのもしっかり作れる稀有な天才。
当時無名だったキューブリックは「ただの雇われ監督だった」と言い続け、死ぬまで自分の作品とは認めなかったとか。こんな名作撮っといてその発言、やはり凡庸監督とは違うね。
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