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DeepSeekショックと「知性」「創造性」の再定義 【今日の余録】

中国DeepSeekの台頭を、余録では「スプートニク・ショック」になぞらえた。確かに、DeepSeekがオープンソースであることや、従来の10分の1程度の開発費用で実現したとされる点は驚きだ。開発費用約600万ドルという主張には懐疑的な声もあるが、この数字の真偽はともかく、AI開発の常識を覆す可能性を秘めている。

この影響は株価にも表れている。世界のGPU市場を牽引してきたNVIDIAの株価は約17%下落し、時価総額が約91兆円という巨額の減少を記録。「AI開発にはNVIDIAのGPUが必須」という定説が崩れたと市場が判断したのだろう。

一方で、DeepSeekには課題も指摘されている。不正確な情報生成の問題に加え、中国の検閲システムとの関係性や、西洋諸国のプライバシー基準との整合性も問題視されている。天安門事件に関する質問への回答制限など、中国政府の意向を反映した可能性が指摘されているのだ。これらの課題は、AI技術の発展と社会的責任のバランスをどう取るかという、より大きな問いを投げかけている。

日本は「AI戦略2022」のもと、独自の発展を目指している。特に注目すべきは、日本が強みを持つ製造業やロボティクス分野でのAI活用だ。製造業では、AI搭載ロボットによる不良品検査が可能になりつつある。人間では見逃してしまうような深部の傷も、確実に検出できるそうだ。また、アニメ・ゲーム制作では、Preferred Networksが開発したAIによる自動彩色技術など、クリエイターの作業効率を大幅に向上させる技術の開発が進行中。日本だって負けていない、と思いたい😇

1957年のスプートニク打ち上げが米国の技術開発を加速させたように、DeepSeekの台頭は新たな技術革新の地平を指し示す。しかし、それは単なる技術力の争いを超えている。例えば、AIが人間の創造性を模倣し、時には凌駕する事例が増えていく中で、「創造性」や「独創性」の定義が揺らいでいる。AIと人間の協働が進む中で、「知性」や「創造性」の本質を改めて問い直す必要に迫られているのではないか。

今日の余録と参考資料

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