『キックアス2 : ジャスティスフォーエバー』感想 ※ネタバレあり
キックアスとヒットガールが、悪者をブッ殺す映画。
まー最高でした。
続編映画として百点だし、3への布石もバッチリ。
なにより、前作からの大きなテーマである、「マイノリティの反逆」が、ここまで痛快且つ燃える展開で描かれてる映画は最近では希少なのではないだろうか。
いや、俺が映画観てないだけかもしれんけど。
とにかく、ヒットガールの「異端児だった自分の受け入れ」が、あんな凄まじいレベルのシーンで描かれたのって、俺は知らない。
し、多分今後も見る事はないと思う。
その位凄いシーンだった。
はみ出しものの自分を、はみ出したまま世間に無理矢理受け入れさせるタイプの映画に駄作は無い。
さらにヒットガールの物語と同時進行でキックアスの自己肯定の物語も進行し、そちらもまた、凄まじい展開を見せる。
そして完璧なヴィランを目指すレッドミストの物語もまた強烈なエピソードで紡がれる。
つまり三つの物語が同時進行で進みつつ、そのどれもが笑いと流血と切なさを抱いたまま進み、これがまた全く観客にダレさせない。
脚本の素晴らしさがここにある。
ワンダイレクションを豪快にパロッたシーンで描かれるヒットガールのうんざりさと、同時に性へ目覚めるシーンの面白さも特筆すべき巧さだ。
やがてヒットガールがそんな普通の女の子たる自分にはっきりと別れを告げるべきゲロゲリ棒登場のシーンからの、キックアスの父親の葬式のシーン。
墓場で彼女はマザーファッカー軍団の襲撃を受けて吹っ飛び、マリア像に激突し、失神し、(映画的に)一度死ぬのだ。
つまらない、普通の女の子の人生を歩もうとしたミンディと。
そして生まれ変わったヒットガールがバンの上で魅せるアクションの爽快な事!
観客全員が、この瞬間を待っていた!
脚本も書いたこの新人監督は、前作の大ファンで、自らこの第二作目の脚本と企画をマシュー・ヴォーンに持ち込んだという。
だからこそ、全てにおいて「わかってる」し、「お仕事感」が一切ない。
このヒットガール復活の場面は、正にそれの象徴である。
では、主人公のキックアス君はどうであるかというと、今回は些か影が薄い。
ヒットガールの物語が素晴らしすぎるというのも勿論だが、彼は今回、中盤まで迷いが無いのだ。
彼が物語を獲始めるのは、父親が死んでからである。
そこでようやく、彼はヒットガールとレッドミスト=マザーファッカーと、同等になるのだ。
この展開は、正直ビター過ぎる。
でも、ヒーローがヒーローたる理由は、そういう事があって始めて出てくるのだ。
バットマンもスパイダーマンもスーパーマンさえも、己のためだけで無いところから戦う理由を見つけて行くのだ。
思い出せば思い出す程、全くもって素晴らしい映画でした。
特にマザーロシアの警官十人殺しのシーンの独創性は凄い。あれは歴史に残るのではないか。
あんな独創性に富んだ殺戮シーン観たのはコマンドー以来だよ。全盛期のシュワちゃんぽかったし。
あ、あと、トッドが超笑えた。お前、ジャスティスフォーエバー一度もやったことねえじゃん!
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