『私はゴースト』 感想
幽霊が「私はゴーストだわ」と気付く映画。
前々からポスタービジュアルのセンスがとても良いなあ、と思って気になっていたので、無事日本でも観られることができて良かったです。
エミリーは素敵な一軒家に一人で住むお嬢さん。
毎日規則正しく繰り返しのような生活を送っているのだけれど、この家では時々変な物音や呼びかけてくる声なんか聴こえてきて少し不気味。
だけれどエミリーは一人住み続ける。
買い物にも出掛ける。お掃除もする。目玉焼きも食べる。
お花も買ってくる。
そんな繰り返しのような毎日の中、エミリーは、寝室の中で自分に呼びかける声を聴き、その声に返事をしてしまう。
その声は、エミリーと、この家に関する恐ろしい秘密を話し始めるのだった……
秘密と言っても、タイトルでもネタバレしている通り、「エミリーの正体は幽霊だったのです!」てのが一番なのですが、このタイトルで「ええ! 予想だにしてなかった!」て人はまさか居ないだろうと思うのでネタバレしてしまいます。
で、映画の本編はそこからで、幽霊であるエミリーが、どうすれば自分が成仏できるのか? を探っていくミステリー仕立てに映画の質が変わっていくわけです。
これが大変面白かったです。
前半で描かれた、美しいけれどなにやら不気味な生活描写が、エミリーが幽霊だとわかってからもまた繰り返されるのですが、同じ光景なのにまるで変わったものに見えてくる。
更に、エミリーが感じていた違和感の正体が判明すると、もう一回り違うものとして見えてくる。
「あのとき、観客が見ていたエミリーは、一体どのエミリーだったのだろう?」
という風に。
ごく低予算で、あまりロケーションやカット数を増やせない、という状況を逆手にとったような素晴らしいアイデアだと思います。
こういうやり方であれば予算がなくとも上質のホラーは撮れるのだ!
そして更に更に、ラスト15分は超壮絶。
螺旋階段から降りてくる白い足、のシーンの画の不気味さも最高に気持ち悪かったです!
怖くて切ない物語なのだけれど、ラストは不思議な爽やかさが残る良作でした!
あ、ループものの脱出ゲームみたいな映画と思いました。
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