石垣島日記 その3
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6/某日
朝から自転車で石垣島を横断しようということで、レンタルサイクルを借りに町へ降りる。
レンタルサイクルは離島ターミナルの近くに何軒か有るので値段などを比較しながら見て回る。
一軒だけ「一日五百円」という激安店があったけど、あまりにも安すぎて怖いし、お店の中に人が誰もいなかったので、普通に島の観光ツアーとかを扱っている観光会社で、一日八百円の自転車を二台借りて出発。
石垣島に行ったことない人に説明すると、石垣島は、恐らく貴方が想像している四倍でかいので、島を一周するのに自転車では到底無理なのだ。
だから殆どの人はレンタカーを借りるし、免許のない人はタクシーやバスを利用して島を回る。
でも、自転車で回る人なんて殆どいない。
というか、石垣島は坂が多くてとても大変なので、誰もやろうとしない。
いや、トライアスロンとかあるし、自転車が好きで好きで仕方ない人とかは一周しようと思うと思いますけど、そういうアスリートでもないような普通の人はまず島を自転車で一周しようとは思わないでしょう。
挑戦しかけて川平に向かう途中あたりで後悔すると思います。
なので、石垣島でレンタルサイクルというのはそんなにニーズがないので、その観光会社にも自転車のストックは二台しかなかった。勿論普通の籠付きのママチャリだし、海風で錆びてるが、そんなのは借りる方も貸す方も気にしない!
早速俺と妻は自転車を漕いで西へ向かう。
大きな古本屋、ベスト電器、マックスバリュの前を通り過ぎ、橋を渡って、舟蔵の里という有名な料亭の前も通り過ぎ、更に晴天の中自転車を飛ばして行くと、右手に、石の階段が伸びているのが見えている。
富崎観音堂だ。
石段の傍にはやはり石の献灯が並んでいるのですが、そこの下の日陰でお婆さんが寝ていて吃驚した。
起こさないように静かに歩いて石段を登る。
初めて来たここ。
石段が終わると観音堂が見えてくる。
誰もいませんでしたが、お詣りだけしてきました。
扉や窓などが開きっぱなしに見えると思うのですが、これは雨戸を外して中に立てかけてあるのです。そして掃除が行き届いている。
あのお婆さんが雨戸の開け閉めや掃除をしているのだな、頭が下がります、と尊敬の念を抱く。
普段はこんな感じで静かだけど、初詣には参拝客がたくさん来るらしいですよ。
石段を降りて行くと、寝ているお婆さんの隣に寝ているお爺さんが増えてた。
起こさないように自転車に跨り再び出発。
少し走ると、唐人墓が出て来る。
元は妻が「唐人墓を見たことがないので見てみたい」と言い始めたのが今日の自転車ツアーの発端だったのだ。
俺は以前に祖父を車に乗せて(その時はまだ免許を持っていた)唐人墓に行ったことがあるのだけれど、特に何も無くて『マムシに注意』という怖い看板のことしか覚えてなかったのだけど、今また新たに行ってみればまた感想も変わるのかも知れないと思って、妻に付き合って再訪してみた。
特に何もなかった。
いや、歴史的に大事な建造物だということはわかるし、ちょっとした公園みたいになってるところとかも良いな、とは思うのだけど、「いつまでもここにいたい!」とは流石に思えなかった。
隣の軽食屋からEXILEとか聴こえてくるし。
案の定妻も同じような感想らしく、特に会話らしい会話もないまま、次の目的地へ。
といっても殆ど目と鼻の先で、少しだけ自転車に乗ったらすぐに駐車場で降りる。
観音崎展望台である。
展望台のすぐそばには灯台があり、以前にここに来た時、その美しいフォルムと佇まいを気に入ってしまっていたのだ。
ただ、記憶だと丸い灯台だったんですけど、実際は四角でした。
俺はなんのフォルムを気に入っていたんだろう。
灯台の壁面にナナフシがいた。
よりによって珍しい虫がいるもんだ! と感心。
「蝉とかバッタ、カナブンくらいで十分ですよ!」と思わずナナフシに恐縮。
何が十分なのかは言ってる自分でもわからない。
灯台から下り、岩の間を通って海まで出られます。
この辺、塩が満ちると穴が海で塞がれてしまうらしく、「推理小説みたいでゾクゾクする。これをネタに新しいミステリのアイデアが生まれるかも?」と興奮するけど、よく考えたらそんなトリックはありきたり中のありきたりで、結果何のアイデアも生まれませんでした。
海の向こうに見えるのは多分、屋良部岳。
展望台や休憩所で野良猫をいじってから、駐車場に戻り更に道を進んで行く。
今度は左手にフサキリゾートヴィレッジが見えてくる。
フサキリゾートヴィレッジの中にはコテージ型のホテルやレストラン、野外ステージやビアガーデン、桟橋などに加え、フサキビーチがあるのだ。
フサキビーチもレストランも、宿泊客でなくても誰でも利用できます。
だけど俺は水着を持って来ていなかったので泳ぐことはなく、ビーチを一往復したり桟橋を歩いたりしながら「なるほどね」と呟いたりする内にお腹がとても空いてきたのでレストランへ。
ランチタイムはビュッフェ形式になっているらしく、「このお腹が空き空きの状態でそれは嬉しい悲鳴」と思いながら入店したが、メイン料理を注文して、サイドメニューがビュッフェなだけだった。
サイドメニューか……と、勝手に自分で期待して勝手に期待と違っただけであからさまに顔を曇らせながら石垣牛オムライスを注文。
死ぬほど美味しかった!
サイドメニューもたくさん食べたよ! デザートも!
充分に満足したところでフサキリゾートヴィレッジを後にし、これまで来た道を戻ることに。
この後は東に向かうことになっていたのだが、ランチでビールを飲んだ妻が暑さと満腹と酔いにすっかり満たされてしまい、「私はもう帰るので、後は一人で何処へなりとも行けば良いと思う」と宣言し、途中で道を分かれて早くもレンタルサイクルを返却しに!
俺は八百円分にはまだ足りないぞ、と思っていたので、そのまま自転車を東へ走らせ、石垣島に一軒づつあるTSUTAYAとヴィレッジヴァンガード、GEO、などを巡る。
ブックスきょうはんやいま店で、『掟上今日子の備忘録』を購入。
そしてまた帰り道、途中で南に道をずれ、オニササで有名な知念商会へ向かう。
オニササとは何であるか? と、皆さん興味津々なのはわかります。
落ち着いて先を読みなさい? 書いてあるから。
オニササとは、石垣島でとても人気のあるグルメで、コンビニにも売ってる食べ物だ!
コンビニということは、ココストアやファミリーマートにも置いているということだ!
ね? 人気でしょ?
で、そのオニササなるグルメがどんな食べ物か、ここにレシピをご紹介します。
①好みのおにぎりを用意する。
②好みのフライを一品用意する。
③フライに好みのソースやマヨネーズなどをトッピングする。
④おにぎりとフライを一緒にビニール袋に入れる。
⑤思い切りギュッとビニール袋を力任せに握りしめ、おにぎりとフライを無理やり力でくっ付ける!
という、調理というよりは工作に近いレシピによって完成するご当地グルメなのだ。
これがまあ美味しいこと美味しいこと。
主食とおかずを同時に食べられるという点では、おにぎりというよりはハンバーガーに考え方としては近いのかも知れない!
そしてそれを、コンビニなどではレンジてあっためて食べるのが美味しいのだ。
「おにぎりをレンジでチン?」と訝しがる皆さんもいるかも知れないが、ハンバーガーだと考えれば、レンジでチンするのはむしろ自然と言えよう。
ちなみにオニササのオニはおにぎり、ササはササミフライの事で、それを力任せにくっ付けた名前です。
例えフライがササミフライでなくても、オニササはオニササなのだ。
お詣りもして海もみて砂浜も歩いて新刊の本を買いレンタル映画のラインナップなども眺めてヴィレヴァンでサブカル分も満たしてオニササでおやつも食べて充分に満足したので、レンタルサイクルを返却し、帰宅しすると妻が寝ていた。
水風呂に入り、こちらも負けじと眠る。
起きてゲンキクール飲んで晩御飯。
473ml!
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