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映画用フィルムの思い出話②

初回は16ミリフィルムでの映画作りのプロセスを色々と書いてみました。
今回は、16ミリフィルムで撮影する時のプロセスというか、注意点などを書いてみたいと思います。

16ミリフィルムは写真フィルムのようにパトローネには入っていません。
100フィートや200フィートのフィルムはスプールと呼ばれる円盤上の金属に巻かれていますが、基本的にその状態でも光が当たると、感光してしまいます。400フィートのフィルムになると、コアと呼ばれる芯にフィルムが巻かれている状態です。光を当てようものなら、一発で感光してしまい、使い物にならなくなります。
では、どうやってフィルムをキャメラに装填するのか。大学では最初は暗室で練習しました。ですが、実際の撮影現場では暗室なんてありません。なので、ダークバックと呼ばれる物にフィルムとキャメラ、もしくはフィルムマガジンを入れ、手探りでフィルム装填をします。当然、撮影済みのフィルムもダークバック内で出して、フィルム缶に入れます。
私は、自作の撮影をする前に撮影助手として16ミリ映画の現場に入ったのですが、最初はこのフィルム装填に手こずり、当然撮影時間が押すわけで、冷や汗ものでした。幸い、スタッフの方々が温かい目で見守っていただき、装填ミスは無く済みました。
さて、この段階では、まだフィルムは回っていません。フィルム装填した後、少しだけフィルムを空送りする必要があります。その理由の一つは、キャメラ内でフィルムが絡まないか(「ジャブる」とか言っていた覚えがあります)、フィルムがキャメラ内で送られる間にフィルムに傷がついていないかをチェックする為です。それらのチェックを終えて、ようやく撮影に入れます。

16ミリ、35ミリに限らずムービーキャメラって、フィルムの装填方法がキャメラによってバラバラなのです。だから、初めて扱うキャメラの時はすごく緊張しました。それに絡んで、一つ大学時代の思い出を書きます。
ある時、エクレールというキャメラで撮影することがあり、扱ったことがなかった私は大学の研究室に扱い方を習いに行きました。その時、たまたま研究室のスタッフが出払っていて、ただ1人、奥のデスクに「大魔神」や五社英雄監督作品の撮影を多く手がけた名キャメラマンM先生だけがいました。出直そうかと思ったのですが、思い切って、M先生にエクレールの使い方を教えていただけませんか…と聞くと、すご〜く嬉しそうに丁寧に教えていただいたのを覚えています。
このキャメラは乳剤面(傷がつきやすい)を外側にして巻き取られるので、もったいないかもしれないけど、少しフィルムを残して撮影を終わった方が良いとか、印象的だったのが「ファインダー」ではなく「ルーペ」だと言われたことです。ムービーキャメラって、撮像面を拡大してファインダーに像が出るので、「ルーペ」なのです。そんな感じで、私と一緒にいた友人だけの貴重な経験でした。

さて、いよいよ撮影です。ムービーキャメラは基本的に露出計がついていないので、入射光式露出計を主に使い、場所によってスポットメーターと呼ばれる反射光式露出計で露出を測定して撮影をしていきます。
あまり知られていないかもしれませんが、撮影時にルーペから目を離すのはリスクが伴います。実は逆入光と言って、ルーペから光が入り、フィルムが感光することがあるのです。なので、目を離す時はルーペを下に向けたり、アイピースシャッターが付いていれば閉じ、場合によっては黒紙で塞いだりします。
デジタルの時代には信じられないかもしれませんが、そのせいもあって、どうやってルーペに接眼しながら撮影をするか…というのがフィルム撮影時の一つのポイントでもありました。もちろんノーファインダーもありなのですが、その場でどのように写っているか確認出来ないフィルム撮影は、それもリスクが伴うものでした。

「窓ゴミ」って分かりますか?キャメラにはフィルムの手前にアパーチュアと呼ばれるフィレームサイズに応じた四角穴のついた部分があるのですが、フィルムって、回っている間に微量なカスが発生するのです。そのカスが四角穴に溜まったりして、ルーペで確認出来ない状態でフィルムに映ってしまうことがあります。これを「窓ゴミ」と呼んでいました。
現像所から現像済みフィルムを受け取る時に時々“お手紙“がついてきました。これがある時は、大抵「窓ゴミがありました」「フィルムに傷がついてます」など嬉しくないことが書かれています。
私も大きな窓ゴミを一度経験しました。それもクライマックスの撮影で…。場の空気感を崩したくなくて急いでフィルムチェンジをしたので、アパーチュアの確認を怠ったのです。何となく嫌な予感がしていたのですが、ズバリでした…。

長々と書いてしまいました。
今回はこのくらいにします。もっと撮影に時に考えていたことなどを書きたいのですが、色々なことを思い出してしまい、なかなか辿り着けません…。
また、続きを書きます。

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