食材ひとつ料理 2 「ごぼうの唐揚げ」
noteに掲載中の「雷豆腐メキシカン」では、素描料理の概要について書きました。
台所に立つのが億劫だ。
料理がなかなか上手くならない。
もっと自由に料理してみたい。
そんな人のための料理アプローチが素描料理です。
素描料理は「台所考察」と「実践」に分かれますが、
「実践」は2つあります。
料理教室のような「習い事」として料理があるのではなく、あくまで「暮らすこと、食べること」にフォーカスしています。
ごはん、味噌汁、おかずなどの普段のお料理や、目の前にある食材でササッと作れる、といった「料理感覚」を掴んでいく方法です。
自分だけの料理ができあがっていくのも、この料理法の面白いところだと思います。
さて、今日はごぼうを使った唐揚げです。
この料理の骨格(土台)となるのは「片栗粉をまぶして揚げる」ということ。「揚げる前に火を通してやわらかくする」ことがポイントです。
今回はごぼうを蒸してから揚げますが、例えば大根や里芋などを使うときは、だしで煮るとよいでしょう。食べるときは辛子醤油と一緒に。
煮物を作って、余った野菜を唐揚げにするのもいいですね。味が染み込んだ煮物を揚げるとひと味違うおいしさになります。
では「ごぼうの唐揚げ」の作り方をご紹介します。
1. ごぼうをタワシで表面をゴシゴシ洗って10cmぐらいにカットし、やわらかくなるまで蒸すか茹でる。
*太めのごぼうは縦半分にカットして火を通すと早い。
2.ごぼうを好きな長さにカットし、すりこぎで叩いて潰す。
長さや形は、揚げ上がったときをイメージして。
叩きすぎるとボロボロになるので、軽くトントンと叩く。
3.バットなどに入れた叩きごぼうに、醤油、みりん、おろし生姜を混ぜ合わせたものをかける。
1,2度、上下を裏返しながら20〜30分染み込ませる。
4.片栗粉をごぼう全体に、まんべんなくまぶし、180度の油で揚げる。
出来上がり。
今回は太めの信州ごぼうを使っています。
食べるときに味が薄い場合は、塩か醤油をつけながら。
ごぼうを事前に柔らかくするのはひと手間ですが、ごぼうを柔らかくしておくことで、短時間で揚げられますし、口当たりがよくなります。
中華セイロで蒸すという調理法は、面倒だと思えるでしょう。けれど、鍋で茹でるか、その上にセイロを置くか。それだけの違いなので、手間としてはさほど差はありません。
圧力鍋を使う方法もあります。圧力鍋であれば付属品の蒸し板をのせて水を入れ蓋をし、重りがシューシューとしてから弱火で7〜8分(太さによる)蒸します。
実は「蒸す」は「茹でる」より早く火が通ります。意外な事実ですが、その熱量は茹でるときより3倍ほどになるそうです。
また、茹でることで水に流れ出てしまう旨味や栄養素が、蒸すことで抑えられます。だから蒸したほうが甘みや旨味が増すのです。
それぞれの家庭の素描料理は違います。生活環境や家族構成などを考えて、自分だけの素描料理を組み立ててください。
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さて、
今回使った道具は「中華セイロ」と「鉄フライパン」でしたが、最後に2つの道具をご紹介します。
《揚げる》
鉄フライパンは長野県伊那市在住の鍛冶職人・河原崎貴さんに、オリジナルフライパンを製作していただいています。
・取っ手の持ちやすさ。
・揚げ物ができる深さに。
・鉄の厚みは1.6mmで料理はおいしく、そして女性でも振れる重さに。
・片口をつけて、揚げ油を油ポットに注ぐときに失敗しない。
などを考慮しながら1年かけて製作したフライパンです。
(今現在はsold out。3月上旬に入荷予定)
《蒸す》
中華セイロは裏木曽(岐阜県)で職人さんに製作して頂いています。
日本の手仕事職人が減っている中で、曲げの技術を伝承している職人さんがいらっしゃるのは大変ありがたいことです。
木曽ヒノキを使い、丈夫で長持ちする中華セイロを製作していただいています。
《ごはんをおいしくする》
この職人さんが製作している「曲げわっぱおひつ」もございます。
電子レンジでおひつを乾燥することができますので、おひつ特有の黒ずみもできず、ずっと美しさを保ちます。