13の理由 アメリカスクールカーストから見るイジメの実態
徒然なる腐女子です。今日は最近見たNetflixのオリジナルドラマ、「13の理由」の解説をしていきたいと思います。なるべく真相部分にはネタバレしないようにしていきますが、キャラ考察する上でネタバレは普通にあるので、注意して下さい。
あらすじ
リバティー高校に通う男子高校生、クレイは同級生のハンナの自殺から立ち直れずにいる。そんなクレイの元にある日自殺したハンナの肉声のカセットテープが送られてきた。7本のカセットテープには何故彼女が自殺したか、それに関わる13人へのメッセージが当てられてそれぞれに送られていた。クレイは彼女の死の真相を探るため、テープを聞いていく。
見ているだけで死にたくなるような鬱々とした雰囲気。
まず、物語はバッドエンドから始まります。ハンナはもう既に死んでいて、いくらクレイが願っても戻ってくる事はありません。この作品には、救済がないということを心して見ていただきたい。この作品は特に学生、ティーンエイジャーは見るだけで辛くなってくるでしょう。この物語は単なるイジメによる自殺だけでなく、人間誰しも抱えたことのある孤独感や、喪失感、進路への不安、ちょっとした行き違いを描いています。
行き場のない不安、閉塞感のある学校社会という闇はアメリカ、日本に限らず全学生の気持ちであると思いました。私は大学生なので、ハンナの気持ちが痛いほど分かって回を重ねるごとに辛くなっていきました。もう少し大人になったら、別の思いで見られるのでしょうか。とにかく、辛いドラマでした。でも面白い。
アメリカスクールカースト解説
日本にも一軍2軍3軍とありますが、アメリカのスクールカーストは知っていますか?解説しながら、どのキャラがどうあてはまるのか書いていきます。
こちらは自作のスクールカーストとキャラ相対です。あくまで主観ですし、実際には異なるかもしれませんが、シーズン1を見終わった時点での解釈です。
Jock カースト頂点
いわゆる男集団トップの存在。アメフト部とか野球部、バスケ部のスター。あるいは、生徒会のトップ。日本では微妙ですが、アメリカでは生徒会はかなり強い権限を持っており、学園の顔です。ここにはブライスとマーカスがあてはまるかと思いました。ブライスは金持ちの野球部。体格も良くて見るからにガキ大将って感じですよね。マーカスは正直微妙な線ではありますが、生徒会長で先生からの信頼も厚く、またブライスと対等に渡り合っているところから、ここに入れました。
Queen Bee 女王様
女子カースト頂点。大体チア部リーダーで可愛い子。ここにはシェリを入れました。シェリはチア部のリーダーでみんなからの信頼も厚いです。よくあるドラマのqueen beeとは違い、人当たりの良い感じの良い子です。ステータス的に見ればクイーンビーなのでここに入れました。インキャのクレイとも仲良しです。
Side Kicks 取り巻き
いわゆるジョック、クイーンビーの取り巻き。No.2的存在です。ここには沢山いますね笑
ザックはバスケ部の得点王でブライスやジャスティンと仲良しなところ、ジェシカはチア部で容姿が整っているという所でここに属しています。コートニーは生徒会役員で人気者そうですね。亡くなったジェフは野球部の良い奴で同じサイドキッカーのザック達とパーティーで談笑していた点からここに入っていたのではないかと思います。
Pleaser ねだるやつ
これはいわゆる、ジョックからのおこぼれを貰う人。ここにはジャスティンを入れました。ジャスティンは容姿端麗、バスケ部の星と一見ジョックではないかと思いますが、彼の家はプアホワイト。金持ちのブライスからいろいろな援助を貰っています。彼には頭が上がらず、そのせいで重大な事件を引き起こしてしまいました。
Wannabe 一軍になりたいやつ。
ここにはアレックスを入れました。アレックスは転校したての子です。普通の男の子に見えますが実は目立ちたがり屋。自分を偽ってでも一軍にいたいと思うちょっと残念な子です。そんな一軍に異様な憧れをする子をワナビーと言います。アレックスのワナビーが「最高の尻」候補事件に発展してしまいます。
Messenger,Preps, Slacker
この辺りはシーズン1の中にはいないんじゃないのかな…と思いました。メッセンジャーはパシリ、プレップスは金持ち、スラッカーはバカです。このドラマ、超一軍かインキャかの二択しかないんですよねw中途半端な人は出てきません。
Geek オタク ここから3軍
この辺りから始まる階層が下の人達をNerd(ナード)と言います。日本で言うインキャです。
ギークはオタクですが、日本人がイメージするアニメにウハウハ言ってるオタクとは少し異なり、熱中する何かを持っている人ってニュアンスが強いです。よくも悪くも自分の世界を持っている人です。ここには、トニーとクレイを入れました。トニーは自動車オタクで周りと一線を引いている感じがします。古いものを好み、愛車もレトロでカッコいいですよね。自分でメカ整備をしていて自分だけの世界を持っています。彼は群れないし、強い。クレイは正直なんのオタクかわかりませんでしたが、よくハンナにオタク君と言われたりしていたのでこの部類だったりするのかな?と思い、入れました。
Brain ガリ勉
ブレインはただの頭いい奴ではなく、ガリ勉を意味します。ここには、ライアンとクレイを入れました。ライアンはハンナの紹介によると学年トップクラスの成績です。新聞部部長で大学進学のために新聞を書いている計算高いガリ勉君です。クレイはガリ勉かと言われると曖昧ですが、お父さんは教授、お母さんは弁護士、自身も成績優秀な点ではブレインです。
Goth ゴスロリ系
黒系ファッションで固めたゴスロリが趣味の子を指します。このドラマには特にいませんね。(スカイは黒系ですが、ゴスロリではなくパンク系)。
Target いじめられっ子
ここにはハンナ、そしてタイラーが属します。カーストの最底辺で人権は無いも等しいです。正直、ハンナは虐められていたかと言われれば微妙な線ではありますが…しかし、ハンナは対人関係で自殺した訳ですし、ここしかありませんね。タイラーはクレイの犯行により、ギークからこのポジションに落ちてしまいましたね。自業自得ですが。
Floater 浮いた子
スクールカーストに分類不能な不思議ちゃんや浮いた子はこのフローターに属します。ここにはスカイを入れました。スカイは誰にも干渉する事なく、「この学校はクソだ」みたいな感じで学校生活に何かを求めていません。ある意味カッコいい生き方とも言えますが、ここまで吹っ切れる子はなかなかいないんじゃないでしょうか。あそこのカフェにしょっちゅういる事から学校以外に居場所を作っているのでしょう。
どうでしょうか、あなたはスクールカーストのどの立ち位置にいますか?私は…中高文化部のガリ勉タイプでした笑笑明らかに3軍!日本ではここまで階層に名称がある訳ではありませんが…空気として存在しますよね。ただ、日本の場合、軽音部や帰宅部といった部活でもキャラと顔面さえ良ければJockになれるのに対して、アメリカのJockは部活は運動部の花形、そしてある程度お金持ちじゃないといけないという謎のルールがあります。現在はだいぶ昔と違いカーストの格付けが厳しくないと思いますが、いつの時代もトップ像というのはそんなに変わりません。やはりヨーロッパ貴族が出自の国だからでしょうか、割と社会階層がしっかりした国だなと思います。私でしたらJockに話しかけることすら無理だわwまあ相手にすらされないんだろうけど。
次に、このドラマの主人公であるクレイとテープに出てくる人たちの関係性を書いていきたいと思います。主人公のクレイは先ほどのカーストでも分類不能な実は作中で1番謎な人でもあります。インキャかと思えば、シェリやジェフみたいな一軍の友達もいるし、なんならハンナといい感じになるのも早く、恋愛してます。特に虐められている訳でもない、むしろ一目置かれている雰囲気さえある謎に満ちた立ち位置なのです。そんなクレイと他の登場人物の関係性をまとめていきます。
トニー
人付き合いが少ないクレイの親友です。ただの良い奴。実はゲイですが、別にクレイの事は好きではなく、彼氏がいます。達観した落ち着いた性格でクレイを導いてくれます。
ハンナ
クレイとはバイト先が同じです。生きていた頃は学校ではあまり話さなかったんじゃないかな。あくまでバイトでお喋りする仲。実は両思いでしたが、色々上手くいかずに終わってしまいます。ハンナにとって学校のジメジメした世界をどこか達観した目で見ていたクレイは憧れでもあり救いであったのではないでしょうか。
ジェシカ
ハンナが亡くなる以前はただのクラスメイトくらいにしかお互い思っていませんでした。クレイが早めにジェシカのパーティーに来た際にはとても気まずそうにしていましたしね。ハンナのお友達くらいにしか見ていなかったでしょう。テープを聞いてからは、とにかくもう放っておいて欲しいとだけ思っています。
ジャスティン、ザック、ブライス、マーカス、コートニー、ライアン、タイラー
この辺りはテープが出回る以前はほとんど顔見知りだっただけでしょう。一応知人なので挨拶しとこ。みたいな。けれど、テープがクレイの元にあると分かった途端、こいつらは敵サイドにまわります。正義感が強く、自分たちの未来を壊そうとしてくるクレイを徒党を組んで潰そうとします。
シェリ
多分、クレイの幼馴染みです。親同士が顔見知りと作中で示唆されていましたね。シェリはチアリーダーの人気者で一見するとクレイとは縁遠い世界にいます。ですが、リバティー高校は地元の公立校ですし、家も近くで本当に家族ぐるみで小さい頃はよく遊んでいたんじゃないでしょうか。そして、恐らくですが、クレイのことが好きです。
確かにベッドシーンもありましたし、シェリもハッキリと「今でもクレイが好き。」と言っています。ベッドシーンは色仕掛けのためとも受け取れますが、シェリはクレイには嫌われたくない!と必死なので本当に恋していたのでは?と思います。それにしても、学校のチアリーダーに好かれるなんてクレイはやりますね。
アレックス
ちょいちょい仲良しだったと思われる箇所があります。ジェフが亡くなって落ち込んでいるクレイを慰めに行ったり、パーティーでもクレイに声をかけたり、友達一号(ハンナ)の友達みたいな感じで割りかし好印象を持っていたのではないかと思います。しかし、テープを聞かれてからは、構わないで欲しいとクレイを跳ね除けてしまいます。
ジェフ
数少ないクレイの親友です。しかも一軍。ですが、シェリみたいな幼馴染みではなく、学校でできた友達という感じです。クレイはジェフの親の顔も知らない事から、あまり学外で遊ぶことはなかったのでしょう。たまにいる、インキャにも平等に接する気の良い陽キャだったんだと思います。
スカイ
ただのクラスメイト。学校に関してドライな思考の持ち主のスカイは誰にも干渉しません。クレイにも突っ込んだ話などはしなかったでしょう。ですが、第二シーズンを機に二人の関係性に変化があります。
気持ちに余裕がある人は見て欲しいドラマ
ながながと説明しましたが、このドラマは本当に心に余裕がある時しか見られないです。感想を共有できる人が近くにいないと一人で考え込んじゃうかも…。
ハンナの自殺の原因は実は一個一個はそうウェイトがあるものではありません。(レイプ事件は辛いですが)。ですが、転校したてのハンナにとって、初めての土地、前評判を知らない同級生、余裕のない両親、迫りくる将来の選択すべてがハンナを知らず知らずの内に蝕んで自殺へと向かわせてしまいました。
自殺する人は一つの理由で自殺すると思っている人が案外多いと思います。だから、「自殺なんてしなくても…」と口にしてしまう人が多いんです。残された人が知れるのは全体の要因の一部だけだから。報道でもいじめがあったから、家族関係が悪かったから、と主な原因しか伝えきれないからです。けど、ハンナもいじめだけなら耐えられたかもしれない。けれど、それだけではなくこの世界そのものに絶望して死んでしまったのです。誰にも打ち明けられない自分の弱さ、友達がいなかった、気に触る事を言われた、理解されなかったなど沢山のいじめに付随する要因がハンナにはありました。自殺要因は一つではなく、その周りに絡んでくる他の要因があるのを絶対に忘れてはいけません。何個もの数えきれない悲しみ、失望の果ての先にあるのが自殺という唯一の終わりの道なのです。そう思わせてくれるドラマでした。
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