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【小説】センター・ビット⑪
7月の第3日曜日。先月と同じようにハウストーナメントが開催された。
今回はBフライトの一つ上のBBフライトでエントリーをした。
「調子がいいからいけそうな気がしますよ」と俺は森山くんに言う。
「カウントアップで1000点出してから、負け知らずですもんね」
「あぁ、でもハウストーナメントはまた違うかも。でも尽力つくして天命を待ちますよ」
今回はオートハンデ戦のダブルスとBBフライトのシングルスに出ることにしていた。
いつも通りウォーミングアップを行う。
「なんだかいけそうな気がするな」と確信できるくらい、今日はダーツの飛びが良い。ワンブルキープができるくらいのレベルであるが、いつもよりもブルに入りそうな予感がした。
1回戦がスタートした。
先月と同じく、フォーマットは501-501-チョイスである。
1レグ目。1ラウンド目。じゃんけんコークで先攻を貰った俺は、張り切って投げた。
「パーン」シングルブル。
「パーン」シングルブル。
「カチッ」7シングル。まずまずだ。
続いて相手が投げた。
「カチッ」9シングル。
「カチッ」8シングル。
「カチッ」3シングル。どうやらまだ腕が温まっていないようだ。
その後も俺はどんどん削る。
6ラウンド目。残り97点。俺が投げた。
「パーン」シングルブル。残り47点。
「あ。アレンジミスだ」
気を取り直して、構え直す。
「カチッ」15シングル。残り32点。
「タタッ」16ダブル。ダブルアウトがしっかり決まった。
1レグ目を取ることができた。
2レグ目。先攻後攻入れ替え。俺が後攻。
相手が先に投げた。
「パーン」シングルブル。
「パーン」シングルブル。
「パーン」シングルブル。ハットトリックでスタート。
続いて俺もハットで返し、お互い良い感じだった。どっちが勝ってもおかしくない展開だ。
5ラウンド目。相手は残り117点。俺は105点。
相手が投げた。
「パーン」
「パーン」
2連続シングルブルからの、17シングル。上がれるか。
「タタッ」17ダブル。惜しかった。
続いて俺が投げた。
ブル、5シングル、ブルで行く予定だ。
「カチッ」5シングル。まぁでも残りブル2本。
「パーン」シングルブル。
「パーン」シングルブル。
しっかりハイアウトを決めた。
ハウストーナメントでの初勝利はとても嬉しいものだった。
たくさんお金を使った甲斐があった。
この調子で2回戦、3回戦も突破し、準決勝へとコマを進めた。
準決勝の相手は森山くんだった。
彼もまた強いし、優勝経験も多い。手ごわい相手だ。
「よろしくお願いしますね」
お互い、ゲームが始まる前に挨拶をした後、ワンスローを行った。